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安心毛布

夫が明日から旅に出るので、しばし1人暮らしになる。
私と夫は、2人で住んでいても生活時間帯が全く違うため、ひとりで住んでいるようなものだ。
特に寂しさも不便もない。
しかし、この事態が「いずれくる未来」だと思うと、いきなり怖くなる。

この何年も、特に誰かと繋がりたいとか、組織に属したいとか思わずにきた。
全く誰とも話さない日が続いても平気だった。
私は「所属の欲求」が少ないのかなと思っていたが、たぶん違う。
家に帰れば夫がいたから平気だったのだ。

こう書くと勘違いされそうだが、別に愛に溢れた生活をしているわけではない。
夫とは格別に仲がいいわけではないし、趣味も、行きたいところも、食べ物の好みも全く違う。
頭に来ることも多いし、実際、よく爆発している。

しかし、夫が家にいると、不眠気味の私がよく眠れるのは確かなのだ。
ライナスの毛布のよう。
家に気配があるだけで、安心している。

この毛布がなくなった時、ひとりでやっていけるかなあ、とよく思う。

その頃にはホームに入って、常に誰かがいる暮らしにシフトしているのかもしれないし、
「毎日、人がいてつらい。1人になりたい」
と思ったりしているのかもしれない。

先のことは分からないので、考えるだけ無駄だとは思う。
けれど、「毛布がなくても生きていけるようにするには?」というのは、私の老後の最大の課題のような気がする。

これをクリアするには、1日でも早く夫より先に行くのが正解なのだろうな。

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はんだあゆみ
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