2023.8.6 新日本プロレス G1 CLIMAX 33 Bブロック最終戦 試合雑感
◼️第6試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Bブロック公式戦
YOSHI-HASHI vs KENTA
体格……才能……色々と足りない中で必死に実績を積み上げてきたYOSHI-HASHI。反骨心を糧とするKENTAからすると、やりやすいようでいてある意味では最もやりにくい相手というか、確実に「狙われてる」側なんですよね。馬鹿にしてあしらってどうにか見えにくくしてはいますが、やればやるほどYOSHI-HASHIのアンダードッグ性が際立つと同時に、YOSHI-HASHIの真面目さや実直さがよりクリアになるという構図になっています。絶大なネームバリューと、挫折もありそれに甘えることを良しとしないKENTAにとって、大物喰いを狙おうとするYOSHI-HASHIが馬鹿にしきってもしたりないぐらい、単純にムカつくというのはわからない話でもないのですよ。
序盤はラフ&ハードというこの新日で築き上げた今のスタイルでYOSHI-HASHIを翻弄しますが、低空ドロップキックを皮切りに、YOSHI-HASHIも得意とする逆水平でペースを掴みます。KENTAもレフェリーに何度もYOSHI-HASHIをぶつけようとし、それが成功するとシンガポール・ケインを持ち出してのYOSHI-HASHI殴打。散々弄り倒したYOSHI-HASHIの棒を持ち出しますが、これは寸前でYOSHI-HASHIが回避し逆に一撃をもらう羽目に。体格差がさほどないせいか、YOSHI-HASHIのパワーボムも滞空式できっちりと決まります。
逆水平で再び取り返そうとするも、KENTAもハードな張り手で応戦。昔と違い、ハーフダウンの相手に決めるブサイクへの膝蹴り。やはりこの全盛期を一瞬だけ解禁するKENTAには惚れ惚れしますね。YOSHI-HASHIもパワーボムと同じく滞空時間をたっぷりとった熊殺しを決めますが、最後は一瞬の隙をついての首固めで嘲笑うかのようにKENTAが勝利。馬鹿にしつつもKENTAにも矜持があり、それでいてKENTAはペースを崩さなかった。まだまだYOSHI-HASHIには負けられないわけですよ。ただ、かなり肉薄しましたし、YOSHI-HASHIのこのG1での試合のクオリティは驚くほどに高かったです。
◼️第7試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Bブロック公式戦
タイチ vs グレート-O-カーン
開幕からアマレススタイルで仕掛けていくオーカーン。タイチの全日色を見ても新日色の選択ですかね。いいようにやられたタイチですが蹴り一閃からの「付き合ってやるよ」でまさかのコマンドサンボ殺法!首極め腕卍にスタンディングアームロック。さらにはクロスヒールホールドと、ヴォルク・ハンオマージュでの対抗!これにはびっくらこきましたねwタイチのオマージュは今まで分かりつつも刺さるまではいかなかったのですが、これは意表をつかれたのもあってドンピシャでしたwこの間接技のレパートリーは長井満也ラインなのか、飯塚隆史ラインなのか、それともザック・セイバーJr.ラインなのか。色々と妄想が捗りますね。
オーカーンも防戦一方となりましたが、最後は手をクラッチしての大外刈り……いわゆる柴田の武者返しからの肩固めでのタップアウト勝ち。いやあ……これは面白かったです。ある程度互いに型が決まっているからこそ、たまに見せる変化球が響くというか、こういういつ極まるかわからない試合ってゾクゾクするんですよ。こんな試合はもっと見てみたいものですね。
◼️第8試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Bブロック公式戦
オカダ・カズチカ vs タンガ・ロア
意外性のある押さえ込みを見せて揺さぶりをかけるタンガ・ロアに対し、オカダがまさかのラフ殺法で対抗。不甲斐ない戦績の外国人レスラーに加える制裁という意味では凄く猪木っぽいですね。
方法論としてはこれは正解で、怒りに燃えるタンガ・ロアがパワーで一気に盛り返します。途中のコミカルなソフトタッチ打撃のコンビネーションは笑いましたが、あれ現地で見ると異常なほどにリズム感がいいんですよねwそう見せかけて不意のヘッドバッドなどはデンジャラスで、パワーキャラの面目躍如といった感じです。
しかしながら最後はエメフロ式のドライバーからレインメーカーでオカダが勝利。消化試合のようでいてしっかりもりあげるあたり、やはりオカダは千両役者ですね。
◼️第9試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Bブロック公式戦
エル・ファンタズモ vs ウィル・オスプレイ
期待に違わぬ超絶ハイフライヤー同士の決戦であり、ノンストップの脅威の空中戦の応酬。単純なセンスや実力ではオスプレイが勝るものの、身体ポテンシャルではズモもオスプレイ と渡り合えるレベルにあり、何よりずっと戦ってきたこの二人にしかできない極上空間が広がっていましたね。ファンタズモのカリスマ性ってやはり飛び抜けてると思うんですよ。
はっきり言ってしまえばヘビーの試合というよりJr.の試合なのですが、BOSJから舞台をG1に移しての洗練された名勝負数歌はやはり素晴らしく、リングという空間を立体的に使うファンタズモに、要所要所を引き締めるオスプレイの切り返しと打撃に酔いしれるばかりで、瞬きすら許さないというのはこういうことを言うんですよね。
エプロンを始めとしてこの試合ではオスカッターが冴え渡り、ファンタズモもオスカッターとヒドゥンブレードは返したものの、最後は奥の手、ストームドライバー'93でオスプレイが勝利。ファンタズモも粘りましたが、終盤戦でのフィニッシャーの厚みがそのまま差となって出た印象はあります。ただそれは本当にわずかな差であり、試合としては文句なしの今大会ベストバウト。オスプレイ級のスペックを持つ限られた人間だからこそ辿り着ける領域。感服しました。
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Bブロック決定戦進出、、蓋を開けてみればオカダとオスプレイという2強の進出ではあったのですが、大会としては実のところAブロックより面白かったです。あと残すはCブロックとDブロックだけですね。止まるんじゃねえぞ……。ではでは、またお会いしましょう。