2024.7.27 新日本プロレス G1 CLIMAX 34 長崎・出島メッセ長崎 DAY5 試合雑感

◼️第6試合 30分1本勝負
『G1 CLIMAX 34』Aブロック公式戦
鷹木 信悟 vs カラム・ニューマン

鷹木にとっては新日における終生のライバルと言っても過言ではないウィル・オスプレイ 。何度もその壁に弾き返されながらも、あの時期のベストバウト製造機のカードであり、その血脈を継ぐカラムはポテンシャルの査定も込めて無視できない存在です。

開始早々カラムの高速往復ロープワークを剽盗するなどスピードで張り合っていく鷹木。いかにカラムが優っていようとも、ほぼ同速で合わせてくる鷹木はかなりの難敵であり、この分野のみでは勝てないという意味でちょうどいい壁でもありますね。

スピードを出せばスピード。打撃をやれば打撃と、敢えて同じパターンで被せていく鷹木に対し、オスプレイばりの奇想天外なムーブでなんとか活路を見出すカラム。トップロープからのムーンサルトアタックでそのポテンシャルの片鱗を見せるものの、良くも悪くもオスプレイの踏襲であり、ハイフライヤーとしてはまだまだ「嗜み」の領域は出てないようにも感じます。

オスカッターを熨斗紙でのカウンターはオスプレイ戦の記憶が鮮やかに蘇る一発でありながらも、裏を返せばオスプレイを履修し続けている限りはすでにそこは鷹木が通過した攻略済みのパターンであり、なかなかに厳しいなと思います。再三に渡って徹底的に防いだオスカッターに鷹木の意地を感じますよね。

しかしながら鷹木のナックル→バックエルボーからのDDTの隙をついて被弾しながらも拘りのオスカッターで鷹木から勝利。地味にこの試合を通じては何度か頭部を掠めていたハイキックが最後に繋がった感じもあり、またカッター系の技は脳を揺らすだけに決まった瞬間の不意打ち感と納得感はありますよね。オスプレイを最もよく知る男である鷹木にオスプレイを貫き通して勝つ。鷹木の意地に対するこれもまたカラムの意地であるとも思います。

◼️第7試合 30分1本勝負
『G1 CLIMAX 34』Aブロック公式戦
SANADA vs ゲイブ・キッド

昨年、ゲイブ戦で負傷した上腕二頭筋断裂の怪我の因縁がある両者です。昨年と比較するとゲイブの人気と格、実力ははるかに向上しており、観客の反応を見ても心を鷲掴みにしてるのは伝わってきますよね。

目を引いたのはゲイブが単なる反則技だけでなく技術で勝負を挑んでいた部分であり、この辺りも単なる狂犬ではないレスラーとしての矜持を感じますよね。SANADAもそんな硬軟織り交ぜたゲイブに感化される形でサミングを見せましたが、同門のTAKAの得意技であり、またこうした反則でもスマートかつクラシカルなのが面白いですよね。

あとはゲイブが見せたガルガノエスケープも少し驚きました。ここから腕を脇固めのように極める変形のパターンは技のエグさもあってかかなりゲイブに似合っていて、あれでギブを取るゲイブも見てみたいなと。

ゲイブの得意技がパイルドライバーというのもあってか、スカルエンドを巡る攻防はわりと見応えがありましたね。その最中に腕を極める変化球を見せたゲイブでしたが、セットアップなしの唐突なデッドフォールでSANADAの勝利。反り返った身体から捻って極めるパターンを見慣れていると、旋回式とはいえ通常のDDTと似通ってるそれは、反応を見るとまだ定着していないようにも思いますが、以前と違ってクイックで放てるようになったのは今のSANADAの進化の一つあり、デッドフォールのパターンが増えたのはいいですね。

◼️第8試合 30分1本勝負
『G1 CLIMAX 34』Aブロック公式戦
海野 翔太 vs グレート-O-カーン

燻ってる二人、という風に定義した海野はやはり鋭いですね。個人的にオーカーンこそ新世代のストッパーとして振る舞って欲しいとは思いつつも、まだギアが噛み合ってない印象もあり、言われるほど悪くはないけどやや印象としては散漫な感じもありました。

ただ、ここでエルボー合戦という批判は多くともシンプルなぶつかり合いを選んだのはわりと二人ともいい嗅覚をしているなと思い、高度な技術の攻防よりまずは負けん気と感情面というのは問に対する解答としては正しいと思います。ある意味、他のレスラーより目端が効いて賢すぎる部分もあるのかな、と思っちゃいますね。打ち合いの中でロープに飛んで放ったイグニッションは対角線で狙って放つよりスムーズでしたし、オーカーンも背面からのアイアンクローからのフェイスバスターはよかったですね。この二つがわりとよかっだけに、こうした技方面での進化はもう少し見たかったなという気持ちはあります。

オーカーンは足踏みでダメージを増すレイネーラからの叩きつけを見せますが、海野は捉えての変形デスライダーで拮抗。ここからブレイズブレイドで後頭部を抉ると、しっかりクラッチしてのデスライダーで海野勝利。立ち上がりこそやや鈍重であったものの撃ち合いから加速した後半のドライブ感は悪くなく、これは海野らしい試合ができたのではないかと思います。オーカーン悪夢の4連敗は驚きですが、これは悔しいでしょうね。このリーグ戦の最中での復活を望みます。

◼️第9試合 30分1本勝負
『G1 CLIMAX 34』Aブロック公式戦
ザック・セイバーJr. vs ジェイク・リー

CACCvs柔術という技術的なせめぎ合いに注目が集まる一戦。これ、NOAHで見たかった人も多いんではないですかね。さすがにこの二人のパスガードの攻防と寝技合戦は見応えがありましたし、英国紳士ザックに慇懃無礼にボウ・アンド・スクレープで「礼儀」を教えるジェイクには笑いましたwジェイクのボディシザースをザックがレッグロックで極め返す攻防に、ジェイクが首元の荒々しいエルボーで返したあたりは面白かったですね。ザック相手はジェイクからするとわりとやりやすそうな印象もありつつ、それでいて新日参戦のウォードッグス所属らしいヒールムーブを見せていったのも抜かりがないなあと思いましたね。

しかし要所要所でザックの攻め手を止めるジャイアントキリング。体格もあってかこれは相当にキツいですね。しかしながらチョークスラムを三角絞めで切り返したのを皮切りに、そこから変形クラーキーキャットでザックがタップアウト勝ち。いや、これには驚きましたね。てっきりジェイク勝利と思っていただけに、意外と負けが込んでいることにすこしびっくりしてしまいました。それでもザック勝利はめでたいですね。大穴予想とはいえ、もういっそG1全勝優勝して欲しいものですよ。今年こそは!


◼️第10試合 30分1本勝負
『G1 CLIMAX 34』Aブロック公式戦
内藤 哲也 vs “キング・オブ・ダークネス”EVIL

流石に何度もIWGP世界ヘビー級王座を賭けて連戦しただけあってだいぶこなれましたね。昔はヒールターン直後のプロモーションもあってかどうにもEVILの悪辣さと理不尽さが目立っててベビー側のカタルシスが弱かったようにも思うのですが、HOTが定着し、ベビー側も対等にやり返すようになったのもあってか、今はかなり面白いシーソーゲームになっていると思います。

今回も内藤の悪ガキ感が上手く作用しており、介入や反則があったとしてもその大立ち回りはやはり会場の盛り上がりに寄与していて、やはり対HOTは会場全部を巻き込んだ一大アトラクションめいた楽しみがありますよね。

BUSHIの介入、さらにはEVILの反則を一つ一つ潰してクリアしていく内藤でしたが、正調デスティーノを切り返してのEVILでまさかの内藤敗北。最後の最後は正攻法のカードを切るというのは読めませんでした。わりとコミカルに運んでいた試合でしたが、会場はこのバッドエンドに静まり返った感じもあり、やはりEVILは油断がならないですよ。そしてもう一試合とばかりサソリ固めでの追撃。内藤のコンディション不安も今回はわりと見えにくく、動きは一番良かっただけに、ここでつまづくあたりG1には魔物が潜んでいるなと。いや、それにしてとIWGP世界ヘビー級王者かつG1前年度覇者という二つの実績からするとリーグ戦の渦中での3連敗は相当きついですね。今回は3位通過まであるとしても、これはかなり厳しいですよ。

逆にEVILは破竹の4連勝。ジェイクでも、竹下でも、ましてやフィンレーでもゲイブでもなく、一番のヒールはEVILなんだと証明した形になります。2020年以降のEVILはひょっとしたら新日最高傑作の一つなのかもしれませんね。





さて、三連戦の初日になりますがここからは連続更新です。楽しいですが忙しさで魂が死にそうですねwでも書くのは楽しいですし、義務感に囚われず思ったままをつらつらと述べたいと思います。ではまた明日お会いしましょう。

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