距離感は人それぞれ
数年ぶりにベローチェに立ち寄った。
カフェはドトール派なのだか、たまたま近くにはベローチェしかなかった。
ドトール信者でもないし、決して嫌いと言うわけではない。シンプルに普段の行動範囲にお店がないので、自然と選択肢から外れてしまっていた。
今日はたまたま一日外出で、次の予定まで1時間ほど空いてしまい、手頃に時間を潰せるところがここしかない。
しかも熱帯雨林と化した昨今の日本では、一歩外に出れば灼熱で、これ以上歩き回る体力もメンタルも持ち合わせていない。
我に帰るとレジに並んでいた。
夕方にしてはさほど混んでなく、迷わずアイスカフェオレを注文。
空いてるテーブル席を見つけ、一息つく。
ふと周りに目をやると、PC作業する人やスマホを眺める人が大半だった。
午後の井戸端会議はカフェと相場では決まっているのに、思っていたよりも静かだなと気付く。
「意外と落ち着いてこれは集中して本が読めるぞ」と意気揚々に自己啓発本を開くや否や、隣のテーブルに2人組が座る。
妙齢の女性達で、おそらくヨーロッパ圏の方と思われる(あまりジロジロ見れず国まではわからなかった)。
「あぁ、、おしゃべりが始まるのか、、イヤホンでもつけようかな〜」と考えつつ本に視線を送っていたが、一向に話が始まらない。
「ん?」
ちらっと目を配ると、2人で黙々とケーキを食べている。
「え、、ここはベローチェだぞ、、?」
「俺は渋谷でもなく蔵前でもなく、立川のチェーン店にいたはず…」
戸惑いつつ、隣に聞き耳を立てると、ヒソヒソ声で会話をしていた。
手話のような動きもなく、特別な事情も見受けられない。
気まずい雰囲気は感じ取れなかったので、ひとまず仲は悪くないらしい。
1人での客が多く、静かな店内だったので、あえて声量を下げていたのだろうか。
そんな2人を見ていて、自分がつい気を遣って話す傾向があることに思い至った。
誰かといる時は相手の顔色を伺い、ついつい話題を振ってしまう。
関心がある話題を見つけられて盛り上がると楽しいが、後で1人になった時にどっと疲労を感じることも多い。
積極的にコミュニケーションを取ることが必ずしも良いことではない。
それよりも互いに心地良い距離感を知り、自然体で居られることの方が何倍も大切だ。
必要以上の気遣いは相手に伝わるし、その方が相手にとっても重荷にならないと思いませんか?
さすがに初対面だと難易度は激高だが、
顔見知りや友人にはもう少し気楽に接していこう。
たまに来るといいじゃん、ベローチェ。
でもやっぱりドトールのが気が楽なんだよな。
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