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中島栄子の舞台モルヒネ観察録#01


 これから稽古場のリポートというか感想などを書いていこうと思います。
#01なのですが、実はすでに稽古は2回終わっております。

 先月終わりの初読みからちょっと空いて本格的に稽古が始まりました。
初回から立ち。まず一場。もう本番ですか?みたいな出来上がりレベルだったのにびっくりしました。台詞もすでにだいぶ入っておられる。
そして全員が出る場面。役者さん達のエネルギーのぶつかり合いに圧倒。
いや私としても賑やかな場面として描いたけどこんな場面やったんや・・・。

賑やか

なんにせよ早すぎる。到達するのが。こんなレベルで初日なの??と現実味のかけた感じすらしました。

 初読みの時に演出の木村さんがやってみようと思っていると言っていたことを受けて、富田さんがやってみていました。その時点で役の成分がより抽出された感じだったのですが、そこから微調整が入ります。少しまた富田さんも変えていきます。その調整の仕方の繊細さがとっても面白い。わくわくしながら見ておりました。

朴訥とした味わいと上品さのある土佐さん、エネルギッシュでチャーミングな峰尾さん、優しくておおらかな仲さん、シャープなかっこよさのある富田さん。

魅力も存在感も大きな方々がやるというだけで、こんなしっかりした感じになるのか と思った初日。
しかしそのままやったらぽかぽか人情噺になる危険性もあるため、そこの微調整を木村さんがやっていきます。
ちゃんと脚本のざらつきを逃さずに、丁寧に丁寧に細かく微調整していきます。そのこだわりに感動しました。

微調整がとにかく丁寧

初日なのでいろんな話もしました。私の人生と虚構がいりまじっている脚本なので、みなさんも結構人生の話とかもしてくださいました。すごい豊かだあ。。。

 そして2回目。
もうすでに原作者の手を離れ、遠く深い彼方へ旅立ってくれた感じがして、もうなんかね、感動で泣きそうになったし、感嘆しました。

 考えている量、人生経験の深さ多さ。この量が「神は細部に宿る」の根底にあるんだなと思いました。
私の幼さもダーンと出ている脚本なのだけれども、そこをちゃんと全体の組み立てから出す配分とかを考えてくれているんです。すごい丁寧。ちょっとすごい調整の仕方をしている。

少しで、すごく変わる。

 脚本は設計図だけど、脚本がしっかりしていないと劇という建物は立たないとずっと思っていたけど、そうかやる人がこうやって埋めていってくれるんだっていうのを、書いた本人だからでしょうね、特に感じました。怖がらなくていいんだなって。自分であることを。演劇って総合芸術なんだなと改めて思いました。

皆で作るということは、皆の経験と技術を結集することであって、積み上げるということは、何かにあてはめていくものではない。豊かで深くてぎゅっとしていいくいっぽうで、自由でどこまでも広げていける。




 演劇の素晴らしさをすでに2回目で感じております。役者として出演する側で感じる素晴らしさは知っていたけれど。

 合間にする話もとても楽しいのです。
峰尾さんや富田さんがお土産のお菓子くださって、そこからおいしい和菓子の話になり、木村さんが昔やった仕事の話になり、皆で笑ったり。土佐さんの体験談でもりあがったり。豊かでふくふくほくほくする。
返りに仲さんがハイタッチしてくださり、私は一瞬子供に戻る。

なんとも魅力的でやさしくて楽しい日々なのです。

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