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「ダサいっすね!」の指摘から8年、革ジャン大学生起業家が上場した話
日本に数多ある企業のうち、上場企業は約0.1%程度。
2024年9月25日、学生時代から知る起業家である中嶋くんの株式会社ROXXが上場し、そのセレモニーにお招きいただきました。
何を隠そう、CROOZの最初の出資先が中嶋くんの会社です。彼に出資を求められたことがきっかけで、CROOZは投資も事業として始めたのでした。
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CROOZの小渕社長が初対面で「諸戸、革ジャンに出資するぞ。彼は絶対に伸びる。成功するオーラを持っているし、目が違う」と言っていたのがもう8年前のこと。
壇上で「この仲間とやって来た日々が何より最高傑作だ」と語る中嶋くんの姿は、ドームツアーを果たしたミュージシャンのようで、最高にカッコいいものでした。
今回は、祝福も兼ねて、彼との出会いや彼の魅力について残しておこうと思います。
<出会って数分で「ダサっ!」の一言を放つ>
彼と出会ったのは、2015年。
その頃のCROOZは、若手起業家を審査員・メンターとして巻き込み、本気でビジネスを作り事業化するビジネスコンテストを定期的に開催していました。
それもあって若手起業家との出会いが増えていた中で、中嶋くんもとある若手起業家から紹介してもらい出会うことに。
今でも、ファーストコンタクトの瞬間は忘れられません。
革ジャンを着て、ギラついた目をしていました。
当時、創業期でとにかくなんでもやってみてのフェーズだった彼は「なにか仕事をください!何でもいいから仕事をください!」と食い気味で迫ってきました。
この熱意には応えたいと思い、会社紹介の資料の作り直しなどできないかと相談することに。まずは相談のため、当時使っていた資料を見せました。
そしたら・・・
「ダサっ!!オモシロカッコイイって言ってるクルーズがそれじゃダメっす」とバッサリ。
こうして、中嶋くんに20万円ほどで資料作成を依頼するようになったのがCROOZとROXXの関係の始まりです。
この頃から中嶋くんの食らいつく力、やり抜く力、そしてUI・UXへのこだわりはビシビシ感じていて、そこは今のROXXのサービスを見ていてもずっと通底しているのを感じます。
<「革ジャンに出資するぞ」>
その後、仕事の依頼も続けつつ、ビジコンの審査員・メンターをしてもらったりと関わりが続きました。
出会いから数ヶ月が経った頃、中嶋くんが資金調達に動き始めます。ありがたいことに僕に対しても打診がありました。
しかし、今でこそCROOZは手広く投資事業を展開していますが、当時は全く投資の経験がありませんし、いくら投資としては少額とは言え数百万数千万円を僕が投資したいと言って決められるものでもなかったので、どうしたもんか悩みました。でも、中嶋くんの熱意にはなんとか答えたい。。。
当時そう思った僕は、苦肉の策として一か八か中嶋くんをいきなり小渕社長にぶつけてみる作戦を取りました。
ある日の僕が主催したビジコンに中嶋くんをメンターとして呼び、その打ち上げで中嶋くんを同じくそのビジコンに審査委員長として参加してもらっていた小渕社長の隣に座らせたのです。あとは、中嶋くん自身がどれだけやれるか次第だ、がんばれと願いを込めてアテンドしました。
遠目にも、中嶋くんの熱量と小渕さんの感心する様子が伝わってきたのを覚えています。その打ち上げ直後、小渕社長は中嶋くんへの出資を決めました。
「諸戸、革ジャンに出資するぞ」
僕は常に慎重で、細かいところまでこだわる小渕社長を知っています。
だからこそ、この瞬速の決断には驚きました。きっとたくさんの修羅場をくぐり抜けてきた経営者にしかわからない、嗅覚のようなものなのかもしれません。
初めて会った相手について「絶対に伸びる」からと、そのまま出資まで決めてしまうなんて、たぶんCROOZの投資史上でも最速の意思決定です。
この決断がクルーズの投資事業の幕開けであり、今では立派に収益の柱となる事業となっています。
<1兆円で突き抜けたと言える>
3年前、中嶋くんとの対談記事を出しました。
その時彼は「上場したら勢いがなくなったねみたいなことにはしたくない」「1兆円稼いでやっと突き抜けたと思える」と述べていました。
今回の上場も、きっと何かの達成というより一つの小さな節目という感じで彼は捉えていることだと思います。
彼に言わせれば、「売上100億円規模の会社は無数にある。1,000億だってゴロゴロいる」と言っていたし、上場後のパーティーでも彼の女房役の山田くんがROXX中嶋はこれからどんどん大きくなってやがて世界の中嶋になると豪語していたので、きっともっともっと彼らは大きく成長していくことでしょう。
まあそれはそれとして、僕としては勢いある若手と出会えて、急激に成長していく彼らの手助けができること自体望外の喜びです。
なので、今も今後も、中嶋くんのような勢いある若手に「なんでもいいんで仕事ください!!」とギラついた目で迫られるのを楽しみにしています。
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