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傍観者たちの利益

1.はじめに

 昨日twitterにて「何もしていないプレイヤーが期待値を獲得する」ということを書きましたが、わからない人がいるかと思うので、今回具体例を書くことにしました。

2.検証条件

 残り人数:6人
 賞金:1位$1,000、2位$600、3位$400
 各プレイヤーのスタック:下画像左数値
 各プレイヤーの賞金期待値(ICM):下画像右黄色数値
 前提条件:アクションはオールインorフォールドで、スタックの移動はぶつかったプレイヤーのスタック分のみとします。(ブラインド,アンティは無視)

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3.ビッグスタックvsビッグスタック

 最初にバブルファクターが高い戦い(ビッグスタック同士)を見てみましょう。
 96,000点持ちのプレイヤー⑤と84,000点持ちのプレイヤー⑥がオールインし、プレイヤー⑥が勝った後の状態(下画像1枚目)とプレイヤー⑤が勝った後の状態(下画像2枚目)を示します。

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 注目するのはプレイヤー①~④のICMの変化で、どちらが勝とうが戦っていない他のプレイヤーのICMが上昇しています。

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 このようにバブルファクターが高い戦いは、戦っている本人たちが期待値を損失し、何もしていないプレイヤーに期待値が分配されることになります。

4.ビッグスタックvsショートスタック

 では次にバブルファクターが低い場合(ビッグスタックvsショートスタック)を見てみましょう。
 96,000点持ちのプレイヤー⑤と20,000点持ちのプレイヤー④がオールインし、プレイヤー④が勝った後の状態(下画像1枚目)とプレイヤー⑤が勝った後の状態(下画像2枚目)を示します。
 ※スタックサイズに0を入力して計算できないため、2枚目画像のプレイヤー4のスタックは1を入力し計算しています。

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 今回プレイヤー①②③⑥のICM変化を見ると、④が勝った場合はICMが減少しています。しかし、④が勝った時のICM減少量より⑤が勝った時のICM増加量が多いため、勝率50%での勝負をしてもらう分にはプレイヤー①②③⑥にとって期待値プラスであることがわかります。
 今回の状況においては、⑤の勝率が35%以上あれば、戦っていないプレイヤー全員のICM期待値がプラスとなります。

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 このようにビックスタックvsショートスタックでは、ショートスタックが勝つことによってスタックが平均化されたときに他のプレイヤーは期待値を損失します。
 しかし、ショートスタックがバストしたときの期待値上昇が大きいため、ビッグスタックの勝率がよほど低くない限りは、何もしていないプレイヤーが得をする戦いとなるのです。

5.おわりに

 以上で、何もしていないプレイヤーの期待値獲得についての検証終了です。
 KOバウンティ以外のトーナメントではバブルファクターの存在により、必ず「失うチップの価値>獲得するチップの価値」となります。そのため、オールインにコールが入ることは他のプレイヤーにとって期待値上得になるのです。

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