かそく→くのう→うつびょう→うみたい→いしゃ→しゃかいせいかつ
彼女の名前は3つある。
ペンネームと本名と宗教上での名前。
どの名前も知っているけれど、私はペンネームが好き。
最初に会った時、彼女は大勢の人と作品展を開いていて、そこに一人のファンとして見に行った。
私は全く絵に詳しくないけど、大きな絵に独特なピンク色のような背景、白い小物など可愛い女の子も笑顔で描かれていて、それなのに私の中の辛くて苦しい記憶が呼び起こされる絵だった。迫力があった。
欲しい!と思い値段を見たら、500,000円となっていた。
当時、女子大生の私は到底払える訳もなく、また家のどこに置いてもこの絵は輝けないと思いただ悲しくその絵を見ていた。
その後、彼女と初めて会話をした。
「ミスiD出るんですよね?応援してます!」
「いやいや、そんな…ありがとうございます…」
とだけ会話して、ポストカードを1枚だけ購入した。
彼女は笑う時、口元を上げる、そして頬を持ち上げる、目は動いていない。
面白い愛想笑いをする人だなと思った。機械が頑張って人間のフリをしているみたいだ。
自惚れかもしれないけれど、私が変な事を言った時に大声を出してきたり、目から笑う彼女を見るのが好きだ。
私の友達として安心して接してくれている気がする。
彼女の表現する絵が好き。
過去のひりつくような痛みが癒される気がする。
私は、社会生活が送れなくて精神科医にお世話になって、家族を作れば幸せになれると勘違いしてまた躁鬱が悪化して。でも生きている。
ハムスターの息子に産まれて良かったに出会えて本当に良かった。
こんなに、人生のスピード感が止まらなくて、楽しい。