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映画 ばるぼら 感想 ※ネタバレを含みます
※手塚治虫作品 「ばるぼら」の漫画、映画のネタバレ感想。
はじめに
私は小学生の頃から手塚治虫作品が好きでばるぼら、MW、七色いんこなどが私の人格形成の一部になったと言っても過言ではない。
先日期待しながら、U-NEXTでばるぼらの映画を見てみた。そうしたら、原作漫画のイメージが強過ぎて映画を「何だコレ…ひどすぎる…二階堂ふみの乳以外魅力がない!」などと騒いでいた。
しかし、それはあまりにも失礼だと思い、もう一度ゆっくりと映画を観て、原作との違いや雰囲気を形に残せたらなと思い、この記事を書いた。
あらすじ
小説家、美倉洋介は新宿駅の床で飲んだくれの少女、ばるぼらと偶然出会う。
この薄汚い飲んだくれ女、酒臭く床に座り込んでいるがヴェルレーヌの詩を口ずさんでいる。そこに興味を持った美倉が自宅に連れて帰る。
美倉の家にある高い酒を勝手にグビグビ飲み、「俺、客だぜ!?」と不貞腐れるようなばるぼらだが、美倉はいつもいつも追い出すことができない。ばるぼらも何だかんだ帰ってくる。
美倉はいつも表情が見えないようなサングラスをしているか無表情。何もかもつまらんという顔をしている。そして彼は異常性欲にも悩まされている。
だが、ばるぼらがいると不思議と素晴らしい小説が書けるようになっていく。あたかも芸術家を守るミューズのような存在。そして2人の関係は変化していく。
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原作漫画と違う点
・映画では編集者が出てくる。
しかも女性。甲斐甲斐しくビーフストロガノフなんか作っちゃって…。
この編集者が「安定した日々」として表現されていると感じた。
・尺の都合上仕方ないが、美倉とばるぼらの凸凹コンビ具合いが少なく、映画版ではほぼいきなり私達は結婚するべきだ!という学生の恋愛のようなスピード感を感じる。
見所
見所は何と言っても二階堂ふみが演じるばるぼらの妖艶さ。そして美倉がどんどんばるぼら抜きではいられなくなり廃人となってしまう姿を声や体の動きで十分に感じられる所。
また、舞台が令和の新宿では考えられない。今の新宿駅近くのトー横キッズと一緒にされるべきではない。
舞台はばるぼらの世界観としか言いようがない。 それを音楽を含め、上手く表現している。
終わりに
私が幼少期に漫画ばるぼらを読んで、その奔放さに夢中になってしまっていた。
今回の映画とは切り離して考えるべき。
(私は昔から、谷崎潤一郎の痴人の愛のような奔放で魅力的な自分の身体の使い方がよくわかっている女が好きなので…。)
漫画はミューズであるばるぼらが主人公、映画は一般人小説家と考えて見てみると面白いかも知れない。
この映画はウイスキーをストレートでグイグイ飲んで、1人の美倉洋介という男がミューズに翻弄され堕ちるのを楽しみながら(まぁ、私も都会の排泄物みたいなもんか)と頭を空っぽにしてただ流れてくる快感を受け止めるのが良いと思う。
誰もが皆、ばるぼらを求めている。
つまらない人生からもっと堕ちていきたい。