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韓国でスパイ容疑かけられた

オオタニです。

大学4年の話をしたい。親友と韓国の料理を死ぬほど食べたいという話になり、ソウルへ飛んだことがあるんだ。

オオタニ、実はこれが初海外。

うちの親族は北海道のド田舎育ちだから、自慢げに初海外だよ!韓国に行ってくるね!と意気揚々と報告。

しかし、言った側から祖父に「ダメだ!!女2人で韓国なんて事件に巻き込まれる!!」と叫ばれ、祖母に「飛行機キャンセルできないの?お金ならばあちゃんが払うから今からでも断れないの?」と泣かれ

死ぬんか?わしは


こんなに女子大生がKPOPだの韓国コスメだので韓国に飛び立ち、無事に帰還しているのに?いつの時代の話しとんの?

母もこれを聞いてやっぱやめときなよって言い始める始末。

ここにきてなんなんよ、あと1週間後よ。出発。

もう大人なんだから自分で決めさせろよと思い、母さんと祖父母にそれを伝え、なんとかギリギリ許された。

代わりに祖母の言いつけを守るように言われた。

祖母「財布は鞄に入れとくと取られるから、ブラジャーの中に入れておきなさい」

オオタニ「絶対無理だが」


いや、ぜっっっったいに無理だが?いやいやそんなことしてる20代女子おらんて。紛争国にでも行くんか。

会計の時にサイフを胸元から出す女嫌だよ。峰不二子かバーレスク東京の話でもしとんか。

何やら祖母も随分前に韓国に行ったことがあるらしい。その当時は食べ物の質もあまり良くなく、スリも多かったのだという。

まあ、そりゃ心配にもなるか。

テキトーに話を合わせてあげて、安心させてあげよう。

当日

いざ出発の日。

楽しみだな、行ってきます。

家を出る5分前に電話が鳴る。ディスプレイ画面には祖母の文字。

祖母「サイフは下着の中に入れたの?取られないようにストッキングの中にお金を入れてブラジャーに巻き付けるのよ」

オオタニ「なんか前聞いたのよりエスカレートしてるから絶対無理だが」


祖母のことは大好きだ。手先は器用で料理も美味しいし、人付き合いもよく、おまけに美人だ。自慢の祖母だ。

でもそれとこれとは話が別だ。


しかし渋っているうちに経過する時間。涙声の祖母。

狂った俺は目の前にあったストッキングを引きちぎった。


畜生。今までテキトーに誤魔化してきたのに。なんか言うこと聞かなきゃいけない気がしてきた。

急いでCOACHのサイフから金を抜き取り、引きちぎったストッキングにぶちこんで、ブラジャーの中にしまって家を出た。

空港にて

こんなんで出発が遅れた挙げ句、電車も遅延していたのでかなりギリギリについて、友人には少し怒られた。

荷物を預けるために、預かり所に向かう。

そこで異変に気付く。

友人「オオタニの荷物それだけなの?」

オオタニ「え?」


俺の肩にかかっていたのは縦横30cm程度のポシェットのみ。ちなみに今回の旅行は

2泊3日


着替えはパンツのみ。サイフはブラジャーの中。食べるだけだから特に買い物もないと思ったし、靴下は向こうで買えばいいと思っていた。幸い汗はかかない方だし、2泊3日ならそんなに臭くはならないからトップスとパンツの替えは要らないと判断。

友達に冷静にヤバくない?と言われながら飛行機に乗る。

この時点で薄々気付いていた。祖母もやばいけど俺の荷物の取捨選択基準もかなりやばいんではないかということに。

ソウルにて

ついた瞬間、キムチっぽい匂い。ほんとに国民食なんだな、と感動した。韓国のキムチはすっぱめでニンニク効いててうまいんだよね。

海外から来た人は入国審査があるので、審査受付へ向かう。

CAさんも美人だったが、入国審査のお姉さんも美人。さすが美容大国。どこに泊まるの?何日間滞在するの?の質問に答えていく。

お姉さんの顔がだんだん曇る。なんか変なこと言ったか?

お姉さん「2泊3日ですよね?」

オオタニ「はい、そうですが」


あー、なるほどね、読めてきた。

2泊3日の滞在なのになんで縦横30cmのポシェットのみで来たんだってことを言いたいのね。ごめんねホントにお騒がせして。ただ荷物の取捨選択がおかしいだけなの。

ポシェットの中を見ていいか聞かれ、まあ別にいいけどと差し出す。

お姉さんが掴むUNIQLOのシームレスパンツ

あああああああああああああああ


忘れてた。私はパンツしか入れてないんだった、きついきつい。まだ新品のパック詰め状態だったから良かった(?)けど!

お姉さんずーっっっと怪訝な顔。

手を挙げて回転するように指示をされ、ああ、完全にスパイ扱いやないか。

お姉さん「財布と携帯は?」

オオオーッと来ました!財布の出番です!!!!


いや渋っててもしゃーない。友達も待たせているんだわ。

私は服の中に手を突っ込み、ブラジャーの中をまさぐり、ストッキングを鷲掴んで首もとから出した。

お姉さん呆然


いいよいいよその反応!困った顔もかわいいねえ!!!

お姉さんに5秒くらい凝視された後、ゲートを通された。ミッションクリアだ。

マジで焦った、ここまで来て入国審査ひっかかったら死んでも死にきれねえ。

無事に旅行を楽しめた。

しかし、忘れないよ。2日目に入った飲食店で会計のとき。イケメン店員さんに財布を出した瞬間

「オオ~ゥ...」


と言われたこと。

おばあちゃん、安心してよ。韓国は道に迷ったときに助けてくれるような良い人ばかりだったし、食べ物も美味しかったし、お金はらってないのに沢山おかわりをくれたよ。

むしろ私が変人だったから、きっと日本人は危ないと逆に思われていると思うよ。


ストッキングブラジャー財布は二度とやらん!!by 千鳥ノブ

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