2021.10.27 並河-亀岡にて~スライム痛恨の一撃~
1ヶ月ぐらいぶりに、ぶらり途中下車の旅に行ってきた。今後も月に1回ぐらいのペースで行きたい。
京都府亀岡市並河駅で降りた。今までは滋賀県とか井手町とか、東と南にしか言ってなかったから、西にも行ってみたいと思った ※1。山に囲まれた地域で、電車は何回もトンネルをくぐった。
駅前に衆院選の選挙ポスターがあったが、近所のとは違う面々が貼られているのを目にした時に、旅をしているなぁという実感がわいた。選挙区をまたぐほど遠くに来たのだろう。
乗車駅付近では綺麗に晴れていたのだが、並河駅で降りると曇天になっていた。おかしいなぁ、天気予報では1日晴れる予定だったのに。市を超えると天気もすぐ変わるのか。
駅からしばらく歩くと、個人経営であろうレンタルビデオショップがあった。これは田舎に来たぞと思った。
このサブスク全盛期の時代に。チェーン店のビデオショップすら徐々に弱まっているというのに。バイパスとか高速は通っているのだが、都市部とは言えないなぁ。
高速道路に向かってみたが、どうにも小雨がうっとおしかった。ついに雨が降り出してしまった。
ただ、旅を中断して雨宿りをしようと思うほど降ってたわけじゃない。「どうせすぐ止むよ」と思える程度の雨だったから、そのまま歩き続けた。
風邪をひくほどずぶ濡れになったわけではないが、メガネと髪が少しびしょびしょだった。
高速道路を見たら満足して引き返した。寺の掲示板に「自業自得」とだけ書かれた紙が貼られていた。
宗教のありがたいお言葉としてはあまりにも説教臭くて、そしてそのワードチョイスにゲラゲラ笑った。
ただ、調べてみたら「自業自得」という言葉はもともと仏教用語 ※2 だったらしい。寺の掲示板に貼られても全然おかしくないんだな。
まぁそれにしても「自業自得」て。
高架下をくぐると、延々と田んぼが広がってた。特に見るべきスポットも無さそうだから、また引き返した。
「自業自得」を見てた時点では一旦雨は止んでいたが、この辺りでまた小雨が降った。雨宿りできそうな施設も無いほど遠くに来てしまったので、不安になりながらも大通りに戻った。
大通りに着いたら雨は止んでいた。なんだか雨に振り回された旅だな。ただもうこれ以上雨は降らなかった。あーよかった。
並河駅周辺はもう何も無さそうだから、気付いたら隣の亀岡駅に向かって歩いてた。ボーっとしてたら、並河駅に戻る方が遠くなる位置まで来ていた。
飛び出し坊やのような感じで、スライムと「きけん」とだけ書かれた看板があった。
「きけん」て、一体何が危険なのさ。看板の裏には飛び出し坊やがあったから、車が危険なのだろう。
この看板、おそらく地域の小学生が描いたのかな。なんか塗りムラが怖いんだよ。背景の白とか、スライムの青とか。
あと絶妙に絵が下手で、スライムの目が恐ろしいくらいにガンギマリだった。歪んでるし白目が多いし。
挙げ句の果てには書いてすぐ立てかけたのか「きけん」の文字の、赤い絵の具が垂れていた。赤い文字が垂れてたら、それはもうダイイングメッセージなのよ。
車じゃなくて、スライムが危険なんかな。ここはスライムが出現するエリアなのかも。ガンギマリのスライムに倒された人が「きけん」というダイイングメッセージを残したのかと思われる。
あまりにも怖すぎる看板に笑ってたら、急に左鼠径部に鈍痛が走った。看板付近の自転車よけポールに、乗り上げるかぶつかるかしたらしく、かなり痛かった。
ポールに対する「きけん」だったんだな。本当に危険だわ、めちゃくちゃ痛かったんだから。スライムに痛恨の一撃を食らった気分だった。
痛みが引いてきた頃「ときわ荘」と書かれたアパートがあった。
なんか聞いたことある名前だなと思った。手塚治虫さんや藤子不二雄さんなど、有名なマンガ家がいたアパートと同じ名前をしてた(「ときわ」の表記のひらがな・カタカナの違いはあるが)。
京都のときわ荘も、マンガ家志望の若者が集まってるんかな。
味のある商店街を抜けて、大通りに合流し、亀岡駅に着いた。
11時になり、イオンのお膝元の中華料理点で酢豚を食べた。飯を食べたら帰る、これが俺の旅スタイル。
帰りの電車で車窓からの風景を見てたら、美しい渓流が見えた。本来はそういう自然を楽しむエリアなんだよ。スライムの看板にゲラゲラしてる場合じゃないんだよ。亀岡市も不本意だったろうに。
※1 京都市の北となると山の中の駅になるので、ちょっと敬遠してる。
※2 「自らの行為の報いは自分自身で受けなければならない」という考えに基づいているらしい。
突飛なスポットなどはそんなに無かったが、街歩きとしては面白い街だったなと思った。
公園、飛び出し坊や、路線図、バス停、寺社、定礎などなど…。
公園は遊具が1~3つしかないような、小さなやつが沢山あった。かと思えばだだっ広い敷地の公園もあった、そして遊具は片隅に集まってて、何もない空間が広がってた。
飛び出し坊やは、特にスライムみたいなガンギマリ坊やを探してる。目がでかくてとびきり笑顔な坊やは大概ガンギマリ。
見知らぬ土地の路線図っていいよね。知らない土地にもバスが走ってて、地域の住民を今日も運んでると思うと、胸がかきむしられるくらいのエモい気持ちになる。
バス停も同じく、公民館前のバス停とかね。あとコミュニティバスの看板とか見ると特に。地元住民に無くてはならないその感じがね。
住宅街の中にひっそりたたずんでる宮を見つけた時は、なんかテンション上がった。
写真フォルダを見返したら、金文字の定礎の写真があった。この定礎はどこで撮ったんだろうか。金色の文字なんて珍しいな、成金が建てたビルだったのかな。
それにしても、スライムの痛恨の一撃は痛かった。