2021.08.08 山城多賀にて~本当に行きたい場所はどこだ~
ぶらり途中下車の旅をしてきた。今日は京都府井手町の山城多賀駅。
1~2駅手前辺りの車窓からヤバい気配はあったが、あの辺りはかなりの田舎なんだよね。リアルぼくなつみたいな風景が広がってた。
noteで連載しようかなんて言ってしまったもんだから焦る焦る。ここを旅して日記は書けるのだろうか。こういう場所は出張とかで行くぐらいがちょうどいいんだろうか ※1。
改札出てすぐ「ご自由にご利用ください」という傘置き場があって、人の心が温かい地域に来たなと思った。結果的には誰とも喋らないまま帰ったわけだけど。温かったところで。
そして駅前の公園を見てみたら、滑り台とブランコしかなかった。なんか腹をくくらなきゃいけないと思った。相当広い心をしてないと何も見つけられないかもしれない。
ブランコの座る板を吊る綱が歪んでて、安全面が不安になった。こんなにいびつなブランコあるかよ。一応乗ってみたけど大丈夫だった。
しばらく歩いたところに神社があるらしいから行こうとしたのだが、途中で引き返してしまった。
山の中にある神社で、階段を上がってハチを4匹見かけた時に、怖くなって引き返した。ハチまみれの神社には行きたくない。神様に祈って、ハチに刺されて帰るのは嫌だわ。
その神社のふもとにホタルが生息してる公園もあったんだけど、真っ昼間だったし1匹もいなかった。
そしてホタル以外の虫が多すぎた。セミとかセミじゃない音がする虫とか、ずーっと何らかの鳴き声が響きっぱなしだった。ホタルじゃないやつらの主張が激しかった。
そのエリアには古道があったから歩いてみた。古道と言ったら両側に家々が並んでるような通りをイメージする。岐阜の中津川に行った時に中山道を歩いた、そんな感じ。
ただ山城多賀の古道は田舎道だった。澄んだ川のそばを歩く。
そのまままっすぐ歩くと、線路に垂直にぶつかって行き止まりになった。この古道、文明の利器のために途切れちゃったんだ。人間め…!と思った。風景もキレイだったしこの古道をもっと歩きたかったんだよね。
神社・ホタル・古道…、趣も風情もあったもんじゃない。人間とか虫によって、その尊さが邪魔されてる感じがした。
しょうがないっちゃしょうがないんだけど。そりゃハチや虫だって生活があるし、電車は通さないといけないんだよ。
町を歩くと「わが町にバスを走らせよう!」という貼り紙がいくつかあった。バス、まだ通ってないんだな。
井手町には2年前ぐらい来たことがある。落研の余興でO先輩と行ったな ※2。その時は玉水駅で降りてあちこち歩いてた。
2年前にも同じ貼り紙を見た。あれから2年経って、何の声も届いてないんだろうな。あの風景にバスが通るのもエモくていいと思うんだけどね。
そういや玉水駅は、山城多賀駅の1つ隣だったな。もうちょっと離れたエリアで下りればよかったな。
昼時になって飲食店を探したが、田舎だからほとんど無かった。まん防とか日曜とかいろいろあって、3軒入れなかった。暑いし空腹だし、結構ピンチだった。
井手町から城陽市に入った辺りで、これまたロードサイドに食事処を発見した。唐崎の時と同じだ。ロードサイドには飲食店があるよね。
うどんを頼んだら20分ぐらいかかった。日頃からなか卯に行ってるから、牛丼のスピードに慣れてしまってる。うどんなんて茹でるだけじゃんと思ったけど、手打ちうどんだった。いびつな凹凸とか、一定じゃない太さとか、手打ちっぽさがあった。
その店独自のメニューを頼んだら、山菜・海老天・油揚げ・シイタケ・かまぼこ・牛肉が乗ってた。
うどんのオールスターズだった。うどんを構成している要素が全てあった。大満足。こんなにうどんを楽しんだことはないよ。
暑いから気持ち多めに出汁を飲んで店を出た。
食後に歩いた道は、いい風景だったけど特筆すべきことはない。のどかだった。そんな道を歩いたのち、帰った。
この日記を書いてる途中、晩ごはんを買いにコンビニに行った。道中、いつもは空いてる道に渋滞ができてるのが見えた。
何だろうと思って歩いてたら。コンビニ近くの神社で夏祭りがあったっぽい。浴衣姿の若者が多かった。だから車の量も多かったのだろう。
そうか夏祭りがあったのか。山城多賀なんか行ってないでそっちに行けばよかったな、俺はいったい何してんだろうか、と思った。
しかし帰り道、自分自身に「お前は本当に夏祭りに行きたかったのか?」と問うてみた。夏祭りとぶらり途中下車の旅、お前はどっちが好きなんだ?
俺はぶらり途中下車の旅の方が好きだった。夏祭りもいいけど、それ以上に知らない駅で降りて散策する方が自分に合ってることに気づいた。
田んぼの真ん中の道を歩いてる方がよっぽどワクワクしてたんだな。あまり浴衣姿の若者たちに騙されるな。お前が本当に行きたい場所はどこだ?
ハチとか電車とかはあったけど、こっちの方が趣のある1日だった。
※1 誰かに言われてたまたま行ったところ、いい風景が広がってたというのが理想。自発的に行くのはある種リスキーかもしれない。
※2 2年前の井手町はこちらのエッセイにて
エッセイを書くにあたって修正したのだが、日記には「夏祭りなんてそんなに興味なかったことに気づいた」と書いてあった。
違う、夏祭りに興味ないわけではない。誰か友達から誘われたわけではなかったから、じゃあぶらり途中下車の旅の方があってたということなんだ。
一人旅は好きだが、1人夏祭りは行く気にならない。そして友達と一緒に行く夏祭りはめちゃくちゃ楽しいと思う。俺だって友達とだったら夏祭りに行きたかったよ。
別に誰かから誘われたわけでもないのに「夏祭りに行けばよかったなぁ…」は違うよねということ。
夏祭り全体に興味ないのではなく、1人夏祭りに興味が無いだけだった。トガった気持ちで日記を書いたことを反省しなければ。
山城多賀、いい所だったよ。