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カードゲーム紹介:奥特曼英雄对决系列(中国限定 ウルトラマンTCG)


(2025/02/27現在)
このTCGについて日本語で詳細な説明・紹介をしているページはweb上で本記事のみです。

興味のある方はお読みいただけると幸いです。



はじめに

2024年10月に日本でウルトラマンTCGが発売され、話題になりました。

なんと、日本・北米・中国・台湾など
15ヵ国で同時販売

このウルトラマンTCGは円谷プロダクションが開発していると発表されていますが、実は協力企業として中国の浙江卡游動漫有限公司(Kayou社)という会社が存在しています。

下の画像は、ウルトラマンTCGの制作決定が円谷プロの公式HPニュースで発表された際の記事を抜粋したものです。

(参考:円谷プロダクション
公式HP ニュース

わざわざ「浙江卡游動漫有限公司(Kayou社)も企画に参加のうえ、同社の全面的な協力により生産されます」という文言が書かれています。
ちょっと不自然ですよね。

この理由、実は浙江卡游動漫有限公司(Kayou社)が先に中国で別のウルトラマンTCGを制作・販売しており、中国市場で既に大ヒットさせているということが背景にあります。

(参考:日本経済新聞

今回日本で発売となった新ウルトラマンTCGは「中国でウルトラマンTCGが流行っている」という市場状況を踏まえ、「中国・台湾・北米・日本で同時発売する新しいウルトラマンTCGを作ろう」という形で企画・販売されているわけです。

つまり、先ほどのこの文章は、
「中国版の勝手な模倣ではなく、
正式に協力して制作しています」

という主旨の文章だと推察されます

今回はそんな、日本版ウルトラマンTCGの開発のきっかけともなった、中国市場で大ヒット中の中国版ウルトラマンTCGを紹介いたします。


簡単な作品紹介

改めまして、今回紹介するのは
中国版ウルトラマンTCG「奥特曼英雄对决系列」です。

広告や商品パッケージには
「英雄对决 (Hero Battle)」
と記載されています

奥特曼は“ウルトラマン”の中国語表記です。
そのため、シリーズ名である「奥特曼英雄对决系列」を日本語に訳すなら、「ウルトラマン ヒーローバトルシリーズ」が適切かと思います。
(本記事ではわかりやすさのため「中国版 ウルトラマンTCG」と呼ばせていただいています)

原作設定などがカード効果に反映されているかどうかなど、カードゲームとしての特徴は後述とさせてください。

先に1つだけ言っておくと、日本で発売されたウルトラマンTCGとは全くの別物です。


カードゲームにおける中国語

続いて本作品のルール説明に入りたいところですが、せっかくの機会ですので、カードゲーム関連の中国語を少しご紹介しておきます。

  • 卡、卡牌、牌:(いずれも) カード
    (例)卡牌店:カードショップ
      纸牌游戏:カードゲーム
        此牌:このカード
        手牌:手札
       能量牌:エネルギーカード

  • 牌组:デッキ

  • X张、X张牌:(カード) X枚
    (例)使用1张能量牌
       エネルギーカード1枚を使用

  • :(カードを) ドローする
    (例)抽1张牌:カードを1枚ドローする

  • 战力:戦力、パワー
    (例)战力+1500:パワー+1500

  • 战场:戦場、フィールド

  • 在、处于:存在する
    (例)战场中其他处于牌
       戦場の其の他に存在するカード

  • 我方~:自分の〜

  • 彼方~、対方~:相手の~

ほとんどの文字は日本語の漢字に該当するものがあるため、なんとなく理解できるのではないでしょうか。
試しに、本記事で紹介する予定のカードテキストを読んでみましょう。

抽1张牌(カードを1枚引く)
此牌(このカードが)
在战场时(戦場にある時)、
我方战场中(自分の戦場に)
其他处于(存在する他の)
全力状态的(全力状態の)
「捷德」或(ジードと)「赛罗」(ゼロの)
战力+1000(パワー+1000)

"全力状態"といったこのゲーム独自の用語や、(ウルトラマン)ジードや(ウルトラマン)ゼロといった固有名詞はわからないと思いますが、他の部分はなんとなく読めたのではないでしょうか。

ね?簡単でしょ?

さて、皆さん中国語がマスターできたと思いますので、ここからは記事も中国語で書きます。


规则解释

现在,让我用中文解释一下这个纸牌游戏的规则。

无论如何,我认为没有人会读它,但如果有人费心翻译它,我深表歉意。感谢您的阅读。
我有一个意大利追随者,所以我会向他解释一下:这部分是关于“到目前为止我一直用日语写作,但突然我开始用中文写作。”抱歉,这很难理解。

我已经没什么可写的了。
每个人都喜欢纸牌游戏。

嘿伙计们,有很多有趣的纸牌游戏已经不再提供了。
当然,精通一种卡牌游戏很有趣,但是偶尔尝试另一种卡牌游戏来休息一下不是很好吗?


…冗談ですよ。


ルール説明

気を取り直してルール説明です。

制作・製造元であるKayou社の公式HPにはルール説明やプレイ動画が掲載されていないものの、同社が作成したと思われるルール紹介動画がYoutubeに存在していたため、そちらを素材に日本語のルール説明を作成しています。日本語でルールを読んだ後、元動画を見るとより理解が深まると思いますのでオススメします。

基本ルール

プレイエリア

<プレイ準備>

1. 各プレイヤーは
自分のデッキからカードを9枚ドローする
2. その中から5枚を選び、
場に伏せて配置する。

(残りの4枚は手札とする)
3. デッキ上からカードを2枚、
エネルギーとしてエネルギーゾーンに置く
これで対戦準備完了!

ここからプレイ開始。
先行プレイヤーから順に、交互にターンを繰り返して戦います。

<プレイ>
プレイヤーは自分のターンに下記の①〜③を行います。
① ターン開始処理を行う。(1枚ドロー、エネルギー貯め、など)
自分の場のカード1枚と、相手の場のカード1枚を選択し、バトルする。
③ ターン終了時処理を行う。

<バトルの流れ>

1. 自分の場と相手の場から
カードを1枚ずつ選択
2. 互いのカードをオープン!
3. 各プレイヤーは
バトルをサポートするカードを
手札から場に1枚まで出すことが可能
(他TCGでは"カウンター"と
呼ばれたりする要素)
カードはそれぞれ
攻:場に出ていてバトル参加するときのパワー
援:サポートとして使用されるときのパワー

を持っており
場のキャラの「攻」と
サポートの「援」を合計
して
総合パワーを計算します
総合パワーを比較してバトルの勝敗を決定!
(数値が同じ場合は両者敗北)
4. バトルの結果、
敗北した側のカードはダメージゾーンへ
(=1ダメージ)

このバトルを繰り返していき、どちらかが以下の勝利条件を満たした時点で終了です。

<勝利条件>

 ・先に相手に5ダメージ与える
 (=バトルに5回勝利する)
 ・相手のデッキが0枚になる


どうでしょう?
ここまでは非常にシンプルなルールで分かりやすいですよね。

一点、敢えて省略した面白い部分があるのでご紹介します。
それは、バトルに勝利した側の処理です。

先ほどは「バトルの結果、敗北した側のカードはダメージゾーンへ置く」と書きましたが、では勝利した側はどうなるのか。

まず、バトルに勝利した側のカードは捨て札に置かれてしまいます

そして…
なんと、
サポートに使用したカードが
代わりに場に置かれます


これは他のTCGでは見たことのない、斬新なルールです。(この斬新さが読んでる方にどれだけ伝わるかわかりませんが…)

サポートのパワー(支)が高いカードは
場に置かれたときのパワー(攻)が比較的低く設定されているため、
何も考えずにサポートのパワーのみ見て使うと
次の相手のターンにパワーの低いカードが場に残ってしまうのです。
(すると相手はパワーの高いカードで殴ってきます。そうすることで手札のサポート用カードを温存できるからです)


このルールにより、ただ強いカードに強いサポートを使えばいいという単純なゲームではなくなり、初手からゲームの流れを予想し、どのカードをサポートに使用すべきかいつサポートすべきかを思考するゲーム性が生まれています


更にゲームを面白くする要素

正直、上記ルールだけでも十分楽しく遊べるのですが、このゲームには他にもゲームを面白くする要素があるのでご紹介します。


■ 要素①
<追加サポート(カード効果)>

各カードには、エネルギーを消費するなどして発動できるカード効果が記載されています。

代表的なものがこちらの追加サポート

【エネルギー2枚使用】手札のこのカードは
自分の場にいる「ゼット」のキャラクターを
追加サポートできる

本来、サポートの使用は1バトルにつき各プレイヤー1枚までです。
しかし、このカードの能力を使用すれば、追加のサポートができます。
追加サポートは相手の計算を狂わせ、ゲームの主導権を握ることに大きく貢献します。

この能力を持つカードは多く存在するため、「追加サポートを打たれる可能性がある」ということまで考慮し、相手の手札枚数やエネルギー数を見てプレイングする必要が出てきます。カードゲームプレイヤーが好きなゲーム性ですよね。


■ 要素②
<衰弱状態  (カラータイマー 赤点滅)>

ウルトラマンの代名詞的特徴とも言える
カラータイマーは皆さんご存じですよね?
(本来のデザインでは
存在していないそうですが)

ウルトラマンシリーズでは、ウルトラマンの活動エネルギーが減少すると、カラータイマーが赤く点滅を始めます。
中国版ウルトラマンTCGにはこの要素もゲームシステムに盛り込まれています。

殆どのウルトラマンのカードは「攻」の数値を2つ持っており

上部 青字が
全力状態(通常時)のパワー
下部 赤字が
衰弱状態(タイマー点滅時)のパワー
となっています
この数値を持ったウルトラマンは
バトルに敗北したとき
カードを横向きにして
衰弱状態(タイマー点滅状態)にすることで
場に留まることができます
(留まらないことも選択できます)

カードが場に留まる代わりに、デッキ上のカード1枚がダメージゾーンに置かれます。

つまり、
 ・結局 1ダメージは受ける
 ・パワーの下がったウルトラマンが場に残る
ということになります。

パワーが下がったウルトラマンが場に残ると次のバトルで狙われて再度敗北する可能性が高くなるため、単純に考えるとマイナス要素しかありません。

しかし、他のウルトラマンとのシナジー効果が期待できる場合は、その限りではありません。

例えば、こちらのカード
場に残ることで他のウルトラマンのパワーを+1000できます

このように、衰弱状態になってでも敢えて場に残ることで盤面を有利にできることがあります。

つまり、タイマーが点滅したウルトラマンと仲間のウルトラマンが共闘することでピンチからの逆転が狙えるわけです。

このゲーム展開、アツくないですか?

■ 要素③
< 形态转换 (フォームチェンジ)>

歴代のウルトラマンシリーズには、ウルトラマンが姿と能力を変える "タイプチェンジ" などと呼ばれる要素が存在しています。(参考:歴代ウルトラヒーロー タイプチェンジ等一覧

タイプチェンジ要素が初登場したのは
ウルトラマンティガ(1996年)
ティガは見覚えがある方も多いかな?

この原作シリーズに存在する要素を再現したシステムが「 形态转换(形態転換, フォームチェンジ)」です。

このカードゲームでは、自分の場に出ているカードを手札のカードで張り替えることは基本的にはできませんが、「 形态转换(フォームチェンジ)」はその例外です。

形态转换(フォームチェンジ)ができるのは、
」というアイコンがついているカード
場に「」アイコンを持つカードが
存在するとき
場のカードを捨て札にし、
手札から同名カードを出すことで
フォームチェンジ(場のカードの張り替え)
ができる!!

デッキ次第では、原作通りのタイプチェンジによるパワーアップシーンが再現できるわけです。

また、衰弱状態(カラータイマー点滅)になってしまったカードも全力状態(通常状態)のカードに交換することができるため、衰弱状態で場に残ってシナジー効果を維持しつつ、下がったパワーをケアできるという、カードゲーム的にも面白みがある要素です。


以上が中国版ウルトラマンTCGの簡単なルール説明です。

いかがでしょうか。
ルールがシンプルで分かりやすく、かつ原作再現要素をシステムに上手に織り込んだ作品であることが伝わっていれば幸いです。

ここからは上記ルール説明内では紹介しきれなった、このカードゲームの良さをご紹介します。


このカードゲームの特徴

シリーズごとの原作再現

このTCGが、「カラータイマー」や「タイプチェンジ」といった歴代のウルトラマンシリーズに共通する要素を丁寧にゲームシステムに取り込んでくれているのは上述した通りです。

これだけでも十分、原作再現できているといっていいレベルですが、このTCGはウルトラマンの各シリーズごとの特徴個々のウルトラマンの特徴もカード効果に織り込んでくれています。

一例として、私が購入した
ウルトラマンタイガのスターターセットの
カードを例に紹介いたします。

「ウルトラマンタイガ」という作品は、主人公1人が 3人のウルトラマンをその身に宿すというシリーズでも少し特殊な設定の作品です。
この3人のウルトラマン、タイガ、フーマ、タイタスは、《トライスクワッド》というチームを結成して原作で活躍します。

このTCGは
きちんとその要素を取り込んでおり、
《トライスクワッド》
(中国語表記:「三人小臥」)

を対象にした効果が多く、
この画像のように三枚絵の構成
用意してくれています

また、その他にもパワーとタフネスが売りのウルトラマン タイタス(画像左)が「相手はこのカードしかバトルの対象にできない」といった効果を持っているなど、個々のウルトラマンの特徴をカード効果に反映してくれています。

ここまでの原作要素再現をしてくれるカードゲームはなかなかありません。

コレクション性

このカードゲーム、カードゲームとして面白いだけでなく、コレクション性も非常に高いです。

というのも、カードイラストが日本メディアでは存在していないオリジナルでクオリティの高いイラストばかりです。

スターター1つに収録されているだけでも
1人のウルトラマンにつき
6~7種類のカードが存在しており、
すべてのイラストに気合が入っています
また、スターターのカードですら、
殆どがキラ加工や箔押しの入ったものです。
(ここまで紹介した画像の
金色の部分はほぼすべて箔押しです)


中国市場で1枚20万円以上の値がついて取引されているのも頷けます。


入手方法

ここまでご紹介した中国版ウルトラマンTCG(ウルトラマン ヒーローバトルシリーズ)ですが、唯一の欠点は入手が非常に難しいことです。

ヤフオクやメルカリでは出品を見たことがありませんし、中国の大手ECサイトであるAliexpressにも見当たりません。
もし出品を見かけたら即購入をオススメします。

確実に入手する手段は、現地での購入です。

現地の玩具屋さんでは
特に品切れなどもなく販売していました
ハードルは高いですけどね…

現地での入手方法は私の別記事(中国上海カードゲーム探訪記)などを参考にしていただけると幸いです。


プレイした感想

最後に、このカードゲームをプレイした私の感想ですが、

このカードゲーム、めちゃくちゃ面白いです。

1ゲームの時間が短く手軽
で、勝つためのプレイテクニックと引き運のバランスが絶妙であるため、何度もプレイしたくなるカードゲームです。

私と一緒にプレイした方々も非常に気に入っておられたので、皆さんにも自信を持ってオススメいたします。


カードゲームとして面白く、これでもかというほどの原作リスペクトに溢れた作品です。
ウルトラマンファンの方は、カードゲームとしてもコレクションとしても絶対に持っていて損のない作品なので、是非入手しプレイしてみてください。

ただ、上述したように入手方法が限られてしまっているため、どうしてもプレイしたい方がいらっしゃったら私のXアカウント(@morokyuPCG)にご連絡ください。スターターセットを2つ持っているのでお貸しいたします。


長々とした記事をここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
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また、他のカードゲームの紹介記事も執筆する予定ですので、フォローして今後も記事を読んでいただけると嬉しいです。
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