エピソード1「タイムスリップ」
いつもと変わらない平凡な日々。
「なんか面白いことないかな〜」
そのセリフももう口癖みたいになっている。
僕は大学2年生。
いつもと変わらない景色の帰り道。
いつもと変わらず家の駐輪場に自転車を止める。
いつもと変わらずポストを開ける。
いつもと変わらずチラシが入っている。
「何だこのチラシ。タイムスリップ?0円?」
0円だったらやってもいいか。チラシに書かれた電話番号に電話を掛ける。
プルルルル
「お電話ありがとうございます。タイムスリップ研究所です」
「あの〜。タイムスリップ0円のチラシを見てお電話したのですが」
「ありがとうございます」
「0円とあるのですが、本当に0円でタイムスリップできるのですか?」
「はい。もちろん0円です」
「過去に行きたいのですが、、、」
「すみませんが過去には行くことができません。行けるのは未来のみです」
「未来に行きたいです。日にちは指定できるのですか?20年後に行きたいです。」俺はどんな生活しているんだろ。豪華な家に住んで高級車に乗って。。
「では。お申し込みされるということですね。20年後にタイムスリップするキットを今からお送りします」
ほどなくして、玄関の呼び鈴がなった。
「お届け物で〜す」
「はーい」
届いたのは20cmくらいの小包であった。中にはカプセルが1錠入っていた。
プルルル。
「先程電話した者ですが、キットが届きました。このあとどうすればよいのですか?」
「ありがとうございます。20年後にタイムスリップできるキットです。カプセルには20という文字が刻印されてますか?」
「はい」
「では、それを飲んで下さい」
「これを飲めばタイムスリップできるんですね?」
「はい。タイムスリップできます」
言われたままにカプセルを飲む。
「飲みました」
特に変化はない。
「しばらくすると眠たくなってくるはずです」
1分2分。。。。
「そろそろ薬が効き始めた頃ですが、体に変化はありませんか?」
「少し眠くなってきました」
「効果が出始めてますね。そのうち完全に眠りに落ちます。目が覚めたときには20年後です」
「ただいまー」
母の声だ。
「またこんなところで寝て。この子ったら」
声は聞こえるが体が動かない
「よっぽど疲れてるのね。もうこの子ったら」
そう言いながら母が毛布をかけてくれた。
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