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前立腺がんに罹患し全摘手術しました(前編)

 ちょうど1年前、前立腺がんに罹患していることがわかり、検査、手術を経て現在は殆ど普通戻りました
 同じ病気に罹患している人に少しでも参考になればと思い、その記録を残しておきたいと思います
 私も、以前noteにアップされている前立腺がんの記事がとても参考になりました

 思い起こせば、昨年の6月、人間ドックを受診した時からこの病気との付き合いが始まりました
 そして1年が経過がし、手術後の診断を踏まえてとりあえず一段落です

   医師によると再発の確率は30%らしいですが、それはその時に考えると言うことで、この1年間の経過をブログにアップしましたので興味のある方はご覧ください
 長くなりますので、2回に分けてアップします


1.今回を通しての感想

1) 自分の今後についてあらためて考えさせられました

 前立腺がんは、一般的に進行が遅く、今すぐに死に至るような病気ではありませんが、今後の治療方針について医師と話をした際、「現在69歳でこれに男性の平均寿命、この病気の5年後の生存率を考えると・・・」との発言を聞いて、あらためて自分の年齢(69歳)と寿命について考えさせられるきっかけとなりました
 特に、「がん」のイメージからこの会話はより現実味を帯びたものでした

2)罹患が発覚するには何か予兆があるはずです

 人間ドックを受けているから大丈夫と思わないことだし、逆に細かく様々な検査を受けようとしたら際限がありません
 何か気になる事が出てきたらその都度速やかに受診すること、それで手遅れだったらそれは運命として受け入れるしかないと思います

 今回の場合も数年前から尿の出が悪いとの自覚はありましたが放っていました

2. そもそも「がん」について

1)どこかのCMで見たことがあるはずですが・・・

 みんなが知ってる通り「がん」は日本人の死因第一位です
 国立がん研究センターが発表したデータによると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は2人に1人、死亡する確率は4~5人に1人となっています

がんと診断される確率  男性62.1%(2人に1人)、女性48.9%(2人に1人)
がんで死亡する確率   男性25.1%(4人に1人)、女性17.5%(5人に1人)

国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」より

2) 部位別の死亡数と罹患者数

 部位別の死亡数では、男性では肺が最も多く全体の24%を占めており、続いて大腸、胃、膵臓、肝臓の順となっています
 参考までに、女性では、大腸が最も多く全体の15%、続いて、肺、膵臓、乳房、胃の順です

がん研究振興財団資料より引用

 一方で、罹患者数は、男性で前立腺が最も多く17%を占めており、高齢になるにつれてその比率は高くなります

がん研究振興財団資料より引用

3.前立腺がん

1)前立腺とは

 前立腺は男性のみにある臓器で、膀胱の下に位置し、尿道のまわりを取り囲み栗の実のような形をしています

前立腺

2)前立腺がん

 前立腺がんは、前立腺の細胞が正常な細胞増殖機能を失い、無秩序に自己増殖することにより発生します
 早期に発見すれば治癒することが可能で、また、多くの場合比較的ゆっくり進行し、5年相対生存率99.1%、10年早退生存率78%です

 早期の前立腺がんは、多くの場合自覚症状がありません。しかし、尿が出にくい、排尿の回数が多いなどの症状が出ることもあります
 進行すると、上記のような排尿の症状に加えて、血尿や、腰痛などの骨への転移による痛みがみられることがあります

4.発覚のきっかけは

1)振り返れば数年前からその兆候が・・・

 尿の出に元気がないとの自覚はありましたが、前立腺肥大だろうと勝手に思い、ほったらかしにしていました

 会社の健康診断に甘んじ、退職後も人間ドックを受診せず、また前立腺がんのPSA検査も受けていなかったので、発見が遅れました
 今回の医師との話では、「数年前から罹患していたはず」との事です

2)人間ドックがきっかけ

 そんな中で、人間ドックを受診し、その際PSA検査(血液検査で済みますし、たった3000円です)を追加しました

 結果は、正常値の範囲が「0~4.0」のところ「3.6」、そこで一旦はほっとしましたが、人間ドックを受けた病院から精密検査を受けた方が良いと言うことで、後日泌尿器科を訪れました

 ちなみに、このPSA検査は前立腺がんを早期発見するためにも最も有用な検査で、がんや炎症により前立腺組織が壊れるとPSAが血液中に漏れ出し増加するので検出が容易と言うことだそうです

3)泌尿器科を受診しましたら・・・

 受診では「尿の勢い」や「残尿量」そして「PSA値」を受診したところ、やはり尿の出は芳しくなく、PSAの数値は変わりませんでした

 ただ、医師との会話「父親が前立腺がんに罹患している」と話すと、この病気は遺伝性の影響が強いのでMRI検査を受けた方がいいと勧められました

 後日、MRI検査を受けましたが、小さながんの可能性が見つかり、早速専門の病院を紹介されました
 なお、その病院は父親が20年通った病院で、私も父親を連れてよく行きました

5.検査から手術決心までのプロセス

1)早速専門で受診しました

 PSA検査はすでに受けていたので、いきなり「直腸診・経直腸エコー診断」です

 「直腸診」は医師が肛門から指を挿入して前立腺の表面の状況を、「経直腸エコー診断」は超音波を発する器具(プローブ)を肛門から挿入して前立腺の大きさや形を調べられました

 結果、明らかな問題は見つからなかったみたいですが、なにせ太い器具にコンドームを被せ肛門から入れられた時、「ウウッツ!」とした感じで。その後数日間は肛門あたりに違和感が残りました(笑)

2)最終的には生検です

 PSA、直腸診、エコー診断を受けたものの、最終的には「生検」を受けることになりました

 「だったら最初からそうすれば良いのに・・・」と思いつつ、検査日程の空き具合から生検は1ヶ月以上先です

 これは、前立腺の細胞を何ヶ所(私の場合は12ヶ所)か取って、がん細胞の有無とその深刻度合いを調べるもので、私の生検は2泊3日の入院で「経会陰式」で行われました

<生検>
・肛門から超音波検査機器を入れ、前立腺の様子を観察します
・陰嚢と肛門の間の会陰部から針を刺し、前立腺の組織を採取します

 その前に手術するのに問題はないかの確認のための検査、具体的には血液検査、尿検査、レントゲン、心肺機能チェック、心電図検査を受けます
 ここからもわかるように、生検といっても、2泊3日の入院を伴う検査、下半身に麻酔をして行われるので「手術」と同じです

 当日は、お昼過ぎ頃入院し、翌日朝から点滴が始まり、9時に手術室に向かいます
 そこはよくテレビで見るような大きな扉と番号が書かれた手術室が並んでおり、その一室に入ります
 執刀医と看護師さんが何人かいて、背中から麻酔注射をされ、後は先生にお任せ状態でした

 1時間程して遠くから声が聞こえて目が覚め、すると、身体には尿管が繋がれ、点滴と合わせてじっとして一晩過ごし、翌朝には尿管も外され、午後には退院です

3)生検の結果

 生検から1週間後、結果を聞きにいきました

 まぁ、癌の疑いと言いつつもPSAも基準内だし、大したことなく経過観察しつつ治療かなと思って行ったところ、結果は12ヶ所中7ヶ所でがん細胞が見つかり、そのうち5ヶ所が悪性度も高かったです

 想定外でしたし、そこは冷静に受け止めるしかありませんでしたが、意外と冷静でした

 「では今後治療をどうするのか」ですが、選択肢として、「摘出手術」、「放射線治療」、「薬物療法」、「監視療法」があります

 それまでにも色々調べてもいたので、その段階ではスッキリ「全摘手術かなぁ~」思ったのですが、その前にまだ色々検査を受ける必要があります
 とりあえず、手術の日程を仮押さえしましたが、それは2ヶ月以上も先でした

4)画像診断

 手術の前に、がんが他に転移していないかどうか調べるための画像診断を受けました

 画像診断は「CT検査」「MRI検査」「骨シンチグラフィ検査」がありますが、MRI検査は既に受けており、残りの二つの検査を受けました

 CT検査はがんが他臓器、特にリンパ節転移や肺への転移がないかを調べる検査で、シンチ検査は骨に転移があるかどうかを調べる検査です

 因みにMRI検査では、がんが前立腺内のどこにあるのか、前立腺の外への浸潤がないか、リンパ節への転移がないかなどを調べます

 このシンチ検査は、放射性医薬品(ガンマ線という放射線を出す薬)を静脈に注射し、体内に取り込まれた部分から放出されるガンマ線を専用の装置で体外から計測することによって薬の分布を画像化する検査方法です

 そのために、注射してから3時間程度経ってから検査となり、その間外出し、おいしい昼食をいただきました

 両検査とも台の上に寝ているだけで済むので全然苦痛ではありませんし、結果は、両検査とも大丈夫でした

 正直、転移が見つかると大変だと思い、不安がいっぱいでしたので本当にホッとしましたし、後はじっと我慢して全摘手術を受けるだけです

 これらの検査を通してひとつだけ良かったことといえば、頭部を除いて他の臓器のがん検査もできたということです

5)最終的に「全摘手術」を決定

 最終的の診断結果は、「がんは前立腺内に留まり、他への転移はないものの、細胞検査のリスク分類では高リスク」でした

 前立腺がんの進行は遅く、治療方法も色々ありますが、すっきりしたいと言う気持ちも強く、また69歳と言う年齢や今後の不安感も考えて「全摘手術」をお願いすることにしました

 手術の方法には開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術があり、私はロボット手術で行うことができました

 このロボット手術は、下腹部に小さな穴を数ヶ所(6ヶ所)開けて、精密なカメラや鉗子を持つ手術用ロボットを遠隔操作して行う方法で、微細な手の震えが制御され、拡大画面を見ながら精密な手術ができます

 私の場合は、お腹の両側に2ヶ所ずつとおへその所に1ヶ所、その左上に1ヶ所と合計6ヶ所に穴があり、出血も少なく、1週間後には傷口のテープが剥がされました

この続きは、後編へ → 

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