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木育イベント「LOVE! TOKYO FOREST」というネーミングのこと。
2018年の秋に仲間数名と木育のイベントを開催した。
木育 ーー 最近よく聞くようになった言葉だが、当時はとくに興味も関心もなかった。いや、正確に言うと普段の生活の中に「木」とか「山」との接点がなかった。
とはいえキャンプは好きだし、釣りもやっていたし、どちらかというと「自然」は嫌いな方ではなかった。むしろ好んで「自然」との接点を持とうとしていた方だ。
ただ「木」とか「山」となると話は別だ。日曜大工で「木」の家具をDIYするような柄でもない。「山」に行くにしても具体的なアクティビティが伴わないというか。登山はハードルが高いしトレイルランもなんだかなあ(大変そう)。
山に対してはおよそそんなイメージだったのだが、あるとき知人から「木育イベントを一緒にやらないか」と声をかけられた。そのときは木育という言葉の意味もよく理解していなかったし、そもそも声をかけてくれた知人以外のメンバーは知らない人だ。
普段の僕だったら断っていた。自分がやりたいことかどうかもわからないし、ましてやメンバーも知らない人だ。何かをするときは「自分がやりたいかどうか」が判断基準になるんだけど、このときは何をするのかも良くわからないまま参加を決めた。もしかしたら心のどこかで、「山」と関わりが持てるということにワクワクしたのかもしれない。
そういえば以前、有楽町のガード下で飲んでいたとき、近くのテーブルにいた占い師(どんなシチュエーションだよ!)に、「将来は自然に関係した分野にいくのでは」と言われたことがあった。そのときは「?」だったが、もしかしたらその予兆はあったのかもしれない。
ちなみに。「木育」という言葉をGoogleのAIに解説してもらうとこんな感じ。
木育(もくいく)とは、子どもから大人までの人が木とふれあい、木に学び、木と生きる取り組みです。北海道庁が2004年に提案した教育概念で、幼少期から木材や木製品に触れることで、木材への親しみや木の文化への理解を深め、人と木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育むことを目的としています。
「育」という字から、てっきり子ども向けの取り組みのことだと思っていたけど、そういうわけでもないようだ。
ーー
さて。イベントを開催するにあたって、キーとなる人物に会いに行くことになった。実際に会ってイベントの説明と協力要請をしようというわけだ。その人物とは、山界隈(そんな界隈があるかどうかは知らないけど)ではすっかり有名な東京チェンソーズ代表の青木亮輔さんだ。
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東京チェンソーズの事務所は東京都の西の方、檜原村というところにある。実際に行くとわかるが、本当にここは東京都?と思ってしまうほど緑豊かな、それはもう見事な「山」だ。そんな山の中にある、東京チェンソーズの事務所にメンバーと向かった。
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古民家を活用した東京チェンソーズの事務所でイベントの概要を伝え、さらに協力をお願いする。結論から言うと、喜んで協力してもらえることになった。しかもイベントのメインは青木さんの講演。東京の林業の重要人物の講演が決まったことで、ずいぶんとちゃんとした木育イベントとなったのだ。
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さて。そんな「ちょっと本気」なイベントとして開催が決まり、まずは名称を決めようということになった。どんな名前が良いのか?うーんうーんと思い悩んだと思うのだが、さてどのように考え言葉を選んでいったのか?当時を思い出しながら思考のプロセスを辿ってみたい。(ここからが本題)
ーー
まず、このイベントの「コア」は何かを考える。イベントの趣旨としては、「東京にも豊かな森があるって知ってましたか?この森を次世代に残していくために、まずは東京の森林について知ることから始めましょう」といった感じ。なので、それがわかる言葉は入れたい。
東京
TOKYO
山
森
木
里山
森林
WOOD
FOREST
言葉としてはこのあたりだろうか。ではこの言葉に何を付け足せば良いか?サブタイトル的な副題も合わせて考えてみた。
東京里山はじめて学校
〜知ることからはじめよう。東京里山と暮らしの関係〜
学びを全面に押し出したタイトル案。
収まりが良いというか語呂が良いというか、耳馴染みが良すぎてあまり引っかからない。木育だからといって「学校」と言ってしまうのも参加者を限定しそうだ。…ちなみに里山というのは、生活の場に近い山すそ(=いちばん身近な森林)のことで、雑木林や竹林などをイメージすると近いと思う。
東京森林たのしみ祭り 2018
〜東京の木をたのしむ暮らしかた〜
学校からの飛躍。でも「祭り」まで行っちゃうと学びの意識が遠のいてしまう。あくまで「木育」の一環としてのイベントなので、「祭り=あそび」だけをクローズアップしてしまうというのも、ちょっと違うか。
メイドイン東京の木と木と木(いまある木、育てる木、使う木)
〜東京産の木 これからの暮らしかた〜
東京産の木の可能性を、いまの「東京の木」の現状と、これからの「東京の木」のあり方と、具体的な「東京の木」との関わり方を考えようという、3つの方向性とともに示した案。
やりたいこと、思いは込められているけど、「木と木と木」となると、なんだか工芸品とか物産展的なイメージを抱いてしまいそう。(なんかそんな名称の催事があったような…)
もっとシンプルにわかりやすく、でも「ん?」とひっかかる言葉を組み合わせられないか?
トーキョーシンリン40
〜東京の木と共に生きるみらい〜
40というのは東京都の森林の面積が40%という意味。40って何?とフックにはなる。でもタイトルをカタカナするというのはちょっと違うかな。
東京森林 空と山と水の環(わ)
〜東京の木と共に生きるみらい〜
東京の森林を構成する大切な要素をタイトルに入れた案。悪くないけど、ちょっとイベント感が足りないというか。もっと「東京の森」にフォーカスしたい。
T2 STUDY MEETING
〜東京多摩からはじめる木の勉強会〜
T2というのは、「東京」と「多摩(イベントの開催地)」の頭文字。ひねりすぎたか。「ひっかかる言葉を」という部分に引っ張られすぎたかな?
AROUND LIFE, TOKYO FOREST.
〜東京里山を考える。未来の暮らしを考える〜
あなたの暮らしには東京の森林が存在するんですよ、東京の森林と共存できる未来の暮らしをちゃんと考えましょうね。…悪くないけど、もっとこう、東京の森林のことを大切に真剣に考えようね、というイベントの趣旨をストレートに言った方が良いよなあ。ただ、英語というのは良いかも。さらっと流し見せずに、頭の中で言葉の意味を考えるだろうし。
LOVE ! TOKYO FOREST
〜あなたの暮らしに東京の木を〜
大切なコトとかモノへの思いって要するに「愛」だよね。「大切に思う」の究極は「愛」。そう、東京の森林のことをもっと大切に考えようよ、っていうことは、要するに「LOVE」ってことだよね。
LOVE だけだとなんか気恥ずかしいから(本気モードが照れる)、後ろに「!」を加えてちょっと勢いをつけてみる。「LOVE !」
「愛してる」というウェットなささやきから、「好きだぜ!」という健康的な告白になったように思う。夜ではなく朝というか。
上記のタイトル案でメンバーにアンケートをとったところ、満場一致で「LOVE ! TOKYO FOREST」に決まった。
イベントのサブタイトルは「知ることからはじめよう」とし、ボディコピーでこの木育イベントの趣旨を説明していく。同時に、イベントタイトルに突然の告白のように登場した「LOVE」についてもその意味がわかるように言葉を重ねていく。
あなたの暮らしに東京の木を。
家族や仲間、何気ない日々の暮らし
あたりまえだけど、なくてはならない大切で愛おしいもの。
その気持をちょっとだけ東京の森林にも向けてみませんか?
それはあなたの愛する家族を、仲間を、そして
日々の暮らしを豊かなものにすることにつながります。
たいせつな人と共に暮らす、こころ豊かなみらいのために、
東京の森林にもLOVEを。
LOVE! TOKYO FOREST
かくして木育イベントは無事開催された。(当日の様子はこちらのページのレポートを御覧ください)
これは後々の話だけど、「ラブトーキョーフォレスト」って長くてちょっと言いにくいなと思っていたところ、誰かが「ラブフォレ」と言い出した。こういう自然発生的な呼称(個人的にキムタク現象と呼んでいる)が誕生するというのは良いなあ。命名者の手を離れて勝手にいじられていく、という様子はとても好ましい。
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おまけ。
イベントのロゴも作ってみた。「東京の森林」というイベント趣旨を踏まえ「木」をイメージしてデザイン。
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後々、積み木としても成立させたいので、文字は直線と円だけで構成。積み木の箱に入っているようなイメージで、グリッドに沿って文字を組んでいく。カラーは「山」にある色から抽出していき…
![](https://assets.st-note.com/img/1717482771749-HW6eTnxdbJ.jpg)
最終的にはこんな感じでフィニッシュ。木に押す焼印としても使えると良いな、なんてこともイメージしたデザイン。
![](https://assets.st-note.com/img/1717483487993-7ers96HREc.jpg)
イベント用に作ったTシャツとステッカー、バッジ、トートバッグ。
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![](https://assets.st-note.com/img/1718255124404-CrlpifujZH.png)
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やっぱりないと不便ということで後から作った名刺は「東京産の木」から作られた紙に印刷。
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LOVE! TOKYO FOREST というのは一回限りのイベントの予定だったけど、その後も一回イベントを行った。その後はやりたい人で他のイベントに参加したり冊子を作って配布したりと、なんだかんだ活動は続いている。いまは有志の活動体みたいな感じかな。
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さて、イベントの名称をどう考えたのか?ということを書くつもりだったけど、なんだかイベントの総括みたいになっちゃったな。まいっか。