ちりつも!バズらせないPR動画戦略
過疎地域での観光PR戦略:極小コンテンツ制作の提案
こんにちは、秋田県北秋田市という人口3万人弱の田舎で宿屋をやっている織山と申します。
今日は私の考えるこれからのローカル観光業界における新たなPR戦略についてまとめてみたいと思っています。
私自身、美術大学の映像学科を卒業し、ポストプロダクションでの仕事を経験しています。この経験を活かし、映像制作の基本技術や効果的なストーリーテリングの手法を地域住民に伝えることができます。また、地元の人々が自信を持ってコンテンツを作成し、発信するサポートを行いたいと思っています。
お時間ある方はお読みいただき、何か感想や思うところがあればお気軽にコメントいただければ幸いです。それではいきましょう!
1. 現在の状況分析
過疎地域は、言わずもがな人口減少や経済活動の低迷など、さまざまな課題に直面しています。その中で、観光業が地域活性化の一つの手段として期待されていることは広く認識されてきたと思います。しかし、効果的なPR戦略を持たない多くの地域が観光客を惹きつけることができず、苦戦しています。
一方で、PR戦略が成功し、SNSや動画プラットフォームで万バズ(多くの人に拡散されること)を達成すると、今度はオーバーツーリズム(観光客の過剰集中)が問題となります。短期間で大人数に広まってしまうと、過剰な人が訪れます。過剰な観光客は、地元の生活環境に悪影響を及ぼし、地域の自然資源や文化遺産にダメージを与えることがあります。さらに、一過性のブームに終わり、持続的な観光資源としての魅力を損なう可能性もあります。
2. 極小コンテンツ制作の提案
これらの問題を解決するために、「極小コンテンツ制作」という新しいPR戦略を提案します。この戦略は、少ない再生回数(1000再生が目標!)を目指す小規模なPR動画を多くの地域住民が作成・発信することにより、累積的に大きな影響力を持つことを狙っています。
理論的背景(極小コンテンツ制作のメリット)
極小コンテンツ制作の基本理論は、1000再生の動画を1000人の地域住民が作成・発信することで、合計で100万人の目に触れる(100万再生!ミリオンヒット)というものです。この戦略は、以下のようなメリットがあります。
過大な拡散を防ぐ: 1000再生の目標により、万バズを避け、オーバーツーリズムのリスクを軽減します。これにより、観光客の集中を防ぎ、地域資源の持続可能な利用を可能にします。
良質な顧客の獲得: 小規模なPRは、より関心の高い顧客に対して精確にアプローチすることができ、質の高い観光客を惹きつけます。主に投稿者の知人友人の範疇に収まることでしょう。これにより、地域に対する理解や関心が深まり、持続的なリピーターを生み出すことができます。また、よく言われることですが、1万再生を超えてくると、関係の無い人が紛れ込んできたり、わざと悪意のあるコメントを残すような人も増えてきます。そのような悲しいミスマッチも防ぐことができます。
地域住民の参加意識向上: 地域住民が自らコンテンツを作成・発信することで、観光資源としての地域の魅力を再発見し、地域への愛着や誇りを高めることができます。
多様な視点からの発信: 多くの人が関与することで、地域の多様な魅力を様々な角度から発信できます。これにより、一面的な情報発信ではなく、豊かで多層的な地域の魅力を伝えることができます。
低予算での実施: この戦略は、専門的な撮影機材や大規模な広告予算を必要としないため、限られた予算でも実施可能です。スマートフォンや家庭用のデジカメを活用し、クリエイティブなアイデアでコンテンツを作成できます。
小さな仕掛けの重要性: 過去の成功例として、ある中華料理屋がテーブルの上に荷物置きの金網を取り付けていたところ、お客さんが上からのアングルで撮影できると気が付き、TikTokで拡散したことで人気を集めた事例があります。(この場合は狙ったものではありませんでしたが)このように、簡単な工夫や仕掛けで注目を集めることができるのです。極小コンテンツ制作も同様に、小さな仕掛けや工夫を取り入れることが重要です。例えば、地元の特産品をユニークな方法で紹介する、地元の伝統的な祭りやイベントの舞台裏を映し出すなど、視聴者が興味を持つポイントを押さえることが大切です。
3. 具体的な戦略と実施方法
3.1. コンテンツの作成
地域住民一人一人が、地元の魅力を伝える1000再生を目標とした短い動画を作成します。
テーマ選定: 地元の自然景観、文化、歴史、食、イベントなど、多様なテーマを取り上げる。
ストーリーテリング: 個々の体験やエピソードを盛り込み、視聴者に共感を呼び起こす内容にする。
簡単な編集技術: 短い時間で視聴者の興味を引くために、基本的な編集技術を使い、視覚的に魅力的なコンテンツを作成する。主にフリーソフト、無料アプリを使った最低限の動画をつくっていきます。
3.2. 発信と拡散
動画の発信は、以下のように行います。
SNSの活用: 地域住民それぞれが自分のSNSアカウントを使って動画を発信します。地域のハッシュタグを統一し、一貫したブランドイメージを形成します。
地域の公式アカウント: 地域の観光協会や自治体の公式アカウントからも動画をシェアし、フォロワーにリーチします。
地域イベントでの上映: 地元のイベントや集会で動画を上映し、地元住民同士で共有する機会を作ります。
4. 結論(1000×1000=100万回)
以上がバズらせない動画戦略の紹介でした。過疎地域の観光PR戦略として「極小コンテンツ制作」は、オーバーツーリズムのリスクを避けつつ、持続可能な観光開発を実現する有効な方法です。この戦略は、地域住民の参加を促し、良質な観光客を惹きつけ、地域の魅力を多様な視点から発信することを可能にします。低予算で実施できる点も大きな利点であり、過疎地域の観光振興に新たな光をもたらし、地域活性化の一助となることが期待されます。
私自身の経験でも100万再生を超える動画はつくっていますが、それは運にも左右されると感じています。でも、1000再生くらいであれば、少し見やすく編集をしてあげるだけでも、普段の日常ムービーでも見てもらえます。
一気に過熱して、後にはケシズミしか残らないバズる動画戦略よりも、1000人の素人動画クリエイターで1000再生を積み重ねていった方が、ローカルの豊かさを表現できるのではないでしょうか?
どうでしょう?みんなで一緒にショート動画を撮ってみたくなりました?
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