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登山ガイドと一緒にする登山の楽しさ

経験者にとっての「登山の魅力」と「孤独な挑戦」

登山を愛する人にとって、山は挑戦の場であり、癒しの場所でもあります。

経験を重ねれば重ねるほど、山を歩くスキルや体力も身につき、自分のペースで自然を楽しむことができるようになります。多くの登山愛好者が、何度も同じ山を訪れ、その美しさに魅了される一方で、次第に「自分の山」として独り歩きにこだわるようになることも少なくありません。

山頂にたどり着く達成感、静寂の中での孤独な時間、そして山との一体感。これこそが登山の醍醐味だ、と感じている人も多いでしょう。

私自身もその一人でした。初めての登山から10年近く年が経ち、地図を読み、気象を把握し、自分のペースで山を楽しむことが当たり前になっていました。

特に地元の山であれば、何度も同じルートを歩くことで自信もつき、「ここは知り尽くした」と思うようにもなります。新しい登山ルートを探し、次々と挑戦することに熱中しながらも、次第に「自分だけで歩く」ことが自然となり、他の登山者との交流やガイドを頼むことは頭にありませんでした。

登山ガイドなんて初心者のためのものだろう」。そう思っていました。私の登山経験も増え、難しいコースもこなせるようになっていたので、ガイドが必要だとは考えなかったのです。しかし、そんな思い込みが、ある日覆されることになります。

ガイドと一緒に歩く新たな登山体験

ある日、友人に誘われて参加したガイド付きの登山ツアー。正直、最初は半信半疑でした。「自分で登れる山なのに、ガイドが本当に必要なのか?」と。しかし、その日ガイドと一緒に歩いた登山は、今まで経験してきた登山とはまったく違うものでした。

まず、ガイドの知識量に驚きました。同じルートを何度も歩いてきたはずなのに、ガイドの説明を聞くと、普段気がつかなかった植物や動物の生態系、地元の文化にまつわるエピソードなど、まるで別の山を歩いているかのように感じました。

例えば、道沿いにひっそりと咲いていた花が、実はこの地域特有の希少な植物であることや、その花が咲く条件など、ひとりでは到底知り得なかった知識が次々と出てくるだけではなく、笑いも混じったり、参加者を巻き込んだり、まるで演劇を見ているような、パフォーマンスアートを見ているような気分にもなりました。

登山は単なる体力の挑戦ではなく、地域とのつながりや生命の神秘を感じる文化的な体験でもあることに気づかされたのです。

また、ガイドのスキルは知識やコミュニケーション能力だけではありません。山の天候や地形に対する理解も深く、微妙な気象変化にも即座に対応してくれました。「今、この風向きからすると午後には天候が悪化するかもしれません。早めに山頂を目指しましょう」といった判断も、安心感につながりました。これまで私は、天気の急変に備えてはいたものの、ガイドのような即断はできていなかったことを実感しました。

さらに驚いたのは、山の中でのちょっとした「ご褒美」。登山の途中で、ガイドさんが地元の特産品を取り出し、登頂後の一息つく場面で振る舞ってくれました。疲れた体に地元の甘い一口が染み渡り、その土地ならではの味わいを堪能できました。これもひとりでは決して味わえない、ガイドツアーならではの特典です。

そして、登山中に突如訪れたアクシデント――登山靴のソールが剥がれてしまった時、冷静に対応してくれたのもガイドでした。私は正直、その時は剥がれたままでも歩く覚悟でしたが、ガイドは慌てることなく自転車のタイヤチューブを取り出し、見事な応急処置を施してくれたのです。この技術には感心させられましたし、何より安全に下山できたことは大きな安心感を与えてくれました。独りだったらペタペタとソールを引きずりながら途方に暮れていたことでしょう。ガイドがいることで、安心感と安全が何倍にも増すことを、改めて実感しました。

登山ガイドの真価—ガイド料以上の価値

この体験を経て、登山ガイドの真の価値を理解しました。多くの登山者が、「ガイドは高い」「自分で十分に登れる」と考えるかもしれません。

しかし、実際にガイドと一緒に登山をしてみると、その考えは大きく変わるでしょう。登山ガイドは、ただの道案内ではありません。安全を確保しながら、自然や地域の文化に関する深い知識を提供し、登山の楽しみをより豊かにしてくれます。

私にとって、ガイドを依頼した日は、ガイド料以上の体験が得られたと感じています。

特に経験者にこそ知ってほしいのは、ガイドを頼むことで「自分が知っている山」が「新しい山」になるということです。

同じルートを歩くにしても、ガイドがいることでまったく違う視点が生まれ、登山がより豊かで深いものになります。例えば、何度も訪れている山でも、ガイドがいればその土地特有の植物や文化的背景について学べる機会があり、登山がより充実したものになります。また、予期せぬトラブルが発生した際の安心感は、経験者であっても大きな価値があると実感するはずです。

今では、気になっていた新しい山やルートに挑戦する際には、積極的にガイドを頼むようになりました。特に未知のエリアや難易度の高い山では、ガイドがいることで心の余裕が生まれ、登山そのものをより楽しむことができるようになりました

山の楽しみは無限に広がりますが、その無限の楽しみをさらに深めるためには、ガイドという存在が欠かせないと感じています。

ガイドと歩く登山、次のステップへ

登山は単なるフィジカルな挑戦ではなく、自然や地域文化との対話の場でもあります。

自分ひとりで歩くことで得られる自由と達成感も素晴らしいですが、ガイドと一緒に歩くことで、新しい発見や楽しみが広がります。

経験者こそ、次のステップとしてガイド付きの登山を取り入れることで、より深い山の魅力に触れることができるでしょう。

独りでの山登りも良いですが、時にはプロの手を借り、より豊かで安全な登山体験を楽しんでみませんか?

ガイドとともに歩むことで、あなたの登山がさらに一段と楽しく、安全なものになることは間違いありません。

自分もそんな登山ガイドになれるように日々勉強中です!

お読みいただきありがとうございました。

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