高温の日中、マスクして外出するとパニック発作に
私のパニック症は、風呂でのぼせ「死ぬかも知れない」と思った体験が、記憶のどこかに強烈に刻まれていて、何らかの緊張やストレスをキッカケに発動するというのは以前から何となく分かっていたのですが、かと言ってコントロールするのは至難の業。一度パニック発作が起こると、「この苦しさは自分が勝手に作り出しているイメージ。窒息死することなどない」と自分に言い聞かせたとしても、それを上回る不安と肉体的苦痛に襲われ、「今度こそ本当に窒息死するんじゃないか!?」と気を失いそうになるのです。
今年の初夏、「風呂ののぼせ」と似た、パニック発作発動のきっかけになる出来事がありました。
コロナ自粛で、スポーツジム通いをやめ、自宅にこもる日々が続き、今までにない運動不足になりました。少しでも運動をしなければとゴールデンウイーク明け、大阪の自宅から実家のある奈良の田舎に帰る際、ビジネスカバンを片手にリュックを背負い、もう片方の手でキャリーバックを引きながら約7km先にあるターミナル駅を目指し歩きました。
私は街歩きが好きで、自宅と実家を往復する際は、どちらかは電車に乗らず荷物を持って街中を歩きます。これまで何十回と経験した道のりですが、その時は緊急事態宣言発動中。マスク着用でこの道のりを歩くのは初めてです。疲れたら、電車に乗ればいいやと気軽に自宅をスタートしました。
運動不足が心配だったのですが、思いのほか体は軽く、晴れ晴れとした気持ちで夜の街をテンポよく歩き、あっという間に残り半分になりました。喉の渇きも空腹もなく、いい感じで歩くことに集中できていました。
道のり全体の8割を歩いた辺りで赤信号で立ち止まると、同時に軽い疲労感が襲って来ました。青信号に変わり、歩こうとするのですが手足が鉛のように重く、思うように動いてくれません。以前にランニングをしていて、軽い脱水症状になり同じような症状になったことを思い出し、数十メートル先に見えるコンビンを目指すのですが……。さっきまでの軽やかが嘘のように、やっとのことでコンビニにたどり着きポカリスエットを買って、一気に半分ほど飲みました。以前はスポーツドリンクを飲めば数分で回復し始めたのですが、その時はなかなか回復せず、十歩歩いては立ち止まりを繰り返し、何とか最寄り駅にたどり着き、時間をかけて少しずつ駅の階段を上がりました。
乗り換え駅で降りると、体が動かず、近くの駅員に「コロナの症状はない」ことを伝えて、荷物を持ってもらい、駅員の休憩室に案内してもらいました。軽い熱中症と低血糖状態になっていたようです。大事には至りませんでしたが、無理していたら道端で倒れていたかも知れません。
そんなことがあって以来、暑い日、マスクをして屋外を歩くと、息苦しくなって、その夜の出来事が蘇りパニック発作になりそうになるのです。実際何度か軽いパニック発作になりました。なのでこの夏は、日中に屋外を歩くのをなるべく避けました。
今日(9月7日)、銀行に行ったり、税務署に行ったりと梅田界隈をマスクして歩き回りましたが、暑さもだいぶ落ち着いたのと、適度にマスクをずらしたり、水分補給をこまめにしたり、日陰を探して歩いたり、熱中症対策を徹底したおかげでパニック発作になることはありませんでした。