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「笑顔を寄付に変える」――テクノロジーが拓く共感の輪
株式会社One Smile Tech 辻早紀さん
株式会社One Smile Techは、「笑顔を寄付に変える」をコンセプトに掲げる企業です。同社が提供する「スマイラル」のアプリは、笑顔を検知することで「1笑顔=1円」として換算。社会貢献を促進する仕組みです。
すでに保育園や介護施設、スポーツ分野など、多岐にわたって技術を活用し、笑顔の記録とともに社会貢献活動の幅を広げてきました。
滋賀県湖南市出身の辻さんは、2年前に地元にUターン。
守山市主催の「up stream」イベントを通じて地域とつながり、実証実験への参加を決意。
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実証実験では、以下の取り組みに重点を置いています。
総合学習
探究型学習の教材として笑顔が寄付に変わる「スマイラル」を活用。生徒たちが社会貢献意欲やウェルビーイングを高める仕組みを模索。保育ICT
子どもたちの笑顔を検知すると同時に写真に記録。写真販売サービスにおける撮影の手間を省き、保育士の業務負担軽減を図りながら、その売上の一部を寄付に変えることで原資を獲得。
辻さんが取り組むのは、笑顔の数や笑顔率の可視化です。
例えば、笑顔率が高い会社と低い会社を比較すると、笑顔率が高い会社のほうが働きやすそうなイメージ。
円滑なコミュニケーションは、生産性にも影響を及ぼすとも考えられます。
辻さん「今後は、データセットを作ることを考えています」
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2024年12月22日開催の「もりやまいち」では、守山北高校生徒会の有志とともに、スマホを使ってイベントの笑顔数計測を予定。
もりやまいち実行委員会の方々も含め、ミーティングを重ねています。
辻さん「お祭りの来場者は、不特定多数。すべてのイベントを平等に計測できるのか、といった課題もありますが、まずはやってみようと取り組んでいます」
実際に取り組んで感じた課題
今回の実証実験を進めるにあたって、市の担当者が持つ決定力やスピード感、民間の肌感覚について感謝を述べた辻さん。
そのうえで、「共感」よりも先に「市の事業だから協力する」との認識が強まると、情報の粘着性が低下することを問題視。
One Smile Techのコンセプトは「笑顔を寄付に変える」。
社会貢献への関心の有無や、経済的なゆとりの有無に関係なく、自分自身が自分の幸せを実現する。
自分の幸せが社会参画につながり、誰かを支援することができる。
辻さんが目指しているのは、そんな社会像です。
だからこそ、活動の軸となる「共感」は重要。
辻さん「事業者とアナログなやりとりを繰り返すことにより、肌感覚で理解が深まる。同じ方向性を見ながら物事を進められるという部分は、一定数あると思っています。実証実験だけで終わってはもったいないですよね。だからこそ、その後を見据えたマネジメント、ケアについては、今後期待したい部分です」
もうひとつの課題は、サンプル数の少なさです。
実証実験には、研究の側面があるにも関わらず、高校生の参加者は6名。
決して多いとは言えない数字です。
参加者にはアンケートを取り、向社会性や自分を大切にする思いなどの変容データを収集予定。
今後のデータセットでも活用を考えているものの、物足りないとの思いも。
辻さん「単にイベントを開催したという形で終わらせたくありません。だからこそ、より多くの人を巻き込む方法を考えています」
最終成果発表までに行いたい内容
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「もりやまいち」では、特設笑顔寄付ブースを設置し、笑顔検知デバイスを各学生グループに所持してもらい、来場者の笑顔を検知しました。
さらに、2月3日〜7日の5日間、守山市立立入が丘幼稚園にて実証実験を予定。
園内の笑顔発生状況を可視化することで、笑顔を通じた保育現場の活性化を目的としています。
職員室および5歳児クラス教室にカメラを設置し、職員さんや子どもたちの笑顔を自動検知し、リアルタイムでモニターに表示。
期間内に記録された笑顔の総数を「1笑顔=1円」に換算し、地域の子ども食堂への寄付を行う予定です。
最後に辻さんは「まずは実証実験をやり遂げること。そのうえで、次の展開につながる何かの足掛かりをつくりたいと模索中です」と、今後の抱負について語ってくれました。
2025年3月8日、最終成果発表を行います
今回の事業を通して行ったこと、行った結果について3月8日守山市役所にて最終成果発表を行います。
採択された7事業者による挑戦の過程と結果。
官民連携に関心がある方は、ぜひご参加ください!
イベント名:co.shiga.5-官民連携-
日程:2025年3月8日 13時から17時頃
場所:守山市役所
Webサイト・申込みフォーム:https://co-shiga.jp/5/