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住み続けたい街を目指して——空き家がつなぐ地域の未来

一般社団法人古民家再生協会滋賀南 谷口陽介さん 守山市出身

一般社団法人古民家再生協会は、古民家の保存に向けて自治体と連携し資金調達や情報発信などを進める全国組織です。滋賀南支部では、古民家だけでなく、空き家対策や相談窓口としての役割を担っています。

谷口さん「空き家で困っているのは、持ち主よりも、空き家がある地域の住民さんです。目指しているのは、今、暮らしている人たちが住み続けたいと思える街。生まれてきた子どもに『この街が好き』だと思ってもらえるような場所。私たちは家の再生をしながら、100年続く自治会に更新するためのサポートに取り組んでいます」

地域に根ざした活動を目指すうえで、地域の特性をより深く理解し、自治体や他の事業者とのつながりを構築したいとの思いから、守山市実証実験に応募。

協会が取り組んでいるのは、空き家を起点とした地域課題の掘り起こしとその解決です。目指しているのは、単なる不動産活用ではなく、地域全体を巻き込んだ活性化。

実証実験が始まり、早速2自治会を選定。
ここまでは、想定通りに進んでいました。

実際に取り組んで感じた課題

谷口さん「地域住民の理解を得るためのプロセスが、想定以上に複雑でした。自治会の役員会は、定例開催です。スケジュール調整のため、ただ待つ時間が発生しました」

さらに闇バイトや消火栓盗難など、警戒心が高まるニュースが多発していたことも、地域の警戒心を高める結果に。しかし、身分証明証や腕章の対応など、守山市のサポートを最大限活用します。

しかし、さらに想定外の課題も。

自治会役員さんからは「空き家の活用と地域活性化に関する具体的なイメージが湧きにくい」との声が。滋賀県内の他の自治体での活用事例はあるものの、守山市での事例はこれからということもあり、空き家所有者とのつながりを持つ時点で苦戦。

谷口さん「守山市の人口は、今も増加傾向にあります。そのため、空き家に対する“今すぐの課題感”が乏しく、必要性を認識してもらうまでに時間がかかります」

ちなみに、2018年3月時点の滋賀県全体の空き家率は、13.0%。
実証実験の2自治会の空き家数は20弱でしたが、数値情報と肌感覚には大きな違いがあります。
役員さんのように地域を把握している方には、納得の数字。
知らない方にとっては、そんなにあるの?と驚かれる数字。

意識や考え方も、地域特性が現れます。地域に入らなければ、わからなかった部分です。

実際に谷口さんも、実証実験で採択し、いろいろな方と話す機会が増えたことから得たものは大きいといいます。

谷口さん「守山市は、空き家対策への意識が高く、動きが速い自治体。『人口が増えるから土地開発』という考え方ではなく、地域の空き家を活用し、関係人口を増やしていきたいとの思いや行動が感じ取れました」

最終成果発表までの取り組み

空き家の対策を地域でやっていく。
地域課題の掘り起こしと、解決に向けた道筋を作る。

「不動産売買ではなく、地域のための活用事例を見せたい」と谷口さん。

実際に、空き家情報を求めて地域の方と話すときには、地図を広げます。

すると、空き家の話だけではなく、空き家と全然関係のない「動物の多頭飼い」「田んぼや畑の管理」「子どもの居場所」など、さまざまな課題が飛び出すことに。

谷口さん「そういった意味で、空き家を起点とした地域課題の掘り起こしを目指しています」

1月・2月には、守山市役所で説明会を開催。2自治会には、説明会のチラシと、市長の名前入りで実証実験の周知チラシを全戸配布予定です。

実証実験以外の自治会からも問い合わせがあり、説明会の範囲を拡大。

谷口さんは、最後に「ほったらかしの空き家は、負の遺産。しかし、地域のために活用すれば、大きな資産であり地域の宝になる存在です」とまとめ、100年続く自治会に向けたサポートについて、力強く語りました。

2025年3月8日、最終成果発表を行います

今回の事業を通して行ったこと、行った結果について3月8日守山市役所にて最終成果発表を行います。
採択された7事業者による挑戦の過程と結果。
官民連携に関心がある方は、ぜひご参加ください!

イベント名:co.shiga.5-官民連携-
日程:2025年3月8日 13時から17時頃
場所:守山市役所
Webサイト・申込みフォーム:https://co-shiga.jp/5/