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ChatGPTの行方(仮)

ChatGPTなど文章生成AIをそのままWebコンテンツとして使うのは、現在のところ、難易度が高い。理由は、こんなところ。

  1. 出力に誤りが多い

  2. 新しい情報が入りにくい(特にChatGPT)

  3. 癖がなさすぎる

  4. SEOに弱いという一部情報がある

ゆえに、現在のところは企画作成時の「壁打ち」の相手とする程度が安全だろう。ネタ出し時のサポートツールとしては優秀だが、任せてしまうわけにはいかない

以上、前提条件。

高広さんから「コンテンツの価値、およびコンテンツを作る事業の価値は著しく下がる。それは経済合理性に合わない」とのご指摘をいただいた(誠にありがとうございます)。

以下、反論ではなく、補足。

①同じことがかなり前にあった(今もある)

私たちはすでに同じことを20年前から経験している。紙からWebへの転換だ。紙とWebの比較は、どこを取り上げるか、どう基準を取るかで全く話が変わってくるので一概には言えないが、私の専門ジャンルから見れば、ごく一部のニッチなところでレベルが上がったと言えなくはないが、平均するとかなり下がった。特に、Q&Aサイトなど質問と回答がセットになっている部分が厳しい。

質問に対して的確な回答を作るのは、相手のスキルが低いほど難しい。紙のライターでも過不足なく書ける人は少ないくらいで、一般人では無理なことが多い。一般人が回答を書き込んでいるのを見ると、うーんと唸ってしまう。おそらく、そのサイトで問題が解決しなくても構わない、偏った意見や誤った内容でも「ないよりマシ」、という前提でサイトが作られており、また、質問者が利用しているのだろう。

つまり、(私の専門ジャンルにおいて)「コンテンツの価値は下がった」と私は理解している。「価値」の意味をどう考えるかによって、この命題は真にも偽にもなるが、クオリティの低い情報が氾濫している=量が多く、アクセスも多いのは確かだ。

そして、内容が間違いないように時間とコストをかけて作った本は、売れなくなってきた。初心者向けの本の市場は、年々縮小している。初心者が世界からいなくなったのであればいいのだが、実際にはそうではない。消失したのは初心者ではなく、初心者が本を読んで学ぶ世界だ。初心者がデジタル機器のことを本で勉強する時代は完全に終了したと言ってもいい。その過程でこのジャンルの出版社(の編集部)、編集者、ライター、成果物としての本や雑誌、全てが激減した。つまり、「コンテンツを作る事業の価値は下がった」ので、みんないなくなった。

代わりに、初心者はセミナーやYouTube、そしてQ&Aサイトなどで勉強しているらしい。セミナーは講師がいるので別だが、コストは本とは比べ物にならないくらい高い(キャリアなどが主催する無料のものはあるが)。YouTubeやWebサイトで偏った意見や誤った内容を排除しつつ、自分でバランスをとって勉強するのはかえってコストがかかっていないか心配になってくるレベル。

②経済合理性はないか


まず用語の意味の確認から。経済合理性とは、「経済的な価値基準に従って論理的に考えた時、利益があるかどうかを判断基準とすること。あるいは利益がより多いことを是とすること」とする。

同じものを作る2つの工場があったとして、注文をよく多く受けられるのは「安価に」「早く」納品できる方だろう。これは、市場の流動性が高まれば高まるほど、その傾向は強くなる。同じ品質のテキストを作る #Webライター のグループと、文章生成AIがあったとすれば、安価で納期の短い方が残る。おそらく、価格も納期も文章生成AIには勝てないので、Webライターの仕事は激減するだろう。

問題は「同じ品質のテキストを作る」ことができるか。私は「近い将来にできる」と思う。できた時点で、同じレベルのテキストを書く仕事が消失する

以下のようなコメントもいただいた。

もちろん、おっしゃる通り、文章生成AIに書けないテーマを独自の文体で書けるライターは、仕事が減らない(増えるかどうかはともかく)。私が「仕事が激減する」と言っている仕事は1文字0.1円レベルのもので、1文字10円以上の記事は、そうそう簡単には減らない。私に依頼が来るような話も、文章生成AIのせいで減ったりはしないだろう(別の理由で減っているが笑)。

現在のところはChatGPTなど文章生成AIは、内容確認など修正のコストが高くつくので #Webライター には敵わない。しかし、ジャンルを限定し、編集者が多少の修正を加えれば、使えるシーンもある。

あるいは、(こういう事態になってほしくないが)あまりに安価に作成できるために、一部の反対を押し切って一般的に使われるようになり、それがベースになってしまうこともあり得る。出来の悪いツールが標準になってしまうことを私たちは何度も経験してきた。品質が低い文章が多数派になり、SEO的にも評価されるようになって、読者側もそれに慣れてしまうことも、あり得ないとは言えない。

あるいは、(これが一番ありそうで、最も困る未来だが)Webライターというか、文章執筆を仕事としている人の大半よりも上手な日本語を書ける文章生成AIが登場し、人間が取材してきた情報をインプットすれば、自動的に記事ができるようになるかもしれない。金融情報を扱うサイトで一部の記事が自動生成になったという話を聞いた記憶があるが、プレスリリースの要約などは、非常に近い将来に人間の記者の仕事ではなくなるのではないか。

とはいえ、今のところは、全部を文章生成AIに代行させるのは無理。まず、内容に誤りが多すぎる。これはすでに多くの人が指摘している通り。これが改善されなければ、文章の自動生成に単独で使われることはない。

また、文章の癖、論理展開の偏りは再現できない。ただ、これは特定のライターの文章をたくさん読み込ませれば、再現できるようになる可能性が高い。私たちは、夏目漱石の新作を文章生成AIで読めるようになるかもしれない。いつになるかは不明だし、かけたコストを回収できないジャンルだと思われれば、開発されることはないが。

ということで、理不尽ながらも文章生成AIが一般的な文章作成ツールになり、それによって作られた文章がネットなどを埋め尽くす未来が意外と早く来るような気がして、大変複雑な気分である。


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