世界の半分 五分の三

こんばんは、守屋日和です。
今回はあの有名な竜王様の台詞、世界の半分についてのアレコレです。
皆さんもちゃんと世界の半分を貰いましたか?
今回も色々ネタバレありです。

竜王との対話

シリーズ1作目、ドラゴンクエストのラスボスである竜王様。
彼の元を訪れた勇者に対して、竜王様はこんな問いかけをします。

「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを ◯◯◯◯に やろう。 どうじゃ? わしの みかたに なるか?」

竜王様の問いかけにはいと答えてしまうと世界の半分、闇の世界を与えようと言われ、ファミコン版だと復活の呪文を聞いてゲームオーバーになります。
この復活の呪文で再開すると、お金も経験値もアイテムも何もない状態で0から冒険をやり直す事になってしまいます。
スーファミ版以降はリムルダールの宿屋で目覚め、夢オチと言う扱い。
11の過ぎ去りし時を求めた後のホメロス戦で負けた際の夢オチイベントは、このリメイク1の夢オチイベントのオマージュですね。
もちろん竜王様の言葉は罠で、実際に勇者と二人で世界を分け合い共に支配する様な未来は存在しません。

王様とローラ姫

ゲーム的には竜王様の問いかけを蹴り、その後の戦いに勝利する事でゲームクリアとなります。
ラダトームの城に帰還した勇者に対して王様は、

「そなたこそ この世界を
 治めるに ふさわしいお方
 なのじゃ!

「どうじゃ?
 このわしに かわって
 この国を治めてくれるな?

と、王位を譲ろうとします。
それに対して勇者は、

「いいえ。 わたしの おさめる
 くにが あるなら それは
 わたしじしんで さがしたいのです

と、ここに来て唐突に主人公が自分の意志で喋り始めます。
中々ビックリしましたね。
この後のローラ姫の無限ループは割愛。
初見では本当に唐突に感じたんですけど、ビルダーズを経由して少し考えが変わりました。

闇の戦士

さて、竜王様の問いにハイと答えてしまったもしもの未来が、1つのゲームになっています。
それがドラゴンクエストビルダーズ。
ドラクエの世界観とマイクラの様なサンドボックスのクラフトゲームを掛け合わせたアクションRPGです。
主人公は竜王様が支配する勇者不在の世界にあって、ルビス様から物作りの力を与えられたビルダーと呼ばれる存在。
ビルダーの活躍でアレフガルドは立て直され、最終的には竜王討伐までも成し遂げられてめでたしめでたし、となります。
このビルダーズには、1の勇者の成れの果てである闇の戦士と言うキャラクターが登場します。
ご先祖様であるオルテガを思わせるいわゆるカンダタルックの、もはや理性を失った怪物となり果ててしまっている闇の戦士ですが、これも自業自得と言うものでしょうか。
プレイヤー的にはゲームだからと、とりあえず誘いに乗ってみた人も多いとは思いますけどね…私もそうですし。
11で言う異変後の世界の様な感じでは有りますが、プレイヤー自身の選択の結果と言うのは中々皮肉が効いてますよね。

勇者の野望

話を戻して、竜王様の言う「世界の半分」も、王様の言う「世界」も、あくまでもアレフガルドのみを指した言葉なんですよね。
そして、勇者が迷わず王様の申し出を蹴ってアレフガルドを旅立つ決意を表明する辺り、アレフガルドの外の世界は既に存在し、そしてまだ未知の領域でもある、そんな時代だったと思われます。
竜王様の誘いに乗ってしまった世界線が存在する様に、1の勇者は結構な野心家でもあります。
そんな勇者の野心、野望を目覚めさせてしまったのは、他ならぬ竜王様の誘いだったのではないかと思うんですよね。
最初の王様の竜王討伐の命を受けるシーンは問答無用の一方的な物で、その後もただ黙々と己が使命を全うする為に邁進します。
そんな勇者が自分の意志を語りだすに至る引き金になったのが、竜王様との対話だったのではないですかね?
竜王様の誘いに続き王様の申し出を受けて、自分の力と価値を改めて思い知らされるに至り、その野心に火が付いた。
そうして辿り着いた結論が、自分の治める国は自分自身で見つける、なのでしょう。

アレフガルドはエデン
勇者とローラ姫はアダムとイブ

竜王は蛇
そして竜王の誘い、あるいは光の玉が知恵の実

と言った趣ですね。

世界の五分の三

勇者とローラ姫の2人がアレフガルドを旅立った100年後の世界がドラクエ2の舞台となります。
2の主人公はローレシアの王子。
仲間となるのはサマルトリアの王子とムーンブルクの王女。
これらの3つの国は共にロトの子孫、1の勇者とローラ姫の血を引く王家にあたります。
この時代、いわゆる王国は他にラダトームとデルコンダルだけ。
5つの王家の内の3つがロトの子孫であり、ラダトームはローラ姫の実家で縁続き。
直接関係ないのはデルコンダルしかありません。

たったの100年で随分と勢力を拡大したものですが、それもこれも勇者の野心の大きさを示しているのではないでしょうか。
2のロトの子孫たちは世界の創造主である精霊ルビスの加護を得て、ハーゴンとシドーを討伐した事でその地位と力とをより盤石なものとしました。
もはやあの世界はロトの世界と言っても良さそうな情勢ですよね。

物語が始まった時点でも既に世界の五分の三がロトの子孫に支配されています。
ムーンブルクが滅亡したものの王女は生存、戦いの後は復興されるでしょうし、100年かけてロトの血筋は世界のほぼすべてを手に入れた様なもの。
竜王様も、とんでもない連中を覚醒させてしまったものですよ。

竜王様がアレフガルドに侵攻しなければロトの勇者が再び世に出る事もなく、その後の世界がロトの子孫に支配される事も無かった。

ある意味では、分かたれた半身とも言える竜王の存在を飲み食らって完成したのが、エンディング時点での勇者と言えるのかも知れません。

と言う事で世界の半分、五分の三、そして世界の全てへ…と言うお話でした。
3の時代には客人だった勇者の末裔達が、500年かけて世界のすべてを手に入れる事になるわけです。
500年と言っても、精霊ルビスにとってはそれほど長い時間ではなさそうですし、可愛い子孫たちの大躍進にきっと満足している事でしょうね。

計画通り

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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