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【そして思い出し笑い〜こんな子、育てましたけど】 #34 長女、食材を発注するの巻

短大を卒業し、
20歳でアルバイトを始め

数ヶ月後には
ファミリー向けのレストランに
転職し…

はや10年が過ぎました。

そう。実は彼女、
今もそのレストランで
アルバイトをしています。

同じ場所で、同じことを続けることに
まったく抵抗がなく

来る日も来る日も
同じ作業をするのは大得意なので

10年間、続きました。

本当は、正社員になってほしいところですが、
本人にその気はなく。

なにしろ、エレベーターに乗れません。
常にエスカレーターか、階段での移動です。
もし、あべのハルカス13階の店舗に
異動しなさい…と言われたら
やはり、ちょっと難しい。
(たいがいのショッピングセンターでは、
開店前のエスカレーターって
動いてないんですよね。
あと、階段室も鍵がかかっていたりします。)

どこの店舗に異動になってもOK、
というわけにはいかないので、
正社員にはなれない。

数年前に
社会保障をつけてもらうことができたので
まあ、アルバイトでもよしとするか、と
こちらも妥協して。

でもね。

ずっとアルバイトで
ずっと同じ仕事をしてるって
書いたけれど

仕事の内容は、確実に
進化してるみたいなんです。

「今日さあ、
フロアの人数が足らんくて
大忙しやったわ。
電話も出なあかんし」

「えっ!?
あんた、予約の電話とか受けられるん?
スカタンな受け答え、してないよな?」

と心配する私に

「お母さん………
私のこと、バカにしすぎ。
電話ぐらい、出られます」
とオコられてみたり。

あと、
後輩が来たから教えなあかん、とか

まあ、フツーのことなんですけど

「後輩に教える? アンタが?」
という気分になっちゃいますよね。

そうこうしているうちに

「いま、人手が足らんくてさあ。
店長がおらん時は
私が仕入れせなあかんねん」

てなことを言い出した!

ひょえー!!! 仕入れ?

そんなん、ホンマにできるん?

私にとって、長女は
人付き合いが苦手で、
電話なんか出るのもイヤで、
スカタンばっかりやってて、

そんな彼女が
店長に代わって仕入れをするとは…。

それまでは
食材を切ったり、お皿を洗ったり、
電話の受け答えにしてもそうだけど

いわば、
「私が教えようと思えば教えられること」
が仕事でした。

でも、食材の発注なんて
私、一度もやったことありません。

ついに、私の教えられないことを
やるようになった。

もう、私の手の中には
おさまりきれないぐらい
大人になったんだ…。

私は、ある意味
「長女の教育」というものに
執着していたのかもしれません。

それまで、長女は常に
私の手の届くところにいました。

必要があれば、軌道修正するように
導くこともできる。
そんな気持ちがあったと思います。

でも、もう長女は
私の手の届かないところにいる。

「食材を発注してる」と聞いた時、

ついに、この執着を
手放す時が来たのだということを

私は、やっと
そして、はっきりと
理解することができたのでした。


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