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【そして思い出し笑い〜こんな子、育てましたけど】 #26 いよいよ、短大進学へ…

高校2年生の担任の先生に
幼児教育科はちょっと…と言われたことで

せっかく、保育の道を目指して
高校から私立に通わせたけれど

やはり、ここは
方向転換をさせたほうがいいのでは…と
考えるようになった私は、

ちょこちょこ、長女に
こんな話をするようになりました。

「あんな、
やっぱり子どもが好き、だけでは
保育士にはなられへんと思うねん。

親からのクレーム聞かなあかんとか、
めっちゃ大変やと思うで。

短大には、
総合ビジネスコースもあるねんから
そっちに進学したらどう?

将来の職業を
いま決めてしまうんじゃなくて、
大学に行ってから
進路を考えるっていう方法もあるで。

歯科衛生士の専門学校が
どうしてもイヤなんやったら

とりあえず、
そっちに進学してみたらええやん」。

いわゆる「つぶしがきく」コースが
せっかくあるんだから、
そちらのほうがいいのでは…と思ったけれど、

案の定、
本人にはまったく響かず

最後には、こう言われました。

「あんな、お母さん。

ひょっとしたら、
保育士にも、幼稚園教諭にも
なられへんかもしれへんけど

行きたい大学は
A短大の幼児教育科しかないねん
」。

はあ。

そうでしたそうでした。
この子は、こういう子でした。

保育士になれなくても
幼稚園教諭になれなくても

行きたい学科はココやねんから
しゃあないやん?

という理論ですね。

保育士にならないのに
わざわざ幼児教育科に行くって
ありえへん…

という私の中の常識を

こうやって長女は、いつも

「それがどーした」

と打ち砕いてくる。

そして、
「これが常識やと思ってる
私のほうが間違ってるのか?」と
自分自身を問いただすことになってしまう…。

高校3年生になってからは
進路指導も本格的になり

進路を決めるための
担任(3年は男性の先生でした)との
面接の日を迎えました。

学校では大人しくて
何も言わないキャラの長女。

正直なところ、
面接で自分の思いを伝えるなんて
とてもできないだろうと思っていたし、

幼児教育科への推薦は
きっともらえないだろうと
思っていたのですが

やっぱり、親の知らないところで
それなりに成長してたんですね。

幼児教育科に進学したい理由を
そこそこきちんと
先生に話したらしいんです。

それで一気に話が進み、
幼児教育科への推薦が
いただけることになりました!

これにはびっくりしましたね。

え、ホントに
幼児教育科に行っていいの?って感じで。

実は、その前にもうひとつ
私にとっては
大きな出来事があって

毎年、その短大が開催している
学生たちの音楽フェスティバルを
長女とふたりで見に行ったんです。

幼児教育科の学生たちは
ピアノや歌など音楽の授業や、
絵を描いたり、ものを作ったりという
造形のカリキュラムも受講しています。

そうした学習の成果の集大成として
2年生の学生たちが演じるのが
この音楽フェス。

全員で踊る圧巻のダンスのほか、
ピアノや歌が特に優秀な学生は
ドレスを着て、ソロで演奏したり

衣装から小道具、
照明なども自分たちでこなす演劇もあり、
かなり見応えがあるイベントです。

感動しぃの私は
学生たちががんばってる姿に
ひとりでうるうる…

これを見ながら、私
ひとつの決意をしていました。

もし、長女が
保育士や幼稚園の先生には
なれなかったとしても、

友だちと一緒に
ひとつのイベントを作り上げるという
貴重な経験をして

最後まで脱落することなく
無事にこの舞台に
立つことができたとしたら

それでもう、充分ではないか。

あの、人見知りの激しい
自己肯定感の低い長女が
この大舞台に立つ一員になれたなら

ここへ入学させてよかった、と
心の底から
納得できるのではないだろうか。

ひとりでうるうる泣きながら
やっと決心がついた私は

本人の希望通り
幼児教育科に入学させよう

保育士になれなくても
幼稚園教諭になれなくても

この舞台に立つ長女を
見届ける日が来るなら
それでよしとしよう…と
腹をくくったのでした。


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