【そして思い出し笑い〜こんな子、育てましたけど】 #12 娘の漫画を破り捨てたあの日。
5年生の担任のU先生からは
「子ども家庭センターに行けば
相談にのってもらえますよ」と
言われましたが
私は、行きませんでした。
長女がアスペルガーかどうか、の診断は
実は、一度もしてもらったことがありません。
なぜ診断してもらわなかったかというと
いろんな問題はありつつも
どうにかこうにか
普通学級でやっていけてた、ってこと。
もしアスペルガーだったとしても
かなりグレーゾーンじゃないかと、
つまり、私が気をつけて育てれば
なんとかなるんじゃないかと
勝手に、そう判断していました。
これ、けっこう
難しい問題ですよね。
アスペルガーっぽい…と言っても
その程度は千差万別なわけで。
人の数だけ「っぽさ」があるのを
発達障害があるか・ないかの
二択にしちゃうわけだから。
アスペルガーかどうかの診断をしてもらって
レッテルを貼ってしまうことが
正解なのか、どうなのか…。
いろいろ考えた結果、長女のことは
「ちょっと変わってる女の子」で
押し通そう、と決めました。
もちろん、逆の発想もあると思います。
私の友人は、
軽度の知的障害を持つ次女ちゃんを育てていますが
長女に迷惑をかけないように
手帳をとっておくのだと言ってました。
やはりそこには
経済的な自立をめざす、
というテーマがあると思います。
あとねえ、障害を持つ子のお母さんにも
二通りの考えがあるんじゃないかと
その頃、感じていました。
ひとつは、その子の個性を尊重し、
あるがままを受け入れることに
主眼を置くタイプ。
子どもの特性を周囲にも話し、
できないことを無理にやらせることはせず
のびのびと育てていくんですね。
もうひとつは、
その子を社会に適応できるように育てる、
ということに主眼を置くタイプ。
社会に出るために必要な言葉遣い、
立ち居振る舞いなど
発達障害のある子には
ちょっと難しいかもしれないけれど
できるだけ習得してもらうように
教えようとします。
私は、後者で行こう、と決めました。
やれるかもしれないことを
最初から「やれない」と思わず
この子ができるようになるには
どう言葉をかけるのか?
どう行動すればいいのか?
そこを考えて
いろいろ工夫していけば
なんとかなるんじゃないだろうか…
そう判断したんです。
そのために、いろんな本も読みました。
当時、話題になっていた
自閉症の男の子との毎日を描いたマンガ
『光とともに…自閉症児を抱えて』は
めっちゃ読んでいました。
このマンガのおかげで
自閉的な傾向を持つ子どもに
どうやって対処したらいいのか、
その具体的な方法を
たくさん知ることができました。
まあね。
知ることはできたけど
実践できたかと言われると…ね。
相変わらず、
怒鳴り散らしながらの子育てではありました。
アスペルガーの傾向のある子って、
人がイラッとすること、
平気で言ったりするんですよね。
夢中で漫画を読んでたりすると
呼びかけても返事もしなかったり、
(なんせ、本人は没頭してますから)
返事もしないもんだから、
「ちょっと!これ!
ちゃんと見なさいってば!!!」って
漫画の上にプリント乗せたら
なんと、無言のまま手で払い除けた!!!
(まだ漫画の世界に入り込んでます)
(お母さんが怒ってるのは、見えてません)
もう、かっちーん!と来て
「親の言うことも聞こえへんのか!!!
そんな漫画、捨ててまえ!!!」って言って…
漫画、破りましたね、ハイ。
その後、長女から
「あの時、腹立ったから
お母さんの仕事の本、破ったった」と
カミングアウトされました。
よく調べたら
仕事で使うイラスト集の1ページの
端っこのほうに
1cmほどの小さな亀裂が…
見つからないぐらいの、
見つかっても
長女がわざと破いたとは
バレないぐらいの、
小さな小さな亀裂。
長女は長女で
いろんなこと考えながら、
ささやかに反抗しながら、
きょうだいたちと比べてみても
あきらかに自分ばかり叱られている
生き辛い日々を生きてたんでしょうね。
でも、何しろ私は
「この子を、社会に適応できる人間にする」
という命題を持って
子育てしていたもので…
親子のバトルは
その後もずーっと
続いていくのでありました。