仕事始め
Cartographerとして4年目に入ります。
この数年、地図のスタイリングにどっぷり浸かっていますが、きっかけは前職でした。自分が本当に欲しいものを作るには、スタイルを自分でコーディングするのが一番だとわかったのが学びでした。
条件式とスタイル設定値を試行錯誤しながら地図表現を組み立てていく作業自体は、実はそれほどの技術力が求められるものではありません。しかし、地図の元データのどの要素がベクトルタイルのどの属性値にマッピングされるべきか、そのズームレベル毎の展開をどうするか、そしてユーザーが求める表現はどうあるべきかを深く検討して最適なスタイリングを行うことは、難度が高いクリエイティブな業務で、これに熱中しました。
ちょうど2年前、その環境を手放すことになり、ふと周りを見回し、Mapbox GL JSという、スタイリングのデファクトスタンダードを活用すれば、「中の人」でなくてもやれると知りました。OSMやオープンデータの様々なデータに触れられるし、スキーマも公開されているなど、環境はむしろ充実していました。
タイミング良く、MIERUNE地図のスタイルをアップデートする機会に恵まれ、前職以外で、自分がコーディングに関わった地図表現が世の中に出てくれました。以来、いくつかのプロジェクトに携わり、私はすっかり地図作成の専門技術者(Cartographer)として歩むようになっています。
特に昨年後半は、とある商用の巨大な全球の地図データのスタイリングを担当することになりました。当初の予想を上回って、大変なプロジェクトになりましたが、充実した体験ができました。それぞれの国や地域独自のシンボルを設定するなどの理由から、style.jsonの行数にして3万数千、多分二度とコーディングすることは無いであろう数でしょう。
そしてこの年末年始はOpenMapTilesを使った地図のスタイリングを楽しみました。顧客の用途を意識して整然と設計された商用のデータと違い、OSMから生成されたOpenMapTilesは、幅広いジャンルのデータがぎっしり詰め込まれていて、全く別世界です。データ自体のばらつきが結構あるので、スタイリング側の思惑通りに仕上がらないという悩みもあるのですが、データの海の中の「お宝」を発見できたりして、1人でニヤニヤしながら楽しめています。
自宅リビングの片隅の仕事場は、いつの間にか、大小のモニター5台(スマホとタブレットを加えると10台)に囲まれ、かなり怪しげな要塞と化しています。
今年も、私がスタイリングに携わる地図がいくつか世の中に提供されていくと思います。この業務は奥が実に深く、まだまだ勉強し足りないことが数多く残っていますが、少しでも前進できたらと思っています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。