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『人類と気候の10万年史』

2017年に第1刷が出ているので結構前の本ですが、最近やっと読みました。古気候学という分野自体初めて触れたので、ページをめくるたび新しい知識を得たような気がします。

特に面白かったのが、地球の公転軌道や自転軸の影響で植生が変化していく話。水月湖のサンプル解析結果から、優先する樹種がスギからヒノキ、ツガ、コナラというようにある周期で増減していたことが分かっているそうです。
人間の手の入っていない自然を指して「原植生」や「潜在植生」という言葉があります。そのような状態を回復させようと目標設定する場合もありますが、そもそも人間の手の入っていない状態も、何万年という単位で見れば変化するんですね。
人間のスケールからすると、現在の安定した気候をもとにした基準で判断すればいいですが、本来の自然、とでも言う状態も一定ではない。私が住んでいる地域は照葉樹林帯ですが、時代によっては落葉広葉樹が優先していたこともあったのかな?と思うと、何だかワクワクします。どんな景色だったんだろう。

気候変動に関するニュースを聞かない日はないような時代を生きている私たち。「氷河期」という言葉は誰しも知っていると思います。その関連についても学べる1冊です。自然を相手に仕事している人にはぜひ、そうでない方も異常気象が増す時代に生きる一人として読んでほしい本でした。

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