農林水産省が導入するクロスコンプライアンスチェックに関する記事を読んで
「alterna」のwebサイトに2024年3月21日付で掲載されている「農水省、環境に配慮しない農林漁業には補助金出さない方針」を読みました。
「環境負荷低減のクロスコンプライアンスチェックシート」なるものの画像が掲載されてますが、林業はどんな基準なんだろう?と気になったので、農林水産省のwebサイト下記ページより閲覧。
苗木を生産する事業者へ向けては農業同様、肥料や農薬の適正使用が入っています。林業事業体向けと思われる項目としては、林業機械等の適切な使用や整備・管理が挙げられていますが、この辺はそもそも適切に行わなければ経営自体難しいと思われるので、既に行っている事業体が多いのではないでしょうか。
基準が難しい、あるいは意図的に設定されるのではと疑いたくなるのが、「未利用材の有効活用」や「生物多様性に配慮した事業実施」の項目。
未利用材を活用してると謳うバイオマス発電所は、再生可能エネルギーを使って”環境にやさしい”イメージが一般的と思いますが、「未利用材」と呼ばれる木の先端部分は枝が多いのでそれを取り払うのに機械を使います。山から発電所へ運ぶのも、林業機械やトラックです。燃料を使っているわけです。再造林すれば若い木はCO2を旺盛に吸収するのでカーボンニュートラル、まあ伐採した林齢まで維持すればそうとしても、今や全国的に鹿の被害が深刻で保護材を使う地域が多いと思います。それを生産・運搬する際のCO2や、たくさんのプラスチックを山に設置していることは見逃してよい程度なのでしょうか?未だ論争が続いてるという認識ですが、専門家の方の解説を聞きたいところです。
もう一つ、生物多様性についても、どのレベルで判断するのか。自治体単位で見ると、針葉樹の人工林率が高い地域もある一方で広葉樹が多い地域もあり、皆伐して再造林するのか、天然更新を待つのか、長伐期施業で針葉樹林を維持するのか、針広混交林にするのか等。地域の森林組合など林業事業体と、その先の木材産業の在り方によって可能な手段は限られているのが現状だと思うので、このコンプラチェックが実質的に環境負荷低減に資するものになるのかと言うと、かなり疑問。ただただ関連事業者の負担になるだけ、という事態は避けてほしいものです。
画像は、登山に行く道中で見つけた皆伐跡地。