こんなに違う!アパレル業界での商慣習(日本・アメリカ・ヨーロッパを比較)
こんにちは!モリトアパレル営業担当のウッチーです。
私は、イタリアのアパレル副資材を輸入販売する仕事をしていますが、現地では夏になると4週間もバカンスを取る担当者がいたりして、感心するやら羨ましいやらで、慣習の違いに驚くことも多いです。
今回は、バカンス以外にも、アパレルビジネスに関する世界各国の商慣習の違いをいろんな観点からご紹介したいと思います。
各国のアパレルビジネスの商習慣
日本の場合
やはり日本のビジネスと言えば、「安全、安心、丁寧」の言葉が思い浮かびます。
たとえば検針機。
完成品に針の破片などが残されていないかをチェックする、日本のアパレル業界ではメジャーな機械です。
1990年代には、アパレルメーカー、検針機メーカー、モリトを含む服飾付属品メーカー、さらには日本紡績検査協会の技術スタッフなどでプロジェクトが構成され、基準が整備されました。
もう30年以上も続く日本ならではの安心・安全の伝統と言えるかもしれませんね。
こちらが一般的なベルトコンベア式検針機です。
基本、服などの製品をこの機械に流して、針が混在していないか検査するのですが、ここで問題です。
どうやって金属のスナップボタン(ホック)と針を見分けるのか?
実は、金属ホックが針と認識されないように、検針機に反応しない「検針対応メッキ」をホックの表面に施しているのです。
モリトでは、「検針対応メッキ」を施したホックが本当に検針機に反応しないかを工場へ出荷する前に検査しています。
検針機に反応しないメッキを使用するのは、日本市場向けならではの商習慣なのです。
アメリカの場合
アメリカに駐在経験のある先輩社員へヒアリングしたところ「マニュアルとシステムに尽きる」と教えてくれました。
・・・これが米国系アパレルメーカーの基盤だったようです。システマチックなお国柄ならではの商慣習ですね。
マニュアル
ある有名大手アパレルメーカーでは、30年以上も昔に品証部門を立ち上げ、安全基準の要求事項を規格化しました。
現在では、日本の大手グローバルアパレルメーカーもこの規格に準拠したモノづくりをしています。
システム
この規格を作成した大手アパレルメーカーでは、自製品の縫製工場、資材・付属品サプライヤーに指名制を設けているそう。サプライヤーが指名権を獲得するためには品証部門の監査を受けて合格することが必要です。
さらに、その大手メーカーでは、縫製を行っている世界中のあらゆる地域でメンテナンス体制を敷くことを必須条件として、価格競争を生みながら品質を維持するシステムを作っておられます。
モリトでも、この大手アパレルメーカーへのベビー服用スナップボタンの販売を契機に、韓国・インドネシア・ベトナム・スリランカ・グアテマラ等でメンテナンス代理店を設け、対応しています。
縫製工場を訪問する際は、様々なツールを使って生地の厚み、ホックとの相性等を確認し、求められる安全基準が守れているかチェックが欠かせません。
ヨーロッパの場合
最近、特に重要視されているSDGsが広まるより以前から、ヨーロッパでは、製品の安全性をはじめ、人や環境にも配慮した規格作りを牽引していることで有名ですよね。RoHS指令やREACH規則、エコテックスなどと呼ばれる安全や環境に関する規格でも世界をリードしています。
こちらも実際にヨーロッパへ駐在経験のある先輩社員にヒアリングしてみました。その中でも私が特に驚いたのが、高級ブランドのアウターからベビー服のロンパースまで、多くの衣料品には「ホックのスペア」があたりまえのようについていることです。
日本でも衣料品には、「予備のボタン」がついていますよね、同様にホックのスペアがついているそうです。
製品へのこだわりとともに、エコの精神が根付いていることが実感できますよね。
まとめ
いかがでしたか?
こうして日本・アメリカ・ヨーロッパの独自の商慣習を調べてみましたが、そのルール作りに違いこそあれ、どの地域でも製品の質と衣料品としての安全性を最優先に考えられているようです。
それぞれの国民性があり、求められるルール作りの方向性にも違いがあります。そこには各国の消費者視点で求められる「安心・安全」が現れています。
私たちモリトの使命は、地域ごとに要求される基準をクリアすることは当然ですが、それぞれの地域の人々の生活感覚にフィットした、安心してお使いいただける製品の提供をしていく必要があるのだと改めて感じました。
4週間ものバカンスをとる彼らの生活感覚を理解するために、私も4日間のバカンスを・・・なんてね。