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古代人になったつもりで森を行く
一人森を行く
北風を充分に浴びた葉はこの時を待っていたのか呆気なく、細い枝から地に落ちた。
葉は、「践んでくださいな」そう言った。
「協力者は多い方がいいのでね。」
言われた通り、葉を踏みしめる。
かさかさと音をたて粉々に。
「やあ、お帰り」森全体から一枚の枯葉へ。届いていたかな?
その最後は、ポールギャリコの雪のひとひらみたいだった。
芳醇な、ワインの香り。土からは何故かフルーティーな香りがした。
これから奴等がやって来る。お決まりの、分解者たちの胃袋へ。やがてその排泄物が森を肥やす。
暫く進むとギューフがいた。あれ?ギューフの先にはフェオもいるよ。
![](https://assets.st-note.com/img/1671691134873-dKMu0oahdS.jpg?width=1200)
ギューフは力の交換、息吹き、贈り物を表すサイン。フェオは富や財産、または受容性。
「そうなんだ。力の交換かぁ。教えてくれてありがとう。」
考え方次第では、目にした全てが森からの回答。そんな風に歩いてく。
今度は獣の匂いがする。辺りは怖いくらいの静けさで、自分の足音をうるさく感じた。
立ち止まり先を見れば、あれは多分、猪が掘った穴。まだ少し、匂いが残っている。
どこかから、こちらを見ているかもしれない。襲ってくる?
いや、大丈夫。
仲間ではないけれど、敵でもない。
何者かがぽつり、言った。
この日は本当に寒かった。北風に体当たりされて耳が痛かった。午後からは少し晴れてきて、でもやっぱり寒かった。こんな日は早めに帰らないとすぐに暗くなってしまいます。
そんな帰り道で、目に留まる枝がありました。
先の文中で「ギューフ、フェオ」と表した枝です。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、これはルーン文字です。ルーン文字を知ったのは、石碑に刻まれたものを見たのがきっかけでした。そして釣られるようにオガム文字も知りました。
古代ゲルマンが使用したルーンと、ケルトで使用されていたオガム。(ルーンには北欧型、ゲルマン型、アイスランド型等複数あります。)
この辺りはきっぱりと分かれているのではなくて、繋がりがあるようですね。ルーン文字の起源についても様々な見解がありますが、古代メソポタミアの文献の中に、ルーン文字で使われていた、ティール(文字は↑上向きの矢印で表される)を見たことがありました。それはルーン文字と発音も意味も同じでした。ティールは剣を表していますが、別の意味として静かな道、真っ直ぐに伸びた湾曲性のない道も示していて、道標としての意味も持っています。(ティールはテイワズと読まれる場合もあります。)
山を歩く時、注意しているとルーン文字に似た木の枝や、植物の蔓を見かける事に気がつきました。そこに気づいてから山歩きが更に楽しくなりました。
ギューフがいた。と書いてる写真の枝ですが、ギューフを文字にすると✖となります。枝が2本重なり合って落ちていて、✖の形になっていました。
葉が地に落ちて森の栄養となるその様を、このギューフの意味合いから、力の交換。と見ました。ギューフはまた、一般的には贈り物を表すルーンとして捉えられています。枯れ葉は森への贈り物でもあるわけです。
フェオは重なっている下の枝の先端部分にあります。アルファベットのFを変形させたような形です。実際には枝が作っている文字は反転していましたが、フェオとギューフの組み合わせと捉えても良いかもしれません。フェオの意味は報酬、富、もしくは受容性です。
古代人が残した印を見つける登山。私は低山専門ですけど、遺跡や遺構が残る場所もあり、その説明案内板を読むのも楽しみのひとつです。
古代と現代。生きる時代は違っても、人の本質はそれほど違わないのだろうなと思えた山歩きでした。