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「BIツール」とは?
【はじめに】
製造業において、生産性向上や品質管理の効率化は競争力を維持する上で重要な課題です。その解決策の一つとして、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの活用が注目されています。高度経済成長期の日本のモノづくりでは、職人が製造現場に立ち、卓越した経験と勘によって生産性向上や品質管理を行ってきました。しかし現代のIoTの時代における生産性向上や品質管理の効率化は、センシング技術を用いることで多種多様な製造装置のパラメータを取得し、工学や統計学に基づき、生産性や品質の向上ができるようになりました。更には、機械学習の手法を取り入れることで、データから新たな示唆を得て、あらゆる改善活動を実施することができるようになってきました。
この記事では、データ活用をする上で使いこなせると便利なBIツールの概要、Excelやプログラミングと比較したメリット・デメリット、そして製造業における具体的な活用アイデアをご紹介します。
【BIツールとは?】
BIツールとは、企業が収集した膨大なデータを可視化・分析し、迅速な意思決定を支援するためのソフトウェアです。データベースやスプレッドシート、クラウドサービスからデータを取り込み、リアルタイムでダッシュボードやグラフ、レポートとして視覚化できます。
代表的なBIツールには、以下のようなものがあります。
これらのツールを活用することで、これまで手作業で行っていたデータ整理や分析を自動化し、データに基づく戦略的な意思決定が可能になります。
Power BI:Microsoft製品との連携に優れ、手頃な価格で利用可能
Power BI - データの視覚化 | Microsoft Power Platform
Tableau:直感的な操作と強力なデータ可視化機能が特徴
BI 市場をリードする Tableau の分析プラットフォーム*
【BIツールとExcel、プログラミングとの比較】
BIツールの登場前はExcelでのデータ分析、プログラミング環境下でのデータ分析が一般的でした。以下にBIツールとExcel、プログラミングを用いた場合のデータ分析について、それぞれ比較した表を示します。(あくまで主観です。)
1. Excelとの比較
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Excelは小規模なデータ分析には向いていますが、大規模データの分析やリアルタイム共有には不向きです。一方、BIツールはその弱点を克服し、大量データでもスムーズに扱える利点があります。
2. プログラミングとの比較
![](https://assets.st-note.com/img/1737927109-yhLr1Se8mXY4g3pDIPlFZMbB.png?width=1200)
プログラミングを使えば、独自の分析ツールを作成できますが、多くのリソースと時間が必要です。一方、BIツールは標準機能を活用するだけで迅速にデータ分析を開始できます。
【BIツールを製造業で活用するアイデア】
BIツールは製造業のさまざまなプロセスで生産性向上に寄与します。以下に、具体的な活用アイデアをいくつか挙げます。
1. 生産ラインの稼働状況をリアルタイムでモニタリング
BIツールを活用すれば、生産設備の稼働率や停止時間をリアルタイムで可視化できます。これにより、異常が発生した際に迅速に対応できるほか、稼働率向上に向けた改善点を特定できます。
2. 品質管理データの統合分析
ロットごとの検査結果や廃棄率、クレームデータをBIツールで統合的に分析することで、品質問題の発生原因を迅速に特定できます。また、トレンド分析を行うことで、問題を未然に防ぐ予測的な品質管理が可能になります。
3. 在庫管理の効率化
BIツールを使えば、在庫データをリアルタイムで監視し、需要予測に基づいた最適な在庫量を維持できます。これにより、過剰在庫や欠品リスクを軽減し、コスト削減が期待できます。
4. エネルギー消費の最適化
製造工程ごとのエネルギー消費を可視化し、コスト削減の余地を特定します。エネルギー効率の改善により、環境負荷を低減するだけでなく、持続可能な生産体制を構築できます。
5. KPIの可視化と目標管理
生産性、納期遵守率、リードタイムなどのKPIをダッシュボードで一元管理することで、目標達成状況をリアルタイムで把握できます。これにより、データに基づいた迅速な意思決定が可能になります。
【おわりに】
私の感覚ではありますが、BIツールを使用するようになってから、データ分析にかける時間は半分以下になり、本来時間を割くべき考察の部分に十分な時間を使えるようになり、仕事の仕方が劇的に変化しました。
BIツールは、製造業におけるデータ活用を一段階引き上げる強力な武器です。Excelやプログラミングに比べて操作が簡単で、大量データの分析や共有に優れています。また、稼働状況のモニタリングや品質管理、在庫管理など、さまざまなプロセスでの生産性向上に寄与します。
製造業における競争力を維持するためには、データに基づく迅速かつ的確な意思決定が欠かせません。BIツールの導入を検討し、データ分析のハードルを下げる取り組みを実施してみてはいかがでしょうか?