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失語症ってなあに?

失語症について

「失語症」は公認心理師試験でもよく狙われる部分なのですが、よくわからないという人のために自分が受験したときに誰かに説明するためにまとめたやつを少しだけ見やすく直しました。

 失語症は、脳梗塞などで生じる脳の高次機能障害の一つです。高次機能障害のなかでは認知症(94.6%)が最も多いのですが、失語症(88.6%)は第2位です。見た目だけでは判断ができないので、みえない障害などと呼ばれています。


ことばの中枢
失語症の概念図
医学生なら一度はみんな書いてるよねこの図


感覚の入力の中枢

目・耳・鼻・舌など外部からの刺激が、脳の中枢に達して起こる意識の現象のことを「感覚」と呼びますが、その感覚の中枢はそれぞれ
 ・体性感覚→頭頂葉
 ・視覚→後頭葉
 ・聴覚→側頭葉
です。

で、それら得た感覚から、じゃあどうする?よし逃げる!みたいな「運動」をつかさどっているのは「前頭葉」です。

Wernicke中枢とBroca中枢

耳からの情報は側頭葉のWernicke中枢(ウェルニッケ中枢:感覚中枢のひとつですね)に入り、大脳の弓状束を通り、前頭葉のBroca中枢(ブローカ中枢:運動の中枢なので前頭葉)に向かい、口から言葉として出てきます。


Wernicke中枢が障害されるとおこる「感覚性失語」

側頭葉のWernicke中枢が障害されると
・理解できない
・復唱できない
という症状になり、これを「感覚性失語」と呼びます。

※Wernicke中枢だけの傷害の場合には、Broca中枢は保たれていますので口の運動はできる。

このときはよくしゃべるんですが何言ってるのか不明で、これを「ジャルゴン失語」と呼びます


Broca中枢が障害されるとおこる「運動性失語」

前頭葉のBroca中枢が障害されると今度は逆に
・理解はできるのに口から言葉を発することができない
・復唱できない
という症状になります。これが「運動性失語」です。


ふたつの中枢を結ぶ弓状束の障害「伝導性失語」

この二つの中枢をつないでいる「弓状束」が障害されると、
・理解はできるし言葉も話せるのに、復唱ができない
という症状がでます。これを「伝導性失語」と呼びます。

伝導性失語とWernicke失語(感覚性失語)の違いは「理解できるかどうか」です
おなじように
伝導性失語とBroca失語(運動性質語)の違いは「発語できるかどうか」です


それらをまとめた「皮質性失語」

ちなみに、これらBroca中枢もWernicke中枢も弓状束もすべて大脳皮質の機能なので、これらの障害で出現する失語のことを「皮質性失語」と呼びます。

「超皮質性失語」とは

 人間ってのは不思議なもので、感覚性失語のように(話し言葉の)「理解」が障害されているにもかかわらず、なぜか復唱できる場合がありまして。これを説明するのに、「なんか脳のすごいところ(これを超皮質とよびます:正確には場所が同定されていません)」が関与しているのでは?といわれており、この場合の失語のことを皮質を超えた超皮質「超皮質性感覚失語(Transcortical sensory aphasia)」と呼びます。

※Transcorticalって、皮質を超えた超皮質というよりも「皮質間の」って意味に感じるけど、どうなんだろう。


同じように、運動性失語のように発語が障害されているにもかかわらず、復唱ができる。という患者さんがおりまして、その状態を説明するのに「超皮質性運動失語(Transcortical motor aphasia)」と呼ぶように決めたんです(ちなみにLichtheim先生が内交連性失語と読んでいたものを、超皮質性運動失語と提唱したのはWernicke先生なのだそうです)

理論的にはシルビウス裂という場所に沿った場所ではないかと言われています。
(と、僕が持ってる「神経診断学を学ぶ人のために」柴崎浩先生 という本には書かれていますが、たぶんいろんな説があっていろんな論文出てます気になる方はご自由にお調べください)


超皮質性運動失語
・有用な自発語が減少ないし消失する(Broca失語なので)
・言語理解は良好(Wernickeは傷害されてないので)
・なぜか復唱が可能

超皮質性感覚失語
・理解の傷害がある(Wernickeなので)
・よくしゃべる(Brocaは傷害されてないので)
・なぜか復唱ができる

以上、超皮質性運動失語と超皮質性感覚失語の説明でした。
どちらも「なんでかよくわかんないんだけど、なぜか復唱ができる」という点が共通です。


以上、簡単ですが失語症をまとめました。

皆様が公認心理師試験を無事突破できる事を心からお祈りしています。

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