【1分小説】燃える土器と僕らの謎【300字小説】
お題:「謎」
お題提供元:Twitter300字ss(https://twitter.com/Tw300ss)
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「ほんと、謎ですよ。五千年前に、こんな美しい土器が作られたなんて」
君のスマホ画面には、火焔型土器の写真。
大学の歴史研究会の活動として、僕ら二人は博物館に行ってきたのだ。
「ふふ。その謎、解けた気がする」
「教えて下さい!」
「ひみつ」
「どうしてですかー!」
君は笑って、僕に肩を寄せる。あたたかい。
この世界は謎だらけだ。
君がくっついてくる理由。そして、この時間が永遠に続けば良いと思ってしまう理由。
鞄には、君に渡したい手紙が入っている。今まで使ったことのない言葉で綴られた、初めての。
相手を深く慕う気持ちは、時として人の想像を超えるものを作り出すのかもしれない。
はるか昔、この土器を作った人も、きっと。
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