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【キングダムと資本主義と朝倉未来とうつくしさ】

ぼぉっと西成の街を眺めながらタバコを吸っていた時、自転車で空き缶を運ぶおっちゃんがいた
前カゴや後ろの荷台、左右のハンドルにも袋いっぱいの空き缶を詰めて絶妙なバランスを保って自転車をこいでいた
カランコロン、とひとつの空き缶が落ちた
どうするのだろうかと注視していた
1分くらいだっただろうか、おっちゃんは自転車を降りずにジッと空き缶を見つめていた
あぁ美しいな。私はそう思った

二十歳くらいの頃から、美しさの基準のようなものについて考えることが多かった
きれいな景色を見て美しいと感じる人
多いと思う
想いやストーリーに美しさを感じる人
たいていセンスが良い
原始的な暮らしや大地の営みに美しさを感じる人
ラブ&ピース
子ども、これは問答無用で美しい

一方で醜さや愚かさや狂気、ただの動物としての人間
掃き溜めの中の一輪の花のような矛盾
私はこれらに美しさを感じてしまう
資本主義、これにもまた美しさを感じるのだ

主義は変化する
その時代その場所を生きる人達の多様な大事の中から一番多いものが主義になるのだろう
私はキングダムが大好きだ
キングダムは春秋戦国時代を描いている
登場人物は戦を大事にしていて「戦主義」の時代だったとも言えるだろう
各キャラクターの思想の違いがまた面白い
政や李牧は想いやストーリーを語る
呂不韋は金を語る
青歌の人々は戦と隔絶された理想郷を作りたかったが飲み込まれる
桓騎は戦と戦い王騎や麃公は戦を楽しんでいる
みな美しさの基準はそれぞれだ
資本主義と戦主義
違うようで違わない
ただその時代の多数派によって生み出され、それは中心として強力な引力をもって全てを巻き込む
そこに抗う少数派もまたその主義の中の一つだ

私は長らく資本主義に浸かっている
違和感を抱きつつも離れるべきではないと感じている
資本主義や戦主義の共通点は貧富や勝ち負けという目に見える「差」を突きつける
この差というのは比較を生み比較は人を醜くする
朝倉未来が平本蓮に負けた時、私は朝倉未来に美しさを感じた
資本主義と戦主義のど真ん中にいた彼は、金と強さのバランスを保てずに倒れた
本当に美しかった
金だけが残った彼はこれから様々な比較に晒され愚かに醜く見えるかもしれない
だが私にはきっと一層美しく見える

お気づきだろうか
キングダムのくだり辺りから完全に書くことに飽きている
序盤でオチを見失った
そもそもテーマが難題すぎる
だが私は出しかけたウンコは強引にぶったぎるタイプだ
不完全なまま最後までいってみよう

やりたい事をやりたい時にやる
これが私の人生のテーマだ
金はその為の手段に過ぎずテーマを達成できるのなら金は最低限あれば良い
だが気を抜くと金はすぐに目的にすり替わる
欲望にはキリがなくもっともっとと蟻地獄のようなものである
やりたい事の規模が大きくなるにつれ金が必要になる
金で解決できる事が多すぎる
これが資本主義なのだ

資本主義の中にある矛盾がさらに私を資本主義にのめり込ませる
あの空き缶を落としたおっちゃんはバランスを崩したくなかったのかもしれない
拾おうとするとまた別の空き缶が落ちるかもしれないし最悪転げて全てを失うかもしれない
だが、拾わないわけにはいかないのだ

私は近いうちにきっとまた借金をする

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