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リンダ•ロンシュタット あてにならない恋
前回の続き
noteオフ会関西ツアーの三日目は浜松で降りてrakudaさんに会いました。浜松といえば鰻。実は私もよっしーさんもrakudaさんも、鰻が大好き。旅行に行く前から浜松での下車を楽しみにしていました。
連れて行って頂いた立派な鰻屋さんで恋バナをしていました。恋バナといっても、リンダ•ロンシュタットのこと。
rakudaさんは、大ヒットしたリンダとアーロンネビルとのデュエット曲がお好き。そしてリンダさんのことも大好きで、美人ではないけど可愛いとおっしゃいます。でもrakudaさんは女性好きなので好みが変わりそうで、あてになりません。笑
そこで、鰻の肝焼きを初めて食べました。あの肝吸いの肝を焼いたものです。すごく美味しいという訳ではないですが、良い焼き加減に良い食感です。これは酒の、あてになります。笑
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私、リンダ•ロンシュタットはあまり聴いてきませんでした。カヴァー曲を歌う人でオリジナリティに欠ける、なんて思ってました。でも最近、彼女の映画↑を観て見方が変わりました。女性の地位の低い70年代に真に共感し合える仲間達と成長しながら自立していった彼女は魅力的でした。カヴァー曲でも彼女の歌は曲を支配する力があると感じました。
そういえばrakudaさんのコメントで、どの産地の鰻が美味しいのかという話から、三河産も(本当なのか)あてになりませんと書いていて、私も思い当たる節がありました。40代の頃は商品のバイヤーの仕事をしていて原産国表示や効果効能の文言とか、あてにならない情報をあてになるように確認に追われる毎日だったのを思い出しました。
というわけで、
「あてにならない恋 Faithless Love」
アルバム「悪いあなた」から。
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バンジョーの音がはかなくも温かい恋を彷彿させます。作曲はリンダの恋人だったJDサウザー。リンダとJDの二人で歌うこの歌は多分ノンフィクション。映画では、JDサウザーが登場して彼女を回想するシーンがあります。
「ドルパドールで彼女に目を奪われて、数日後に電話したら家に招いてサンドイッチを作ってくれた。好きになって家に連れ帰ったよ。そして一緒に暮らそうと誘ったよ」
「俺もリンダも結婚に向いてなかった」
(なぜ破局?)「さあ、彼女に聞いてくれよ」
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faithless→あてにならない、という邦題は、お似合いの美男美女の二人には、いかにも当てはまりますけど、私にもいろんな意味でスッと落ちました、だって…
現実は恋なんて片思いばかりで、あてにならないし、うまくいかないから
相手がある事だしモテる人は決まってるから
デジタル化で情報が多過ぎて、あてにならない情報が溢れてるから
あてにならないので、踏み出せないことやためらったことが、沢山あったから
人生はあてにならないことを、あてになることにしていく、繰り返しの努力なのだろう
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本アルバムのタイトル曲で「Heart like a wheel」という曲があります。ポップでもフォークでもないヒット性の低い曲です。しかしリンダはこの曲を歌いたいと切望しました。
オリジナルはケイト& アンナ•マッギャリグルというカナダ人の姉妹です。リンダが取り上げた事で注目を集めました。動画↓は後に姉妹が恩人のリンダをゲストに迎えた小さなホールでのライヴ映像です。初めにリンダさんが歌い、次にケイトさん、アンナさんが歌い、中盤から美しいコーラスを繰り広げます。最後は only love only loveと繰り返されます。
歌詞は絶望的で胸が詰まります。
愛する気持ちは沈みゆく船のよう
見渡す限りの海の中を
死ぬのは悲しい物語
一度っきりでそれでおしまい
深くて暗い奈落の底に落ちたい
愛しかないの、愛しかないの
これを歌った姉のアンナ•マッギャリグルアは数年間の闘病生活のあと、2010年64才の若さで旅立っていきました。
リンダ•ロンシュタットは2013年にパーキンソン病と診断されて、歌うことが出来なくなりました。
「なんという仕打ちだろう。だが美声を収めたレコードがある。笑い声もはしゃぎ声も僕の頭の中で聞こえる。決して忘れないよ」
これは映画の終盤、JDサウザーの言葉です。
今、この曲を聴くと
治らない病気のつらさや
海に沈んでいく孤独を想像してしまい
愛しかないの only love only love
と繰り返す声に深い純真さを感じてしまいます
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最後に2019年に発売されたリンダの初のライヴアルバムの紹介です。1980年にハリウッドのテレビ局用にライブ録音したものが、最近マスターテープが発見されて発売に至りました。
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40年前としては録音状態が良くて観客の声も小さく、時間も本人が選んだ12曲で長くないですし、すっきりと聴けます。
演奏も素晴らしいし溌剌と歌っていますね。
オープニングの曲とラストの曲です↓