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プレイヤー Baby Come Back
学生の頃、好きな人がいて、
別れがありました。
銀座でデートしたことがあって、大きな映画館で「あしたのジョー」を観に行った。
隣の席の彼女に五粒のアーモンドチョコを手渡したら手のひらで溶けはじめて、彼女は困ってしまい笑って、そこで気持ちが打ち解けたことを思い出した。
彼女は、映画の中の力石徹の恋人の令嬢(白木ようこ)の髪型は前髪のカットがヘンだと可笑しがっていた。おれの感想は、その令嬢が「男のおしゃべりなんて最低よ」と言ったセリフが妙に気になると言ったら「○○君(私)はおしゃべりなんかじゃぜんぜんないよ」と言ってくれた事を思い出した。
受験期だったので二人で図書館に行った時、席でお喋りしていて近くの人ににらまれたけど、楽しかったので話し続けていた。
そこでおれが机でうつぶして寝ていたら、彼女はおれの右の横髪にそっと触った。
バレーボールをしてるところが好きと言われたけど、もうサッカー部に転向したかった。サッカーの方が上手くいくし誘われていた。バレーをしたのはあの三年足らずだったけど、体育館でお互いに会えた。
そこで出会って
その姿を好きと思ってくれたのは
世界中で、あの時のきみひとりなんだ
体育館でお互いが見えるのに、
おれたちはつきあっているのに、
バトミントン部のきみの側までいって、
練習前に話したり戯れたことが一度もなかった。
恥ずかしくて、しなかった
それはずっと後悔になった
沢山、後悔はあるよ。受験期でなければ、
もっと素直に積極的になれたはずなんだ。
でも彼女は素直にありのままを
受けいれてくれていたのだと思う
きみの美しい時代をありがとう
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プレイヤー 1st 1977年
このデビューアルバムから「ベイビーカムバック」が大ヒット、三週連続チャートの一位になりました。この曲を書いた直前、ヴォーカルのピーターヴェケットは彼女との別れを経験していたという背景もありました。
プレイヤーはロサンゼルスで結成されましたが、Voのピーターヴェケットは英国リバプールの出身。もう一人の中心人物、キーボードのJ.C.クロウリーは、ばりばりのテキサス人で、あのスワンプロックのギタリスト、ジェシ・エド・デイヴィスとコンビを組んでレコードデビューまでした経歴があります。
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彼らは、70年代に二枚、80年代に二枚、90年代に二枚と寡作なバンドでした。
「ベイビーカムバック」の一発屋のイメージがありますが、他のアルバムも、寧ろ他の方がなかなかの出来で私は続く2ndも3rdも好きです。(後追いですが) 時代に流されず、メロウなオリジナリティがあるし純粋なバンドサウンドで好感が持てます。
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1977年といえば、映画「サタデー・ナイト・フィーバー」が大ヒットしたディスコムーヴメントの時代でした。「ベイビーカムバック」がチャート一位になる前の週の一位はビージーズの「愛はきらめきの中に」そのあとの一位はやはりビージーズの「ステインアライヴ」や「ナイトフィーバー」で、ビージーズの快進撃が続いていました。
ディスコ調の曲が溢れる中、ソフトな「ベイビーカムバック」はむしろ異色のヒットで、ウエストコーストとAORが絶妙にブレンドされた爽やかで甘酸っぱいこの良曲は、三週連続一位をキープしたのです。
この曲は当時、ホール&オーツの「シーズ•ゴーン」に似てると指摘されることもあったらしく、当人たちはその事をかなり気にしていて、続く2ndアルバムでは少しハード路線の曲↓もあったりしますが、これはこれで相当カッコいいと思います。彼らのMVはどれもライヴ演奏だけのシーンであるように、彼らはライヴバンドとして長きに渡って活動を続けます。
現代の音楽ではこういう曲はなかなか得られなくなりました。ひとつひとつの音を実際に演奏して丁寧に練られたような質感です。子供の頃、母が銀座の百貨店で買ったお洋服のような丁寧な縫製の質感です。これは70年代特有の宝物のような曲だと思いますし、私にとっても切ないような宝物です。
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