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ポール•サイモン One Trick Pony
「Ace in the hole」のライヴ映像を観ていて、ますます、このメンバーに惹かれている。エリックゲイルのギターは控えめながらもなんてセンスなんだ!スティーヴガッドはいつだって巧い。ポールサイモンはいつものクールさを投げすて、熱い!リチャードティーってこんなにソウルフルに歌うのか!ポールとのVoの掛け合いも最高!みんなサイコー!! ↓
この動画が途中からなので、ちゃんと始めから見たくて映画を観たら映画のシーンなので、やはり途中からの同じ映像でガッカリしたけど、もうこの曲はポールサイモンのソロの中でも最高レベルに好き。
ポールサイモン「One Tric a Pony」(1975)
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映画のサントラとして発表したものの、その映画自体は大コケだったらしい。映画も観たけど、言われるほど悪くないし、ポールの演技もふつうだし、子役の子は可愛いし、そう、父と子で公園で野球をやるシーンがあったけど、ポールサイモンって左利きなんだー!?とその時初めて知りましたよ。ギターは右利きで弾くから知らなかったです。そういえば、アートガーファンクルも「レフティー」ってアルバムがあるし、たぶん左利きなのでは。。
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それはいいとして、とにかく映画には、スタッフのメンバーがそのままストーリーの中のバックバンド役として出ていて、けっこう映るシーンも多いし、実際に演奏しているシーンが何曲かある。タイトル曲もそう。これがまたスゴイ↓
ポールサイモンは、S&Gのアルバムは全てが素晴らしいのだけど、ソロになった70年代のアルバムも驚異的に次々と良くて、そして1975年「時の流れに」でグラミー賞を受賞。シングルも一位になり、アメリカを代表するソングライターになるわけです。
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「時の流れに」から5年後、映画「ワントリックポニー」と合わせてアルバムが発表されたが、映画がコケたのと、前作から5年も経っていたためか、それまでのソロと比べると大きなヒットとはならず地味な作品という印象だが、どうして、どうして、これが、音楽的に素晴らしかった。スタッフメンバーとの演奏は間違いないし、リチャードティーのローズピアノも全編に漂い、センス抜群のバンドの演奏がポールサイモンを支える。
ただポールの心中はそれとは裏腹に、当時恋仲の、だいぶ歳下の奔放な娘、キャリーフィッシャー(スターウォーズのレイア姫)との不安定な関係に苦悩し、さまよう心を感じさせる曲がいくつかある↓
そして「オーマリオン」↓は、マリオンの名が、キャリーフィッシャーのことを暗示しているらしい。というのも、このアルバムの前年、アメリカでは映画「チャンプ」が大ヒット。実は音楽版チャンプともいえる脚本をポール自身が書いたのが、この映画ワントリックポニーだった。
キャリーフィッシャーの母親は、デビーレイノルズという人で、出生名は、マリーフランシス。彼女は脚本家&プロデューサーとしてアメリカを代表する映画人として有名で、チャンプの脚本を書いたことで再注目されていた時期に、マリーの名を借りて「オーマリオン」というタイトルで曲を作り、キャリーフィッシャーに去られたどん底の想いを歌った。キャリーフィッシャーはレイア姫として超有名人なので、直接名を使わずに遠回しに呼びかけている、というワケなのだ。
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どうも私は、このレイア姫役のキャリーさん、好きじゃない。若い時から、薬物でいろいろお騒がせだったし、数年前に若くして心臓発作で亡くなったときも大量のアルコールと薬物が検出されていた。そもそも正義のレジスタンス軍の女将軍なんだから、ちゃんとして欲しいです。できないんだったら、邪悪な敵軍に移籍してほしい笑 そんなわけで、ポールサイモンは薬物依存のマリオンことキャリーフィッシャーとは、一年で離婚です。
それから、当初アルバム未収録になった「ソフトパラシュート」。これが一発屋ヒット(ワントリックポニー)の歌として扱われ、寂しそうに歌うシーンがあるけど、これが未収録曲にしては勿体無いほどの良い曲で、後にリマスター盤に収録された↓
音楽としては素晴らしかったものの、映画としては失敗した「ワントリックポニー」。脚本&製作&主演だったポールは、自信を失いうつ病の治療を求めていたほどだったが、スタッフとの充実した活動を続ける中、11年ぶりに、サイモンとガーファンクルを再結成して、あのセントラルパークでのコンサートが行われたわけです。
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あの時、私はまだ彼らに夢中ではなかったけど、私の姉が深夜のTVをつけて、一緒に観たのを覚えている。そして、このアルバムにもある「レイトインジイブニング」↓を観ると、あの夜、胸が踊った記憶が蘇る。1982年の夏の終わりの頃だ。