クモと雪
週の半ばから、急に真冬になった。気温が大幅に下がり、本格的な雪が降り積もった。このひと月あまり天気が悪く晴れたのは2日だけだったので、いきなり真冬に突入し、ますます気が滅入る。
冬に向け寒くなるにつれ、庭のあちこちに巣を張り巡らせていたクモも、いつの間にか姿を消していた。連中は、冬の間いったいどこにいるのだろう。土の中に潜るのだろうか。
タイヤカバーには、モンシロチョウのさなぎがついていた。蝶は、さなぎで冬を越すようだ。数年前、真冬に成虫のバッタを見かけたことがある。調べてみると、バッタは成虫で冬を越すものもいるようだ。
そんな中、庭の片隅に1匹だけいつまでも巣を張っているクモを見つけた。朝は氷点下になるというのに、まだ網を張っている。飛ぶ虫など、とうに見かけなくなっているのに。
そして、とうとう本格的に雪が降りだした。庭に出てみてみると、クモの巣にも雪がたくさん降り積もっている。クモは、じっと動かなかった。
しばらくしてからもう一度外に出てみると、クモは1本の足を巣に引っ掛けたままぶら下がっていた。やはり、この寒さでは死んでしまったのであろう。
なぜ、このクモは他のクモのように冬ごもりしなかったのだろうか。冬を越すには、まだえさが足りなかったのだろうか。いろいろ考えても、結局のところ分かるはずもない。ただ、哀れな感じがした。
今日も、雪が降り続いている。春は、果てしなく遠い。