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仕事と趣味のあいだ
アニメーションを作ること、映像をつくること、絵を描くこと。どれも仕事として日々向き合っている。
それに活かせそうなものはすべて糧にしようという考え方が、自然と身についていた。映画やドラマを観る、本を読む、漫画を読む、舞台やライブを観る、ゲームをする、写真を撮る、落書きをする。どれも単なる娯楽というより、仕事につながるインプットとして受け止めるようになっている。
最近、音楽を作り始めた。映像には音楽も含まれるから、これもまた仕事に近い。とはいえ、視覚的なものほど密接に関わるわけではないので、割合は少し低めだ。それでも、いざ作り始めてみると「この展開は?」「この音色は?」と分析する視点が生まれ、気づけば趣味と仕事の境界がまた曖昧になっていた。もう戻れない。頻度は低いながらも、音楽を聴くときの耳が変わってしまった気がする。まだ、そういうモードになる頻度は少ないけれど。
仕事とは生きるために必要なもの。では、趣味とは何かと考えると、「生きるのに直接的に役立たないことを一生懸命やること」という感覚がある。10年ほど前は低い山を登っていた。目標だった富士山に登ったとき、ひとまず満足してそれ以来休眠中。
最近、武道を始めた。これは趣味といえるのかもしれない。ただ、のんびり楽しむというより、厳しさもあるので気軽に趣味というには少し不思議な感覚だ。
「すべてが役に立つかどうか」という視点は、なんだか窮屈だなと思うことが増えた。でも、何かをやるなら役に立つ方がいいんじゃないか?という貧乏性のような考えもあったりする。
本業とは別のことをすることで視野が広がり、結果として本業にも還元されるというのはよく聞くこと。そういう無駄なことをする余裕のようなものを持てたほうがいいのかもしれない。でも。そう思う時点で、結局「役に立つかどうか」を考えてしまっているのだけれど。
たまには小さな山を登って、コーヒーを沸かして飲んで帰る。そんなこともやってみたい。でも、根っからのインドア派だから、きっと思うだけで終わる気もする。
疲れ果ててしまわないように、余裕をもてるような心もちを身につけていきたいなと思う。
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