風評「被害」と風評「加害」
食材宅配サービス会社の会長が「放射能汚染水を流し始めた」というポストをしたことで、会社が謝罪リリースを出しました。
発言自体は削除され、不適切な表現だったとして謝罪がありました。
会長だけでなく社長も個人アカウントでお詫びをしています。
まとめ記事はこちら。
投稿を見た時に「こういう人が企業で会長職にあるのか」と思いました。
これほど学ばない人がトップにいて、この会社は大丈夫なのか?とも。
そして、その後に投稿された「「汚染水」という表現は風評被害を拡大する恐れがありますので、「処理水」に訂正いたします。」というポストも、何が悪かったのかを全く理解できていないなと感じしました。
風評被害を拡大する恐れがあるのではなく、事実に反した情報を流布した=風評加害を行ったことが問題なのです。
自分が加害者であることをまるで理解していない。言葉遊びに終始して、本質を見ようとしていない。
安心や安全を謳った食材を売りさばくために、特定地域が危険であるかのような発信をするのは、姑息だと感じます。そうしなければ成り立たない商売ということなんでしょうか。
記事にもありますが、社長からも以下の発信がありました。
「エモーショナルな議論」って、何でしょうね?
感情的・情緒的、つまりはお気持ち表明が多いということですか?だから冷静な議論が必要だと?
ええ、そうですね。見聞きする範囲でお気持ち表明をして冷静な議論を妨げているのは「汚染水」といった言葉を使う側ですので、是非とも会長を筆頭に、冷静さや論理性を欠いた考え方をしている人に対して、科学的かつ論理的な教育をしていただきたいものです。
X上の反応を見ていて変わったなと思ったのは、尻馬に乗って騒ぎ立てて不安を煽る人よりも、これが誤情報であることを指摘する声が目立ったこと、そこに「風評加害」という言葉が使われるようになったことです。
被害があるからには加害する存在があるのは当然ですが、これまで被害のことばかり言及されてきて、加害の視点で語る人はごく一部だったように思います。
あるいは、加害の視点で語っていても、使う言葉は「風評被害を煽る」といった感じだったり。
「風評加害」という言葉については、私は林智裕さんの功績が大きいなと感じています。
東日本大震災だけでなく、新型コロナウィルスやワクチンなどにまつわる情報災害・風評加害について考察されています。
少なくとも加害側は「風評被害を煽る可能性がある」ではなくて「風評加害をしてしまった」と言ってほしいなと思います。本当に反省してるならね。
被害と加害はセットで考えていこう、というお話。