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イラストレーターのための宣伝・営業術00「序章」

(この記事は、『イラ通・スクール』の講義《宣伝・営業術00「序章」》を転載したものです)


■ 「イラ通メソッド」の3本柱


「イラ通メソッド」には、3本柱があります。
具体的には次の3つです。

1)絵の力(食べていくために必要なイラストレーションの8要素)
2)宣伝・営業力(宣伝、営業、マーケティング、ブランディングなど)
3)人間力(マナー、性格、行動力、交渉力など)

この3つの力が備わった時、イラストレーターは食べていけるようになります。

「1)絵の力」に関してはーー
イラ通メソッド・基本講義」にて、講義しております。
色彩術」に関する別講義も進行中です。

この二つをマスターすれば、プロとして食べていくための絵の力が、かなり付くはずです。

さて、今回から始まるのがーー
「2)宣伝・営業力」の講義です。


他のどこも教えてくれない、プロ・イラストレーターに特化したーー
宣伝・営業・マーケティング・ブランディングなどに関する秘策・奥義を詰め込んだ内容となります。
あなたがプロ・イラストレーターとして成功することを願って、伝授します。

「3)人間力」に関してはーー
まだ本格的な講義を始めていません。
でも、さまざまな講義の中で少しづつ触れています。

例えば、「電子メール術」では、電子メールの講義のマナーを含めて講義しています。
著作権譲渡問題01 著作権譲渡契約を回避する交渉術」「ギャランティの話07 見積もりと値段交渉」などでも、マナーを含めた講義内容になっています。
「2)宣伝・営業力」の講義が終わってから本格的に開始すべく、現在構想中です。

■ 「いい絵を描きさえすれば仕事がくる」というのは幻想です。

「いい絵を描きさえすれば仕事がくる」そんなふうに信じる人は多いです。
この言葉には、イラストレーターを目指すものなら誰もがすがりたくなる輝きがあります。
例え仕事が少なくとも、この言葉を呪文のように唱えると、なんだか自分を安心させることが出来ます。
かつての私も、この言葉を信じていました。
呪文のように何度も唱えて自分を安心させていました。

でもーー
現実を見ると、それが事実ではないことは明白です。
とてもいい絵を描いているのに、イラストレーターとしては食べていけない人がたくさんいるのです。

私は、大阪でグラフィック・デザイナーをしていた頃から、さまざまなコンテストやコンペ等で入選・入賞していました。
「これならイラストレーターとして成功できる」と思い込んでいました。
ところが、上京し、イラストレーターとしての活動を始めてみると、全く食べていけませんでした。
当時、コンテストやコンペ等の授賞式などで、駆け出しのイラストレーターと知り合う機会も多かったです。
そこで出会ったイラストレーター達は、皆素晴らしい絵を描いていました。でも、イラストレーションだけで食べているという人は、ほとんどいませんでした。

いい絵を描いても、有名なコンテストやコンペ等で入選・入賞しても、イラストレーション専門誌に大きく紹介されても、大半の人はイラストレーションで食べていけずに苦しんでいました。

ここでーー
多くのイラストレーター志望者は認めたくないであろう事実を、はっきりと告げなければなりません。

「いい絵を描きさえすれば仕事がくる」という言葉は、幻想です。

どんなに優れた絵を描いても、それだけでは食べていけないのです。


■ それでは、食べていけるかどうかは運なのでしょうか?

私がイラストレーターとして活動していた現役時代、
「結局食べていけるかどうかは運次第」と、思っていました。
でも今は、「それは間違いだった」と考えています。

確かにーー
絵が良ければ、運良く仕事が来る日もあるでしょう。
でも、「そうした運が、安定的に何年何十年と継続するのか」というと、そんなことは滅多にありません。

宝くじを買う人は、「次は当たるかも」という幻想を信じ込んでいます。
信じ込んで何度も何度も買います。
でも、大半の人は、外れます。
確かにごく一部の人は、高額賞金を当てます。
でも、安定的にずっと高額賞金を当て続ける人は存在ししません。

運というのは、いつまでも続くものではないのです。

運をあてにイラストレーターとして活動することは、宝くじを買い続ける人と大差がないです。
運よく仕事を獲得するイラストレーターも確かに存在しますが、大半の人は獲得出来ません。
そして、運だけで安定的に継続して仕事を獲得し続ける人もまた、存在しないのです。

つまりーー

「運をあてにしている人は、成功しない」

これが真実です。

■ バブルの頃までは、絵さえ良ければ仕事がきた


かつてーー
絵さえ良ければ仕事が来た時代がありました。
昭和の時代です。
バブルの頃までは、いい絵を描きさえすれば仕事が来ました。

それは、なぜなのか?
答えは簡単です。
まだ、イラストレーターの数が少なかったからなのです。

当時、出版界も広告業界も、新しい才能に飢えていました。
ベテラン・イラストレーターの方々に聞いたところでは、『イラストレーション』(玄光社)で作品が紹介されるだけで、仕事を依頼する電話が何本も来たそうです。
今のベテラン・イラストレーターは、マーケティングの知識に頼らなくとも、仕事がたくさん来ていたのです。
ですから、「マーケティングの知識なんて邪道だ」と考えている人も多いです。

しかし、時代は変わりました。
イラストレーターが増えすぎて、余っています。
『イラストレーション』誌に掲載されても、ほとんど仕事が来ることはありません。
昭和から活躍していたベテラン・イラストレーターの経験や知識が通用しない時代になっています。

未だ昭和のやり方で通していた企業は、今窮地に陥っていることが多いです。
イラストレーターも、昭和の時代と同じことをやっていては生き残れないのです。

■ 「レッド・オーシャン」と「ブルー・オーシャン」


『ブルー・オーシャン戦略』(W・チャン・キム + レネ・モボルニュ・著)は、マーケティング関連の書籍として歴史的な名著です。

その書籍の中で、「レッド・オーシャン」「ブルー・オーシャン」という概念が提唱されています。

「レッド・オーシャン」とはーー
血で血を洗うような、多数の競合がひしめく市場を指します。
たくさんのライバルに勝つためには、値段を下げることになりがちです。
苦労が多いにもかかわらず、利益はほとんど上がりません。

「ブルー・オーシャン」とはーー
競合がいない、または少ない平和な市場を指します。
ライバルと戦う必要は、ありません。
苦労が少ないにもかかわらず、高利益を上げることが出来ます。

この概念を、イラストレーター業界に当てはめて考えてみましょう。

バブルの頃まで、イラストレーター業界はブルー・オーシャンでした。
イラストレーターの数が足りないので、いい絵を描きさえすれば、どんどん仕事が来ました。
しかし、バブル以降、イラストレーターを目指す若者がどっと増えました。
「日本グラフィック展」「ザ・チョイス」「JACA日本イラストレーション展」などの新人発掘のコンテストがコンテストが、次々登場したことも大きいです。
応募作品受付会場では、イラストレーターを目指す若者が長い列を作っていました。
こうしたコンテストから出てきたのが、日比野克彦さんをはじめとするスター・イラストレーターです。

あれから約40年が経ちました。
イラストレーター発掘のコンテストはさらに増えています。
そしてイラストレーションを教える教室等も増えました。
「青山塾」「MJイラストレーションズ」「F-SCHOOL OF ILLUSTRATION」などのすぐれた教室が、多くの才能を輩出しています。

イラストレーター志望の若者は、ますます増え続けているのです。

ネット上を見ると、驚くほどたくさんの自称イラストレーターがいます。
みんな「お仕事募集中」などと掲げています。
一体何人のイラストレーターがいるのか、正確な数字は誰にもわかりません。
イラストレーターという職種で確定申告している人は、1万人程度だそうです。
ランサーズの調査では80万人(?)という数字も出ているようです。

参考ページ:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13235619998

これほどたくさんの競合がいる業界は、そう多くはありません。
今のイラストレーション業界は、究極の「レッド・オーシャン」なのです。


■ 運ではなく、ブランディングやマーケティングなどの知識に頼ろう


これだけたくさんいる競合の中から選ばれるのは、ほとんど宝くじを当てるようなものです。
でも、本当に運に頼るしかないのでしょうか?
究極のレッド・オーシャンで食べていく方法はないのでしょうか?

その方法はあります!
レッド・オーシャンで成功している企業は存在するのです。

例えば、究極のレッド・オーシャンといえるビール業界で、異例のヒットを飛ばしたのがビール・サーバです。

【「買って終わり」からの脱却。キリンビールがサブスクリプションで目指す「New Beer Experience」とは】
https://exp-d.com/interview/4628/


あるいは、究極のレッド・オーシャンといえるお菓子業界で異例のヒットを飛ばしているのが湖池屋です。
【「人の生活の一部になる」。ヒット商品を連発する湖池屋のマーケティング部長が考えるマーケティングという仕事の「本質」】
https://lab.re-katsu.jp/special/detail/id=581


さらに、究極のレッド・オーシャンといえるチョコレート業界で異例のヒットとなったのが、「ザ・チョコレート」です。
【なぜ明治「ザ・チョコレート」は成功したのか?元日経MJ編集長が語る、ヒット商品の条件とは】
https://www.bil.jp/blog/details/34


私はイラストレーターを引退してから、マーケティング・ブランディング・経営戦略・営業・宣伝等に関する書籍を読み漁りました。
その数は、数百冊にもなります。
そこにあったのは、私の全く知らなかった世界でした。
これまでにたくさんの天才が、事業が成功する秘訣を考察し、数々の名著を残しています。
『ブルー・オーシャン戦略』もそうですね。

それらの書籍を読んで、世界の見方が変わりました。
絵の勉強しかしてこなかった私には、新鮮な驚きの連続でした。
事業が成功するかどうかは、運ではなかったのです。

イラストレーターも、事業の一種です。
イラストレーターも企業と同様に、運だけで成功できるわけではないのです。
時に運に恵まれることもあるかもしれませんが、運が永遠に続くことはあり得ません。

本当にイラストレーションで食べていきたいのならーー
運ではなく、ブランディングやマーケティングなどの知識に頼りましょう。

私たちは、天才的な頭脳の持ち主が必死に考え抜いた知識を、書物から得ることが出来ます。
天才たちの考えたことを実行することで、自分だけでできることの限界を超えることが出来ます。
私たちにとって、天才たちが書き記した書物の知識は、限界の壁も飛び越えることのできる翼です。
積極的に、天才たちの頭脳を借りようではないですか。

プロ・イラストレーターに特化した、宣伝・営業・マーケティング・ブランディングなどに関する秘策・奥義を詰め込んだ講義の幕は上がりました。

次回から、本格的な講義を開始します。

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イラストレーターズ通信
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