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明治安田J2リーグ 第30節 清水エスパルスVS V・ファーレン長崎

自動昇格の2位を争う、2位清水と3位長崎の直接対決。序盤は清水がパスを回し、右サイドからチャンスを作るが、ネットを揺らすことができない。すると、徐々に長崎ペースとなる。清水の連係ミスからマテウス・ジェズスが決め、長崎が先制し、前半を終える。後半開始早々、清水はカウンターからブラガが決め、同点に追いつく。その後、長崎の足が止まってしまい、清水がチャンスを作るが、もう一点が遠い。そのまま試合が終了し、両者勝ち点1を分け与えることとなった。



感想

清水エスパルス

長崎のロングボールからの攻撃に手を焼き、前半はピンチをいくつか作られた。後半は、ブロックを作り、あまり動かないことを意識したため、ピンチを作られることが少なかった。長崎の左サイドは、守備時にボールウォッチャーになることが多いため、ブラガの斜めの動きで北爪がフリーになるなど、右サイドから攻略することができた。また、長崎のプレスは厳しくないため、中央で細かくパスを繋ぐことで、シュートまでいくことができた。
しかし、失点にも繋がったが、ロングボールの処理があまく、セカンドボールを拾う位置にいないことなどがあるため、修正しなくてはいけない。


V・ファーレン長崎

前半は、清水のハイプレスが攻撃のスイッチとなり、ロングボールを使った攻撃からチャンスを作ることができていた。また、ロングボールに対しては、背後を狙う選手が必ずいて、三人目の動きで、清水の背後を取ることができていた。ボールを後ろから繋ぐこともできるため、自分たちから仕掛けて攻撃をすることもできていた。
しかし、後半になると失速してしまった。疲労もあるが、清水がブロックを作って守備をしたため、陣形を崩すことができず、チャンスシーンを作ることができなかった。また、前半は、中村、M・ギリェルメ、M・ジェズスの三人が流動的に動いていたが、後半は、ポジションチェンジをほとんどせず、動きがなくなった。加えて、澤田とM・ギリェルメが背後を取る動きがなくなったことも失速の原因である。
45分だけだと強いが、90分になると弱くなってしまう原因だと思う。
個人的に、M・ジェズスのポジショニングと体の使い方はとてもうまく、参考になる動きであった。



解説

ロングボールの対応

長崎の攻撃は、ロングボールを使った攻撃が多かった。それに対して、清水はクリアをしていたが、体勢が良く、距離を出すクリアは攻撃に繋がった。しかし、競り合った中でのクリアは距離が出ず、相手にセカンドボールを拾われることも多かった。また、セカンドボールを拾うことができても、その後のプレー選択のミスでボールを失うこともあった。ロングボールの対応について2つのシーンを使い、解説する。


1つ目は、長崎の得点に繋がったシーンである。住吉のクリアを高橋が受け、中村にパス。中村が北爪にパスを出し、北爪が高橋にバックパスをするが、ギリェルメにカットされる。

得点に繋がったシーン
清水がクリアボールを回収し、ボールを繋ぐが、ギリェルメにパスカットされるシーン

近い距離でプレーができたため、ボールを繋ぐことができた。そのため、相手のプレスを回避することはできたが、前線までボールを繋ぐことができなかった。

このシーンを見ると、中村がボールをもらった時に、中村の背後の宇野はフリーな状況であった。周りを見て、落ち着いてプレーをすることができれば、宇野へパスなどの選択ができたと思う。

中村や宇野は、縦への意識が高いため、縦パスを入れることが多い。しかし、低い位置でも無理して縦パスを入れることがある。宮本であれば、落ち着いて、バックパスなどをするため、お互いの良さを吸収して欲しい。

クリアをしたが、その後、パスをカットされてしまい、相手に速攻をされる。今シーズンは、このような形から、ピンチになることがある。個人の問題ではあるが、練習の中で改善したい点である。ボランチが後ろ向きでボールを受けた時はどのようにサポートをするのかなどを確認したい。



2つ目は、44分、M・ジェズスの決定機に繋がるシーンである。若原のロングボールを増山が競り、ギリェルメがフリックをして、M・ジェズスがフリーでボールを受ける。

このシーンは、クリアをしたシーンではなかったが、ボランチのカバーなど、気になる点がある。

44分、M・ジェズスの決定機に繋がるシーン

ロングボールを蹴られた後のボランチのカバーの遅さは気になる。人に対してはマークをすることができているが、スペースをカバーすることができていない。ボールが出てからの反応となり、遅れてしまう。

清水のCBはサイドに流れて守備対応をすることが多い。そのため、中央にスペースができてしまう。CBがサイドに出るのであれば、ボランチがスペースを埋めなければいけない。

しかし、ハイプレスをしているため、ボランチの選手が高い位置を取り、対応が遅れることが多い。ハイプレスをするのであれば、前線の選手は相手に対して、制限をかけなければいけない。

また、ハイプレス時に、ボランチの2人が横に並び、高い位置を取るのではなく、縦に並び、片方がプレスをかけ、もう片方がカバーができる位置を取ることが大切になる。今後も、ハイプレスを継続するのであれば、守備の位置や意識を再確認し、修正しなければいけない。

この試合で、上図のようなシーンで決定機を作られているため、今後も、同じような形で攻められることが予想できる。




引き分けとなり、1試合消化が少ないが、長崎と勝ち点8差となった。勝ち点が縮まらなかったため、J1復帰に向けては大きな勝ち点1である。しかし、首位の横浜FCとは勝ち点4差である。

この試合の引き分けは、2位を狙うのであれば良い結果であるが、1位を狙うのであれば、悪い結果である。

今シーズンは、J1復帰はもちろん、J2優勝を掲げている。今節の結果により、1つの目標は達成できたが、もう一つはできなかったとならないで欲しい。

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