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その70〜人は、働きたくなることもあるし、「働け」と言ってほしい時もある〜
※忙しい人向け、この記事の要約です。
この記事では、マグレガーのX理論とY理論の限界を指摘し、状況に応じて適応するコンティンジェンシー理論を提唱しています。
X理論: 「人は働きたくない」が前提。厳格な管理で成果を出す。
Y理論: 「人は自ら目標を設定し働く」を前提。自律性やモチベーション重視。
コンティンジェンシー理論:組織のマネジメントスタイルは、業務特性(不確実性の高低)に応じて適応が必要。
不確実性が高い業務: 柔軟な構造(例: 研究職)。
確実性が高い業務: 厳密な管理(例: 製造業)。
センス・オブ・コンピタンス(自分の能力を発揮し成長を実感する動機)が満たされることで、モチベーションと業績が向上。
結論:業務、組織、人材の適合性を高めることが重要。
適切なフィットを実現するには、業務の不確実性を見極め、柔軟にマネジメント方針を調整する必要がある。家庭においても、タスク特性に応じた管理と対応が有効。
「人は、ガチガチに管理した方がしっかり働く」
という意見と、
「人は、自ら設定した目標に対しては、自分から働く」
という意見は、
対立しがちです。
これは、「X理論とY理論」というものです。
マクレガーによって提唱されたモチベーション理論のことですね。
細かい説明は↑こちら↑に。
ここ最近の傾向で言えば、
ガチガチに管理するトップダウンのマネジメントは時代遅れのように感じられ、
ある程度当人に任せ、意欲を高めるようなモチベーターとしての役割がマネジャーには求められている印象があります。
しかし、全てがそれでうまくいく
とはならないのが実際のところ。
マネジャーとして、プロジェクトのリーダーとして、そんな悩みを持つあなたにオススメなのが今日ご紹介する論文です。
タイトルは、
「Y理論は万能ではない」
です!
それでは早速見ていきましょう!
論文の要約
この記事では、マグレガーのX理論とY理論の限界を指摘し、それを補完するコンティンジェンシー理論を提唱しています。
X理論とY理論:
状況によって効果が異なるため、普遍的な解決策にはならない。
コンティンジェンシー理論:
組織構造や管理スタイルは、業務の特性(確実性の高低)に応じて適応が必要。
高業績の組織は、業務特性に合致した設計を持ち、社員の「センス・オブ・コンピタンス」(自身の能力を発揮し成長を実感する動機)が満たされている。
調査結果:
確実性の高い業務を行う組織では厳密な管理、
不確実性の高い業務を行う組織では柔軟な構造が効果的。
組織と業務がフィットしていると、社員のモチベーションと業績が向上する。
結論:
業務、組織、人材の適合性を高めることが、組織の成功と社員のやる気を引き出す鍵となる。
「ちょうどいいとこどりをしている理論だなぁ」
という印象ですね。
日本語では、「環境適応理論」と言うらしいです。
でも、いいとこどり、でうまくいけばいいんです!笑
結局、自分たちが今行なっている業務は、
「不確実性が高いか、低いか」
を見極める、というまた別のスキルが必要になってくる気もします。
マネジャーにとっては難しい部分ではありますが、
自組織がどういった特性を持っているのかを判断して、リーダーシップ、マネジメントの方針を変えていくことで、
より働きやすい環境を従業員に提供できると思います。
X理論(「人は元々働きたくない」という前提に基づく)に近い考え方適応する環境は、
普段の仕事をいつも通り、より正確にミスなく行うこと
が必要とされる環境です。
製造業などが当てはまりますね。
Y理論(「人は自分がたてた目標のために働くことを好む」という前提に基づく)に高い考え方適応する環境は、
新たな発想で何かを生み出したり、自分で判断・決断したりすること
が必要とされる環境です。
研究職などが当てはまるようです。
家庭に置き換えて考えると…
家庭でのタスクを考えてみると、
・不確実性が高い⇒家族の体調不良への対応、子どもの習い事の変化や進学による変化への対応(などのようなライフステージが進むにつれて出てくる対応しなければならないこと)など
・不確実性が低い(確実性が高い)⇒日常的な家事、子どもの送り迎えなど
とざっくり考えられます。
家庭の業務はどちらも複合しているので、どちらのマネジメントが良い、ということを考えるのは難しそうです。
ただ、基本的に「家事」や「日常的な育児」は管理してあげた方が良いかと思います。
というのも、基本的に家事って「サボりたくなっちゃうもの」だからです(偏見)。
では何に管理させるか、というと、人ではなく
「ルール」に管理させると良いのではないかと思います。
ご夫婦である程度管理しやすい内容で、「日常的な家事・育児」に関するルールを設定し、
それに応じて日々のタスクを行っていくことが良いのではないかと思います。
一方、不確実性の高いタスクについては、
個々が考え、判断できるようにしておくと良いでしょう。
ということは、ある程度それを判断できるための前提知識を持っていないといけません。
ワンオペの経験を積んでおくとか、
何か不測の事態が起こってもいいように仕事の計画を立てておくとか、
そういった日頃の準備を予め行った上で、
何が起こっても良いようにしておく。
そして今まで対処したことのない問題が出てきた時には、
それに対応し、終わってから、どうするべきであったかを考え、次に生かす。
このプロセスを省かないように注意していけば、不確実性の高いタスクに対応できる力がつくでしょう。
まとめ
本日は、「X理論でもY理論でもない考えに基づく、マネジメントの仕方」をテーマにした論文をご紹介しました。
職場、家庭ともに、不確実性の高さを見極めることから始めてみましょう。
「いつもいつも新しいことが舞い込んでくる」
と感じたら、きっと不確実性が高いタスクが降ってくる環境であるのだと思います。よければ参考にしてみてください。
それではまた次回。