盛岡と三戸町を繋ぐ「殿様あんぱん」
昨年の12月半ば、まだ雪が降る前でした。時折、冷たい雨の降る中、国道4号線を北へ。奥中山辺りで標高は458メートル。雨粒がフロントに粘るように広がる。霙っぽい。
峠を下り、一戸、二戸市を抜け、三戸町を経由して青森県に入り、南部町に着いた。歴史を辿れば南部家は南部町から三戸に堅固な城を築いた。後に一時期、九戸城、そして盛岡に居城を構えた。
長い歴史の道筋を一気に遡ってみたかった。
まずは、南部町にある「きたむら茶屋」へ午後1時半頃に到着。
古民家をそのままに三戸町の栗谷川さんが営む「茶屋」
丁度、栗谷川さんが出て来た。「お久しぶり、どうぞ、ようやく落ち着いたところです。」
案内され、入ってびっくり、ただの茶屋ではない。
古い箪笥の上に鮨や団子のキャンドル。
身体に優しいオーガニックの石鹸。
専用に育てたニンジンで作られたジュース。
土にこだわり、機械に頼らず、昔のように吊るして乾燥させる玉ねぎ。とても甘いそうだ。
地元の、逸品や新しい物が並ぶ。
栗谷川さんは、会社を立ち上げた先輩として、これから起業したい人の支援もしている。
珈琲の焙煎機まであった。
まずは早速、ランチ。「鶏にぼしきつねそば」にした。
柚子が香り、いい具合に出汁がきいて美味しい。汁まで完食!
「南蛮味噌のっけご飯」ご飯がすすむ!
なんともおおらかな貼り紙。珈琲を飲みながら、ゆっくりしていた。
すると、どこかからか流れてくる古い音楽。出所を尋ねたら、彼女が指さす先にレコードプレーヤー。
傍らに古いレコード。
「ここで聞きたいと皆さんが持ってくるんです。」と笑う。この茶屋は、近所のコミュニティの場にもなっている。
ひと息ついて、彼女と三戸の歴史の話になった。
城や城下の街づくりのため三戸から多くの人が盛岡へ。盛岡には三戸町と呼ばれる一帯がある。
<三戸町のHPより抜粋>
伝承では、1539年(天文8)南部晴政の代に、居城としていた本三戸城(南部町聖寿寺館跡)が家臣の放火により焼失し、その後に三戸に城が築かれたとされている。
1590年(天正18)南部信直の代に、「豊臣秀吉朱印状」によって三戸城が、三戸南部氏の居城となった。
1633年(寛永10)、盛岡城が完成し、三戸城は居城としての役目を終え以降は城代が置かれた。
長年、盛岡に暮らしていて、この歴史をあまり聞いた事がない。彼女は、「もっと三戸などと盛岡の結びつきがあってもいいのでは?」と語る。
さて、もう一つの目的の「殿さまあんぱん」
ずしりと重く中には、たっぷりの餡子!ほどよい甘さで、ペロリと平らげた。ごまやクルミなどもある。
美味しい「殿さまあんぱん」を食べながら盛岡のルーツを辿っている気がした。
つい、長居してしまい立ち上がると、足元が優しい。子どもの頃、あちこちで感じた木の温もり。
栗谷川さんは、町議として町政にも関わりながら、三戸町の歴史も学んでいた。また三戸を訪れ、歴史を学んでみたい。
盛岡市先人記念館で、「三戸町かいわい」の歴史などを紹介する企画展があるらしい。
色々な話をして、茶屋を出た。
盛岡と三戸を繋ぐ「殿さまあんぱん」は、とても美味しかった。帰りに三戸の城跡を見ねばならない。