西和賀の日帰り小旅(1) WARANOUE(ワラノウエ)の木の器と抹茶のフィナンシェ
「オイル仕上げの木の器は料理の油が自然な味わいになります。」と始まる「木の器・カトラリーお手入れ方法」の説明。
使い始めから、手入れ、洗い方や注意する事などが記されていた。
ゴールデンウイークも終盤、まだ春が始まったばかりの西和賀を巡った。アポイントなしで、WARANOUE(ワラノウエ)のギャラリーを訪れた。オーナー藤原さんと会うのは2度目。初めて会ったのは、カフェ・ネビラキの瀬川さんと一緒の時だった。
その日はゆっくり話を聞く事ができた。
早速2階のギャリーへ。
彼は、丁寧に説明してくれる。静かな雰囲気ながら、話していて眼の奥に木への熱い思いが潜んでいると感じた。
山桜、桜やブナ、カエデなど。切り出されたばかりの木をすぐに加工する。できた器は、乾燥しながら形を変えていく。そして使いこむうちに、色合いも違ってくる。使う人に馴染んで、唯一無二の器になっていく。
これは、一本の木から作られた作品。いわば兄弟。
このしゃもじは、形も色々。もともとは、長いパフェなどのために作ったらしい。
見ていて飽きない。一つひとつゆっくり見せてもらった。
1階に下りると加工場の辺りには、持ち込まれたばかりの木が並んでいた。使い道がない木を見ながら藤原さんは考える。なるべく無駄にしないようにと旋盤に向かう。シイタケなどキノコの榾木(ほだぎ)、薪になるしかなかった木。それが、シンプルながら味わいのある器やランプシェードなどに変身する。
盛岡に帰ると早速使ってみたくなった。のせたのは、西和賀の「西わらび餅」で知られる、「お菓子処たかはし」で買ってきたフィナンシェ。
お菓子処たかはしは、湯本温泉街の通りにある。
訪れた時、奥さんが話していた。
ゴールデンウイークの始まりに雪が降った。用事で盛岡に出かけたら、帰りは雪道。咲いたばかりの桜に積もった。雪、桜、カタクリの花を初めて一緒に見たそうだ。風情はあるものの、ちょっと不思議に思ったと言う。
木の器に置いたフィナンシェを見ていると、見て来たばかりの西和賀の萌黄色(もえぎいろ)が浮かんできた。フィナンシェを二つに割ると、たっぷりと入った抹茶の香りが広がった。