望むは救済、浸るは光と熱、作るという祈り。Suspirium - Thom Yorke

This is a waltz thinking
これはワルツ 思いを巡らす
about our bodies
私たちの身体について
What they mean
それらはまさしく
for our salvation
我らが救済のため
With only the clothes that
衣のみがただ
we stand up in
この身を包み
Just the ground
ただこの地のみ
on which we stand
この身の依るところ
Is the darkness
暗闇こそが
ours to take?
我々が手にするもの?
Bathed in lightness
浸るは光明
bathed in heat
浸るは熱

All is well
万事良好
as long as we keep spinning
少なくとも私たちが回り続ける限り
Here and now
今ここで
dancing behind a wall
見えないところで踊ってる
Hear the old songs and laughter within
耳に響くは懐かしい歌と笑い声
All forgiven
赦されたすべては
always and never been true
常に真実であり真実ではありえない

When I arrive, will
私が着いたらその時あなたは
you come and find me?
来て見つけてくれるのかな?
Or in a crowd,
それとも雑踏に紛れ込んで
be one of them?
知らない誰かになるのかな?
Mother wants us
母なる存在は望んでる
back beside her
彼女のそばに還るようにと
No tomorrow's
決して明日に
at peace
平穏はない

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リメイク版『サスペリア』のテーマ曲。

 出来はイマイチ、みたいな評判の良くないイメージのリメイク版だが、僕はかなり好きである。なんというかツボなのだ。
 混乱、対立した社会情勢や生活。生よりもむしろ退廃や破滅、死の匂いばかりする薄汚れた街。社会という視点からは全体像を掴むことさえ難しいほどに入り組んだ混迷とそれに対する不安の渦。
 その中に隔離されたように存在し、極めて平静に見えさえするバレエ学校。しかしその水面下には外の社会や生活の写し絵のように混乱や対立があり、やはり破滅や死がある。その混乱や対立の全体像はやはり個人という視点からは掴みきれない。
 そんな個人の中にも様々な葛藤/対立や混乱がある。魂、精神は自身の全体と細部を把握することさえ出来ない。
 それらすべての現実的な混乱の中心に置かれる、神秘的で密やかな宗教的儀式。踊り。神聖にして不要なものを何ひとつ含まない、神への捧げ物、祈りとしての舞踊。そしてその対象たる非現実的/超現実的な神。社会/公の対極に位置する神。すべてを圧倒し、破砕し、忘却させる母なる神。何も残さない、何も残らない。すべては神の怒りと慈悲のもとで無に還る。更地という決定的な平穏。
 芸術というのは、何かを生み出し作り、研ぎ澄ましていくというのは祈りだ。祈りそのものだ。祈る相手が正統な神だろうと、邪神であろうと、自身の奥深くに眠る自分の魂そのものであろうと。

 そんな構造や物語が僕はひどくツボなのだ。


 歌詞の意味は分かるようで分からないようで分かる。というか、深い解釈と読み解きが出来るみたいな謎めいた何かではなく、実にシンプルにそのままの意味の歌詞なのだと思う。
 個人的には元の、言葉少なでありながらワルツに乗って小気味よく流れていく感じを日本語でそれなりに再現できたのではないかと思って気に入っている。

 正式な歌詞がどこにもないらしく、Hear the old songs and laughter withinだけは今だになんて言ってるのか僕にも確信がない。

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