根津美術館「はじめての古美術鑑賞 人を描く」の概要を紹介!
1.はじめに
表参道にある根津美術館では、年に7回ほど展覧会を開いています。
そこで今回は、2021年9月11日(土)~10月17日(日)でされている「はじめての古美術鑑賞 人をえがく」に行った感想と、展覧会の内容について紹介します。
投稿時点でまだ一ヵ月ほど会期があるので、興味を持ってくださった方は是非足を運んでみてください!
今後も都内の美術館で行われている展覧会の紹介を続けていくつもりなので、私自身へのフォローもしていただけると嬉しいです✨ よろしくお願いします!
2.展示の内容
【企画展名】
「はじめての古美術鑑賞 人をえがく」
【概要】
日本で人物画が描かれてきた歴史を追体験できるように、鎌倉時代から昭和時代に至るまでの作品が展示されています。
また、作風の移り変わりや人物画を見る際のポイントも分かるような構成になっていると感じました。一回行くだけで理解が深まった…気がします笑
【内容】
昔は実在の人物の絵を描くことが忌避されていたらしく、人々の信仰の対象となる人物(故人に限る)のみ描いてOKとなっていたそうです。
描かれた順番はこんな感じです↓
1.中国仏教の祖師(偉い人)
2.日本の高僧
偉いお坊さん。空海とか
3.皇族・貴族・武家
死後神格化された人が描かれたようです。今回は坂上田村麻呂や藤原鎌足の作品が展示されていました。菅原道真のように、怨霊を祀って鎮めるために描かれたケースもあるそうです(展示作品あり)
4.歌仙
柿本人麻呂、和泉式部、紫式部などの作品が展示されていました
5.(生存する)高貴な人々
中世(恐らく1100年代くらいを指す?)以降は、生存している人物の絵が描かれるようになり、主要ジャンルになったそうです。
似絵(にえ)と呼ばれる、像主(≒被写体)の特徴ありのままを描く作品と、肖像画と呼ばれる、追慕や供養のために似絵を若干理想化して(盛って)描いた作品が現れるようになりました。
神護寺というお寺に納められている肖像画×3が有名らしく(神護寺三像)、そのうちの一つである藤原光能の肖像画の摸本が飾ってありました。今まで見た人物画の中では一番大きい作品で驚きました…
6.異国の人々
中世以降は大陸との交流も増えてきて、「頂相」という禅の祖師の肖像画が嗣法の証(弟子の免許皆伝の印みたいな)として出回るようになったことで、異国の人物画が描かれるようになりました。
特に中峰明本(ちゅうほうみんぽん)という人の絵は10件以上あるらしく、今回の展示でも一作品展示されていました。
全身画と半身画のどちらも描かれていたそうです。
故事成語に書かれた人物を描くこともあったそうで、杜甫を等春(雪舟の弟子)が描いた作品が展示されていました。
こちらは別の作品ですが、参考までに💦
7.市井の人々(一般人)
近世になって、一般の人々も描かれるようになり、姿も日常の様子が描かれるようになりました。
100人以上の市民が躍っている「風流踊図衝立」はそれまでの作品と全然違う形式の作品で面白かったです。是非見てください!
このコーナーにはパンフレットに載っている風俗図も展示されていました。背景が金色という点では桃山時代と同じですが、対象が人物のみという構成が新しく、表情が生き生きとしている点が秀逸と言われているそうです。
8.浮世絵
当世風の風俗を描いた美人画がよく描かれるようになりました。
菱川師宣に師事した宮川長春の作品や、円山応挙の作品が展示されていて、ポイントとしては「ポーズ・表情・着物の模様」の3つに着目して見ると良さげです。
文人画家が知人・友人を描いた作品もあり、下書き線が残っている作品からは、人物画の製作に人体把握が必要ということがわかりました。
椿椿山(つばきちんざん)の作品が超リアルで見応えがありました。リアル過ぎて怖いくらい…
最終的には、狩野派のような既存の流派に西洋の絵画技法を加えて自身の個性を出していくような作品が主流になったそうで、影の付け方や表情・色彩に変化が見られました。素人目にも昔の作品と変わってきたな…ということが伝わる作品がいくつか展示されています。
3.おわりに
いかがだったでしょうか?
普段人物画をじっくり見たことがないという人にこそ、良い勉強になるような展示の構成になっていたと思います。
こちらのnoteでも大まかな流れが分かるように書いたつもりですが、やはり実際に作品を見に行った方が理解が深まるかと思いますので、お時間の取れる方は是非展覧会にも足を運んでみてください!!
作品リストはこちら ↓