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文明と文化 [野沢温泉スキー場100年周年に寄せて]

日本スキー文化の伝来は諸説ありますが、近代スキーという観点からはオーストリアのレルヒさんから広まったと言われています。
 
テオドール・エードラー・フォン・レルヒ(以下レルヒさん)は、オーストリア=ハンガリー帝国の軍人で日本のオーストリア大使館で武官として働いておりました。アルペンスキーの創始者マティアス・ツダルスキーの弟子でもあります。

 日本の陸軍は明治35年に八甲田雪中行軍遭難事故という199名の命を亡くす悲惨な経験をし、それを克服するスキー技術を求めていました。そこでレルヒさんにお願いし、1911年(明治44年)新潟県上越市で指導を開始したのが日本近代スキーの始まりと言われています。つまり日本においてスキーの歴史は100年を超えています。

 さて『文明』と『文化』は、何が違うのでしょうか?

「文明」は技術によって作られるもの。例えば鉄や紙やコンピュータなど素材や道具を作り出す事が上げられると思います。明確に体系化されている為、設計図があれば伝播されやすいものです。道具も購入からスタートできる。

一方、「文化」は生活や自然環境などが複雑に絡み合ったものだと考えます。文脈(コンテクスト)によって成り立つものだと言えると思います。つまり直ぐに伝播されるものでもなければ、突然発生するものでもありません。徐々に醸成していくものだと考えます。

その意味で100年以上前に近代スキーは文明として日本に伝播。
          ↓
                    日本各地に広がる
                             ↓
               ブームが起こる⇔しぼむ
                             ↓
                        土着化していく

このような変遷をたどっていき日本の環境に馴染み「文化」となっていったと思います。
スキーブームだって、おかげで層が広がり文化の幅が広がったと考える事もできる。
欧州とは違う日本独自のスキー感もあると思います。

特に野沢温泉スキー場は温泉街も兼ね、スキー×温泉などと言う独自の進化が目立ちます。
(スキー後の温泉。本当に最高です!)
このような独自性は海外からのユーザーを惹きつける“強み”にもなると考えます。
日本各地で土着化されているスキー場個性を打ち出していけば、海外巨大リゾートとは一線を画す面白いものになっていくのではと考えます。スキーに行くだけでなく、周辺の観光をする人ももっと増えていくでしょう。

私自身に置き換えてもスキーを履いて30年以上が経ちました。それでも遊びたい。
すっかり生活の一部「文化」になっています。


※余談でありますが、古い資料では間宮林蔵さんが樺太(カラフト)を探索した際、スキーに似た板を足に付けストック1本で探索したとの話もあります。スキーの歴史に関する動画を貼っておきます



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