part05黒木渚ライブ2021“死に損ないのパレード”に寄せて
2021.10.3に生ライブ、1ヶ月後11.6に凄まじい早さでエディット後の配信ライブを実施してくれた黒木渚のライブ感想文5発目。(part01 02 03 04)
前回、第4発目を思い出に8割を費やして「partに分けておいてネタ尽きたな」って思った方。ちょっち待って。
10月に生でライブを見てから、配信ライブがあるまで数記事分になるよう構成を考えていて、ひとつは衣装について割こうと思っていたんです。
純白ドレス...モンローや死装束(ウェット)やウェディングドレス(合わせ鏡)と言う話。スタイルチェンジを徐々に変えていくのは時間と共に出ていくハラワタだと言う話....それを黒木渚の11.6のYouTubeでのアフタートークにて大部分を教えてくれたわけで(血の意味合い以上に、やっぱり内臓•ハラワタだったみたい)早めに教えて貰えたことに喜びとつつも
「書くこと1つ減ったー」と慌てて方向転換に至りました。悪いのは全てヨシダだよ、ヨシダ。
ライブのアーカイブ配信もあと残すところ2日。
まだ見てない人にはぜひ見て欲しい。一度見ると、一度では足らず何度も見入ってしまうはずだから、早めをおすすめ。
なかでも見て損がないのは演出の数々。玉やら銃やら目白押しの中で、今回のライブはファンが舞台装置になり黒木渚の「音楽×文学×空間」の空間づくりの一翼を担った箇所が多かった。
”黒木渚と言う名の渦”に巻き込んでくれるよう仕掛けてくれていた。
本編最終盤の紙吹雪は、吹き抜け6階の観客の方々の協力で完成されていたし(5階ステージフロアにいた身としては感謝、とても幻想的で夢を見ているようだってけれど、これは配信ライブでも十分伝わってきた。なお退場時に大量のブロワーをパーティションの裏などで見かけたのは ここだけのヒミツ)
そして行灯である。
黒木渚グッズ初、作られたペンライト行灯。
これを「死に損ないのパレード」中、黒木渚の指揮の下で同じ速度で振る観客。
目に映る幻想的な様子、ライブの盛り上がりの波と合わさった陶酔、会場全体の一体感が、ドーパミンの分泌を最高潮にしてくれた。
「ライブに来て良かった、音楽が消えなくてよかった」
興奮の中におだやかさを伴った感謝を感じていたのは黒木渚の歌声のおかげだろう
♫ついておいで 午前0時に全てが消えるパレード
“死に損ない“について彼女が語るのは、今回の楽曲が初めてではない。
死に損なったから、もうどうにでもなれと開き直った
これは黒木渚がバンドからソロになった直後にある雑誌のインタビューで答えていた一節である。
あの当時、いやもっと前から黒木渚の根底には“死に損ない“について“できもの“の様なものがあったのだろう。
その時のインタビューでは両親の離婚など、彼女の過去に触れ、ネガティブな発想や絶望から一周回って「骨」などのポジティブな作品ができたと記述されていたが、ずっと彼女の中で“死に損ない“キー“のひとつだったのだろう。
過去への寄り道ついでに、彼女の口から“死に損ない“と言う言葉を聞いたのはアルバム発表前では2019年の1月にあったファンクラブイベント ~新春のど自慢大会&クイズ王決定戦2019~のクイズでのことだった。
クイズのコーナーで制作中の楽曲の歌詞や題名について出題すると言うファンサービスにも程があるが、未発表作品について問うてくるというアタオカで知らんがなと言いたくなる問題があった。
そのときの題名問題として出されたのが“死に損ないのパレード“であり、歌詞問題は“檸檬の棘“であった。
2019年の段階で、もう両作品の出しどころを狙い定めていたし、“できもの“との共存を懐に落としていたのだろう。
今回、死に損ないのパレードを発表の前に、檸檬の棘という小説・アルバムによって彼女の過去の時点整理を行い
その“できもの“を認識、過去の出来事や、咽頭性ジストニアへの罹患や復帰など何度も何度も“死に損なった“自分を、
そんな自身に似た、“死に損な”っても受け入れ・待ち続ける死に損ない仲間であるファン達を、ひっくるめてパレードに誘う彼女は、何度伏せても何度でも立ち上がり、さらに前に進むのだと思う。
“次に会うときまで、元気で、いや元気じゃなくてもいいから“
バンド黒木渚やソロになったばかりの強く気高い黒木渚と言う芯を持ちつつも、その炎は優しさに溢れたあたたかいものを身に纏っていた。
黒木渚という灯台の火は、ひとつではない。灯火が伝播し、会場を埋め尽くし波及していく。別に“死に損な“ってもいいじゃないか、私が伏せたらあなたたちがいるし、あなたたちが伏せたら私がいる。
行灯による観客を巻き込んだ演出はそんなことを感じさせてくれた。
もちろんアーカイブでもその一端を存分に感じ取れると思うので、
私も含めた死に損ない達の灯火に囲まれて美しく輝く“死に損ない“の黒木渚をぜひ見て欲しい。
アーカイブは11.14(日)23:59までみられるとのこと。
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